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あいつが盗られた。  作者: 森のアカゲラ
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なごり雪。

 まだまだ雪が残る中、私は高校の入学試験に向かっていた。


 一緒に美佐子も、坂を登る。


 美佐子も結局、この高校を受験する事にした。


 「美佐子、真央がいなくて大丈夫?」


 「うん、元々先輩がいなくても直子と一緒の学校に行きたかったから。」


 何ですと、あたしモテモテですやん。


 母さんが、美佐子と一緒に保世おばちゃんの家で暮らしたらと言ってきた。


 高校のある町の、小さな2DK。


 二人なら十分だけど、あの母さんから提案されるとは。


 家が傷まない様に、管理するのにって。


 春休み中に、美佐子と内装を調える様に言われた。


 これで、心置きなく部活動が出来る。


 高校の町から私の家だと、電車とバスで結構かかる。


 私達がそんなこんなしてる間に、母さんと正が真央のお見舞いに行くらしい。


 聞いてないんですけど!


 まぁ、いい。


 私は、ばあちゃんと子供が産まれたら会いに行く予定だ。


 試験も無事終わり、美佐子と預かった鍵で真央の家に行く。


 母さんが、ちゃんと手入れしていたみたいでキレイに片付いていた。


 「ここが、先輩の家かぁ。私なんか住んでも、いいのかなぁ?」


 「いいの、そのかわり家事は自分たちでやらなくちゃだよ。」


 「大丈夫よ、私料理得意だから。先輩のお弁当、良く作ってたもん。」


 まぁ、良く出来た嫁さんだわ。


 「私料理ダメだから、美佐子におんぶね。他は、一生懸命するから。よろしく、お願いします。」


 「こちらこそ、よろしくお願いします。」


 美佐子は、このまま一旦自分の家に戻る。


 合格が決まったら、改めてこちらに来る事になった。


 駅で美佐子を見送り、私も反対方向の電車に乗る。


 まだ、ホームに雪が残り山は雪の白さに覆われていた。 


 

 施設での診察も終わり、お腹の子達も順調の様だ。


 ただ双子なので、早産になると言われた。


 おそらく、帝王切開になるとも。


 早めの入院に、なりそう。


 牧子ママは、週末になると家に来てボクの面倒を見てくれる。


 悦子お姉ちゃんは、ママの面倒を見る他にボクのお仕事を手伝ってくれている。


 「真央、こんなに厄介な事あの子にやらしてたの?」


 「うん、すぐやってくれたよ。」


 「すぐね…、しかも無料でね。」


 「お姉ちゃん、ムリしないでいいよ。ゆっくりでも、怒られないから。」


 「でも、この資料纏めるだけでウン百万なんでしょ。やるわよ!」


 全くいくらやらしてあげるとは言えこんなしち面倒臭い事、よくやってたわね。


 たぶん、この表計算は特許取れるわね。


 こんなグラフ表記なんか、パソコンでやる事じゃないわよ。


 頭痛い、たまには姉さんから1本もらってこよう。


 「あら、あんたタバコ吸うなんて珍しいわね。」


 「真央の手伝い、しんどいのよ。」


 「あの男の子に送り付けて、やってもらいなよ。」


 「こっちから、関わるなって言ったんでしょ。」


 「そっか、頑張ってね。私、しばらく小説書かないから。」


 働けよ、クソ幼女!


 田舎から、信子義姉さんと正が来た。


 正が、来年こちらの高校に野球留学するから見学がてらだって。


 「悦子、お邪魔するわね。保世は、いるの?」


 「はい、呼んで来ます。とりあえず、上がってください。」


 私、義姉さん苦手なのよ。


 よく母さんの代わりに、折檻された。


 私にとっては、母みたいな人だ。


 「姉さん、信子義姉さんと正が来たわよ。」


 「えっ、信子!今、行く。」


 真央にも声かけて、お茶の用意をする。


 「信子、久しぶり。正、大きくなったわね。」


 「お久しぶりです、皆さんお元気ですか。真央は?」


 「正、元気!ほら、お腹大きくなったでしょ?信子おばちゃん、お久しぶりです。」


 正は、なんかショックで頭を抱えていた。


 「真央、いつ産まれるんだい?ごはんは、食べれているかい?」


 「うん、大丈夫。子供は、来月の終わり位かな。ちょっと、早くなるって。」


 「保世、これ義母さんから御守りだよ。後、バター餅ね。」


 「ありがとう、良く私の好物覚えてたわね信子。」


 「小さい頃、あんなに泣かれたら…。」


 「あれは、あんたが取り上げて寄越さないから。」


 二人は、昔は仲が良かったのかな?


 正が、真央に髪飾りをつけていた。


 「かわいい、正ありがとう。」


 「すごく、似合うよ真央。」


 いつまでも子供と思っていたら、急に色気づき出した。


 「よかったね、真央。」


 「ありがとう、ママ。」


 「正、そんなのよく見つけたわね。真央の瞳と同じ色ね、良く似合ってるわ。」


 「ありがとう、信子おばちゃん。てへぺろ!」


 「あら、真央。こっち、いらっしゃい。」


 信子義姉さんが、真央を膝に乗せてご満悦な顔をしていた。


 こんな表情、見た事無い。


 正も、驚いている。


 「保世、真央はずっとシングルマザーかい?」


 「しょうがないわよ、この年でとなると。」


 「そうだね、真央を家にちょうだい。」


 「ちょうだいって、直子も正もいるじゃない。私、真央しかいないのよ。」


 「今じゃないわ、五年後に正が結婚出来るようになったらでいいわ。」


 「言ってる意味が、わからないんだけど。」


 「もう、鈍いわね。正の嫁に、真央をちょうだいって言ってるのよ。」


 【……………。】


 「あんたが、それ言うの?!」


 「たった一人の親なんだから、言うわ。」


 「正!正は、迷惑でしょ?」


 「よろしくお願いします、真央もよろしくね。」


 「はぁ、真央は?意味、わかる?」


 「わかるけど、今はお返事出来ない。とりあえず、子供を産まないと。」


 「そうだね、信子が非常識なのは知らなかったけど真央をこんなに大事に思ってくれるなんて。ありがとう、信子。返事は、保留させて。」


 「私は、常識的よ。返事は、いくらでも待つわ。真央、正のお嫁さんになったらお菓子食べ放題よ。」


 「信子おばちゃん、ホント!」


 【真央!】

 


 


 

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