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あいつが盗られた。  作者: 森のアカゲラ
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性転換手術。

 真央が、車椅子に乗せられてやって来た。


 「真央、何寝てるの?」


 「すいません、カウンセリング中に嫌な事を思い出させたみたいで。」


 そう言われれば、瞼を腫らして頬に涙の跡がある。


 先ほどの五十嵐さんと言う男性が、説明をしてくれた。


 女性カウンセラーが、聞くに堪えなくなって五十嵐さんが駆けつけた時には後の祭りだったらしい。


 皆、ある程度事情は知っているのであえて突っ込みはしない。


 いつも明るく振る舞う真央だが、それはここ最近の事。


 今やっと、生きる希望が見えたのだ。


 全力で、支えてあげたい。


 牧子が、真央を抱き上げる。


 「保世さん、真央の着替えはありますか?後、シャワー使える所ありませんか?」


 ツンと鼻をつく、アンモニア臭。


 「あらら、この子お漏らししちゃってるわ。」


 五十嵐さんが、リハビリ用の浴室へ案内してくれた。


 「牧子、よく気が付いたわね。」


 「昔から、よくしてたからね。あの時は、おむつしてたから楽だったけど。」


 「おむつ?いつの、話よ。」


 「あの子、中学上がるまではずっとしてたのよ。」


 さも、ありなん。


 私達が洗っていると、真央が起き出してきた。


 「バブッ、おっぱい。」


 「祥子、お願いね。」


 はぁ、完全に幼児退行している。


 まあ、見たままか。


 「大きいわね、祥子。それに、きれい。」


 「あまり、見ないでよ牧子。」


 「ゴクッ、ゴクッ、ンパッー、ゲーッフ!」


 体を拭かれた真央が、牧子にメロンパンナちゃんに着替えさせられる。


 「真央、起きた?どこか、痛い所は無い?」


 「ショコママ、ここどこ?」


 「ここは、病院よ。」


 「牧子ママ、ボク眠い。」


 休憩所に連れて帰ると、真央ママ達が何人かの白衣を着た人達と話合っていた。


 「真央、ほらメロンオレ。みんなも、お茶飲も。」

 

 「真央、これから検査結果を査定して何もなければ明日手術するわ。」


 「うん、わかった。ご飯、食べれる?」


 「はいっ?食べれる、わ、よ。明日は、ご飯抜きだけどね。」


 「ボク、スタミナ丼が食べたい。」


 「じゃあ、今から食べに行きましょう。」


 「やったー!」


 五十嵐さんに夜には戻ると言って、遅めのお昼ご飯を食べに行く事にした。


 街道沿いの店舗には、トラックやバンが停まっていて如何にもガテン系のお店と言う雰囲気だった。


 食券を購入して店内に入ると、これでもかと言うニンニク臭がまん延している。


 食欲をそそる匂いに、みんな涎が止まらない。


 真ん中に黄身が乗った

、肉の丼。


 名物、すた丼である。


 みんな一心不乱に、かき込む。


 「んっまいー!」


 普段は小食の真央と真央ママでさえ、小さな口で一生懸命頬張る。


 【ごちそうさまでした。】


 真央ママが、生ビールを飲みながら。「どういたしまして。」と、応える。


 「ママ、泡ちょうだい。」


 真央が、美味しそうに生ビールの泡をなめる。


 この子、意外な物が好きよね。


 この後、真央ママと祥子だけ病院に残して帰るらしい。


 途中で、ちょっとした買い物して病院前で別れる。


 祥子は、もうすぐ秋田へ帰るからしょうがない。


 直子ちゃんは、泣いていたけどまだ中学生だしね。


 私達は、悦子さんの運転で西国分寺に帰って来た。


 明日手術が行われる前に、もう一度病院へ行く。


 「牧子ちゃん、明日持って行く物見繕うから手伝って。」


 「はーい、わかりました。」


 「お姉ちゃん、私は?」


 「直子は、遊んでていいわよ。」 


 「はーい。お母さんに、電話しとく。」


 「そうね、心配しているだろうし。」



 病室に入ると、見知った顔があった。


 「お父さん!」


「じーじ!」


 「おっ、真央元気じゃったか?」


 おい、娘はほったらかしかい!


 「先生、急なお願いしてごめんなさい。」


 「何、かわいい孫のためじゃ。祥子、色々苦労かけたな。」


 「お父さん、どうしてこっちに?」


 「じーじ、抱っこ!」


 「ホレホレ、真央おいで。とりあえず、手術は受けれるのかな?」


 「奈良教授、お久しぶりでございます。」


 「おう、五十嵐君。立派に、なったの。」


 「いえいえ、明日朝からゆっくり麻酔をかけて昼頃に行う予定です。」


 「その際、胎児の事は教授にお願いしたいのですが。」


 「あい、わかった。後で、検査結果を見せてくれ。」


 「じーじ、赤ちゃんお願いね。」


 「大丈夫じゃよ、真央。じーじに、任せなさい!」


 お父さん、めちゃめちゃ格好いい。


 「先生、ほんによろしくお願いします。」


 「ああ、保世ちゃん。それから、これな。」


 「真央の、戸籍謄本。女の子に、なってる。どうやって?裁判所にも、行ってないのに。」


 「母子手帳も出せんと、市長を脅かしてやったわ。手続きは、信子さんがほぼやってくれたがな。」


 「ありがとう、ございます。信子は、真央にだけは甘いわね。」


 信子さんって、直子ちゃんのお母さんよね。


 真央にだけ、甘いのか。


 何でだろう?


 「お父さん、今日はどうするの?」


 「近くに、ホテルをとってある。お前も、そっちに来なさい。」


 「えー、やだよ。」


 「やなのか、そうか…。」


 「じーじ、かわいそう。」


 「真央、これはじーじの作戦だからね。騙されちゃ、ダメよ。わかったわよ、行くわよ。用が済んだら、迎えに来て。」


 今日は、格好良かったから一緒にいてあげよう。


 


 


 

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