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あいつが盗られた。  作者: 森のアカゲラ
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帰郷。

 そろそろお盆になる頃、私達は田舎へ帰って来た。


 空港には、直子ちゃんのお母さんと弟が迎えに来てた。


 直子ちゃんのお母さんが、遅めのランチに誘ってくれた。


 街の洋食屋さんで、お昼にするみたい。


 「奈良さん、本当にありがとうね。お父様にも、本当にお世話になって。」

 

 「いいえ、私達はしたくてやった事なので。」


 「祥子先輩がいなかったら、大変だったんだから!」


 「直子は、何か役に立ったの?」


 怖い。相変わらず、冷静沈着ね。


 「それは、ほら色々と…。」


 「直子ちゃんがいたから、真央もいつも通りに過ごせてましたよ。」


 「ほらー、ねっ!」


 「何が、ねっだよ。自分だけ、東京楽しんで。姉ちゃん、お土産は?」


 「ちゃんと、買って来たわよ。お前は、それだけか。」


 「オレだって、心配してたんだぜ。母ちゃんなんか、オロオロして大変だったんだから。」


 「正!」


 「ゴメンね、祥子ちゃん。躾が、なってなくて。」


 運ばれて来た料理を食べながら、話が弾む。


 「保世は、もうこっちに帰って来ないのかねぇ?」


 「恐らく、真央の子供が落ち着くまでは無理じゃないかなと思います。」


 まさか、ここに勇者がいるからとも言えない。


 「母さん、ばあちゃんは?」


 「社に、引き籠もっているよ。元気には、しているから安心しなさい。」


 「直子、あんた予定通りここの高校行くんでしょ。祥子ちゃん、直子の事よろしくお願いします。」


 「大丈夫ですよ、直子ちゃんは何やっても優秀ですから。」


 「誰に、似たのかしら。ウチは、脳筋なのに。」


 あら、重大発言。


 悦子さんは、違うくない?


 「そもそも、悦子なんて裏番でケンカ上等のお転婆だったもんね。」


 ひぇー、マジ!


 「正も、野球ばっかりやってないで勉強しなさいよ。」


 「オレは、真央みたいに全国リトルの優勝投手になってプロ野球選手になるんだ!」


 「そうね、なれるんなら頑張りなさい。」


 へぇ、正君って野球チームのエースなんだ。


 兄弟で運動神経いいのは、お母さんの遺伝かな。


 直子ちゃんのお母さんも、バレーボールでいい所まで行ったみたいだし。


 真央の、憧れの人だもんね。


 「祥子ちゃんも、お医者さんになるの?」


 「いえ、私は学校の先生になりたいです。真央の子供の、為に。」


 「そうなの、直子は医学部行きたいんでしょ。たまに、直子を祥子ちゃん家に行かせてもいいかしら。鍛えて、あげて欲しいのよ。」


 「是非、私では無いけど色々学んで欲しいです。」

 

 「祥子先輩、よろしくお願いします。」


 それから家まで送ってもらって、懐かしい我が家に帰って来た。


 「ただいま!」


 「お帰り、荷物片づけたらお茶にしましょう。」


 やはり、我が家は落ち着く。


 ちびっ子達がいないので、がらんとしているけど。


 「お疲れ、祥子。真央、落ち着いてくれて良かったわね。」


 「うん、ありがとうねお母さん。」


 「ばーばも、じーじが今度行く時は一緒に行くよ。ひ孫の顔も、見なきゃね。」


 「うん、ウエーン、クッ、ウッ、ワーン!」


 「どうしたの、祥子?泣くような事でも、あったのかい?」


 「あたじ、もうママじゃ無くなったの。真央を抱きしめてあげられないの~。」


 「子供は、いつか巣立って行くのよ。それでも、真央はあんたの子だろ。それは、変わりないわよ。」


 麦茶を一気に飲み干し、立ち上がる。


 「お母さん、今日の夕飯何?」


 「元気だねー、一緒に買いに行くかい。」


 

 「由美子おばちゃん、いますか?」


 「あら、真央ちゃん。一人で、来たの?はい、これビスケット。」


 「ありがとう、ございます。ボクだけだよ、おばちゃんに教えてもらいに来ました。」


 「由美子、真央ちゃんが来たわよ。」


 「ほい、真央。じゃあ、行こか。母さん、今日遅くなるから心配しないで。」


 

 近くの、公園にやって来た。


 森になっていて、かなり大きな公園だ。


 「真央、今魔力あんまり無いでしょ。だから、結界を張る練習しようか。」


 「ママみたいなこと、するの?」


 「保世のは、魔力使ってないから無理よ。あの子は、他人の力を利用しているから。」


 「うーん、どうやってするの?」


 「攻撃魔法を何でもいいから、準備して。」


 「こう?」


 「それを、自分に向けて放ってみなさい。自分の魔力で、自分は傷つかないから。」


 「えーと、怖いよ。うぅっ、エイ!」


 薄らと、輝く真央の身体。


 「弱っていても、それだけの力があるのね。今の結界を軟らかく、出来る?ガム風船、膨らます様にね。」


 「あっ、出来た!わっ、おばちゃん危ないよう。」


 「私の、槍攻撃を弾くならひとまず合格ね。さすがに、保世の娘ね。」


 「もう少し、練習する。」


 日が暮れるまで、練習した。


 ひとまずは、格好になったが自習する様に。


 そのまま、保世ん家に行く。


 悦子ちゃんのカレーが、待っている。

 


 

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