ゴールデンウィーク。
施設にやって来た、奈良家一同。
「真央、ここにおるん?」
「まだ来てはいないと思うが、今日は診察日だと言っていたからな。」
「じゃあ、ラウンジ行きましょ。」
「祥子、案内頼むよ。わしは、経過を聞きに行ってくるから。」
「うん、わかった。お母さん、祥太行こう。」
その頃、西国分寺駅に着いた須藤本家一同。
「ばあちゃん、タクシー乗るよ。」
「ふぅ、疲れた。年寄りには、都会の電車は乗りにくいの。」
「ばあちゃん、荷物持つよ。」
「正、大人になったな。お母さんの、教育のおかげかの。」
「真央の事で、責任感が芽生えたんでしょ。」
「信子、ありがとう。」
「ばあちゃん、気でも触れた?」
「直子!」
「ほら、早く赤ちゃんに授乳しなさい。もう少ししたら、ばあちゃん達来るわよ。」
「牧子ママは?」
「牧子ちゃん、お家に帰っているわよ。あんたもお母さんになったんだから、自分の事くらいしなさい。」
「ママ、しないじゃん。」
「あれは、いいのよ。」
あれが、庭でタバコを吸いながらコーヒーを飲んでいる。
「来たよ、赤ちゃん見せて!」
「いらっしゃい、直子久しぶりね。背、伸びたわね。義姉さん、正もゆっくりしてね。母さんは?」
「おるがの、悦子疲れたよ。」
小っちゃくて、気が付かなかった。
直子も正も、大きくなったんだな。
「真央、みんな来たわよ。」
「わーい、赤ちゃんこっちだよ。早く、見てあげて。」
「ほえー、かわいい。真央に、そっくりじゃん。二人共、男の娘なの?」
「直子、身も蓋もない事言わないでよ。うわぁ!」
「身体は、大丈夫か真央?」
正に抱き抱えられて、慌てる。
「あっ、正。大丈夫、大きくなったね。」
「まだ、180に届かないから。もう少し、欲しいな。真央は、小さくなったか?」
「んな訳、ないじゃん!」
「ほら、パパでちゅよ。正、あんたもこっち来なよ。」
真っ赤になって、身悶える真央。
「真央、名前は?」
「あっ、信子伯母ちゃん。名前はね、悠と翔。かっこいいでしょ。」
「悠と翔か、はーい直子伯母ちゃんですよ。ほら、おばあちゃんですよ。」
「直子、誰がおばあちゃんですって!」
「何言ってんの、母さん。正の子供になるんだから、おばあちゃんでしょうに。」
後ろからやってきた二人の幼女が、うなだれていた。
「保世、あんたおばあちゃんかい。」
「母さんは、ひいおばあちゃんよ。」
【ハァー。】
それぞれ、悠と翔をお互いに抱っこして泣いている。
「お茶の用意出来ましたよ、みんな来て~。」
「悦子、今日病院だろ?」
「うん、もう少ししたら行くわ。義姉さん達、どうする?」
「私と直子は、近所のスーパー行って今日のご飯の用意しとくわ。ばあちゃんと正、連れて行ける?」
「えっ、いいの?じゃあ、母さん達は任せて。何か、要る?」
「ビールと、飲み物余計に買って来てくれる。」
「はーい、わかりました。母さん、正、いい?」
「悦子お姉ちゃん、よろしくお願いします。」
「おいしいの作るから、期待して。」
「姉さん、何も出来ないだろ。母さんの邪魔に、なるなよ。」
「正、姉さんだってやればできるのよ。」
「直子、言われた事だけしなさいね。」
「母さん…。」
そして車に乗り込み、施設へ向かった。
施設に着くと、奈良一家がお出迎えしてくれた。
「ショコママ~!」
真央が、祥子の大きな胸に顔をうずめる。
「真央、よかったね。赤ちゃんは、男の娘?」
「もう、ショコママまで!」
「悠と、翔だよ。じーじ、ばーば、赤ちゃん見て!」
ばあちゃん達と挨拶する奈良夫婦が、こちらにやって来た。
「真央に、そっくり!あぁ、連れて帰りたいわ。」
「ふふふ、ばーば抱いてあげて。」
「はぁ、食べちゃいたい!」
何やら、後ろからバチバチ火花が上がっている。
正と祥太が、無言で睨みあっている。
「真央と赤ちゃん診察だから、ばあちゃんと正は奈良さん達と待っていてね。」
赤ちゃん達を連れて、真央と悦子さんが消える。
両親は、真央ママとお祖母さまに話がある様だ。
私は祥太を連れて、正君のところに行く。
「正君、こっちの学校行かなかったのね。」
「来年は、行くつもりですよ。まあ、ばあちゃんと母さんの関係もそんなんでも無いし。祥太君も、野球するのかい?」
「オレは、サッカーだぜ。ワールドカップの得点王に、なるんだ!」
「そうか、じゃあクラブチームに入らなきゃだね。」
「うん、広面FCのフォワードやってるよ。」
「楽しみだな、僕は野球やっててね。サッカーは、あんまりわからないんだ。」
「兄ちゃん、時代はサッカーだぜ。野球なんて、モテないよ。」
何の自慢なんだか、正君も良く聞いてくれる。
「悠と翔は、大丈夫かなぁ?」
どういう事だろう、二人も魔物って事かなぁ。
両親と話す真央ママとお祖母さまの顔が浮かない。




