性転換手術。3
翌朝、施設に来ると祥子ちゃんがいた。
「真央の様子は、どう?」
「もう少ししたら、麻酔が始まります。今は、病室にいますから皆さん励ましてあげましょう。」
病室のベッドで、真央ママにクマさんの絵本を読んでもらっていた。
【おはよう、真央。】
「みんな、来てくれたんだ。」
「真央、ずっと一緒にいるからね。」
「ありがとう、牧子ママ。」
「真央、何も心配いらないわ。私が、ついているんだから。」
「直子、元気だね。」
「お父さんもいるから、大丈夫だからね。」
「じーじに感謝だよ、ショコママ。」
「姉さん、真央の代わりに産んであげなよ。」
「無理よ、この子を産んで私の子宮もう使えないんだから。」
「そうだったの、ごめんなさいママ。悦子お姉ちゃん、ボクちゃんと自分で産むよ。」
祥子ちゃんのお父さんに連れられて、麻酔科医の先生が入って来た。
「真央、ちょっと背中を出すからね。」
すごい太い注射針、めっちゃ痛そう。
こりゃ、泣くわ。
難儀だなぁ、先生。
あれ、泣かない。
アンパンマン注射器でも、無いのに。
母は、強しって事か。
真央ママに休んでもらって、交代で付き添う事にした。
「私、一番ね。」
「じゃあ、直子と私がするから祥子ちゃんと牧子ちゃんはお昼食べたら来てね。」
「はい、牧子向こうに行こう。」
「直子、あんた高校どうするの?」
「真央がいないんじゃ、意味無いし。でも、美佐子も来るし。どうしよう、お姉ちゃん。」
「美佐子ちゃんは、秋田市内の子でしょ?話せば、地元にとどまるでしょう。あんた頭いいんだから、入りたい所入りなさいよ。」
「こっちの学校とかって、どうなのかなぁ。今からでも、間に合わうの?」
「今からだと、簡単では無いと思うけどね。でも、義姉さんが許さないと思うけど。」
「あちゃー、絶対無理だわ。真央をだしに、してもダメそうだ。」
「ずっとこっちにいるかわからないんだから、田舎で待ってなさい。義姉さんの許可があれば、又遊びに来なさい。」
「ハードル、高いな。私、頑張って勉強して医学部行くわ。真央の子供の為に、小児科医になりたい。」
「そっか、直子なら出来るわね。頑張って欲しいけど、自分の幸せも見つけてね。」
「うん、わかった。お姉ちゃんも、ダヨ。」
「あっ、直子ったらもう!」
「私じゃないよ、くっちゃーい!もしか、真央?」
「わっ、真央!えっと、漏らしてはいないわね。」
「お姉ちゃん、私飲み物買ってくる。」
須藤家に普通に産まれた私達は、大変だわ。
「あっ、直子ちゃん。真央の様子は、どう?」
「すっかり、寝てるよ。先、おならしてたけどめっちゃ臭かったわ。」
「ふふふ、寝っ屁するなんて真央らしい。」
「じゃ、真央の所に戻るね。」
「祥子、こっちに転校とか出来ないの?」
「うーん、どうだろ?お父さんが許してくれたらだけど、編入試験とかあったら難しいかなぁ?」
「祥子なら、大丈夫でしょ。私の高校なら、私立だから編入は難しくないわよ。ちょっと授業料はお高めだけど、祥子ん家なら平気でしょ?」
「その時は、お世話になるわね。でも、たぶん田舎に残るわね。真央との思い出もあるし、従兄弟もまだ小さいし。だから、真央の事よろしくね。」
「そっか、わかったわ。そろそろ、お昼食べに行こう。」
「うん、ラーメンにしよう。」
休んでた、真央ママと出くわした。
「ママさん、大丈夫ですか?うちら、ラーメン食べに行くけど一緒に行きません?」
「ラーメンね、行く行く!牧子ちゃん、おすすめとか無い?」
「さすがに、この辺は…。売店の横に食堂あったから、そこに行こうかと。」
「ここの、食堂ねぇ。」
「ママさん、本格刀削麺って書いていますよ。」
「あらら、本当ね。」
「これにしましょうよ、皆さん!」
「ウッマーい!ねえ、あのシェフ見た事あるわね。」
「あれってば、陳さんよ。アイアンシェフ、健一さんだわ。何で、こんな所に?」
あっという間に、スープまで飲み干した。
交代する為に、病室に行くとお父さんが来ていた。
「お父さん、手術もう始まるの?」
「最後の麻酔かけたから、後30分位したら動かすかな。」
「悦子さん、食堂に鉄人の陳さんが料理してましたよ。今のうちに、食べて行ってください。」
「えっ、本当に?直子、ほら行くわよ!」
そして、真央の手術が始まった。
やはり、子宮への胎児の定着が思う様にいっていないらしい。
未発達な子宮に、魔力の多い胎児。
真央も魔力がかなり多い為、今の所はなんとかなっている。
だが、この先胎児が大きく成ればどうなるのか。
真央ママは、真央に子宮を食い尽くされたと言っていた。
真央を産んで10年間も、寝たきりだったらしい。
その間に、真央は父親や売られた所で虐待を受け続けた。
あの子に、幸せになる権利はないのだろうか?
どうか、お願いします。
もう、真央を苦しませないで。




