選手交代。
「直子、ちょっと席替わって。」
助手席の保世が、後ろに声を掛ける。
保世が、真央を抱きながらお腹をさする。
「ママ~、ボク女の子になりたい。」
「そうね、そうしましょ。明日、皆で病院へ行くわよ。」
「病院、怖い。ショコママの病院が、いい。」
「大丈夫よ、ママも女の子にしてもらった病院だから。」
「へっ、ママも?」
「だから、安心しなさい。」
「うん、わかった。」
そのまま、スウスウ寝入ってしまった。
「悦子、このまま叙々苑に行って。皆に、精を付けてもらわなきゃ。祥子ちゃん、牧子ちゃん、明日はいっぱい母乳あげてね。悦子、直子、緊急輸血あると思うからいっぱいお肉食べて!」
「うちらは、エサか!」
「ふふふ、ピチピチで美味しそうだわ。」
翌朝、狭山の研究所に来た。
病院では、無い。
「姉さん、ここ何?」
「病院よ、魔族のね。」
皆の顔が、青ざめる。
「大丈夫よ、取って食ったりしないから。」
「おはようございます、須藤様。そちらのお嬢様が、今回の患者様ですね。」
「ちょっと、私じゃないわよ!この小っこいのが、真央よ。」
「これは、失礼致しました。男の娘と、聞いていたものですから。真央ちゃんだね、おじさんは五十嵐と言います。それじゃ、中でお話しようか。」
「どういう、間違いよ。どっから見ても、この美少女を男の娘って!」
直子が、喚き散らしていた。
「まあまあ、美少女過ぎて間違えたのよ。」
ナイス、伊勢さん。
「そうよね、それなら仕方ないわね。」
皆さーん、十八番のツンデレですよ。
拍手喝采!
中に入ると、白衣を着た女性がやって来る。
「おはようございます、悦子ちゃんと直子ちゃんは?」
前に出る、二人。
【はい。】
「血液検査するから、ついて来て。保世さん達は、休憩所で寛いでいてね。」
保世さんと休憩所に行くと、メイドさんが出迎えてくれた。
飲み物とお茶請けを貰い、ゆっくりする。
「真央、大丈夫ですか?」
「うん、詳細は祥子ちゃんのお父さんからこっちに渡っているからね。」
「真央って、どうしてあんなにワガママなんですか?」
「ちょっと、奈良さん!」
「だって、可愛くて放したくないんだもん。」
「ずる~い、奈良さん。」
「あらら、二人共ありがとうね。あの子、普段はワガママ言わないのよ。」
「えっ、そうなんですか?」
そう言えば、いつも返事してる所ばっかりだ。
「あの子ね、小さい頃いつも色んな人に暴力振るわれていてね。私と離されてた時は、食事もさせてもらえなくて。着る服もなくて、大きな袋をかぶって凌いでいたみたい。救急車で運ばれた時は、手の施しようが無い位弱ってたって。まっ、全身骨折で栄養失調で肺炎になったら子供なら死んでいるわね。だから、今は何も不自由が無いから文句は言わないわ。ワガママ言うのは、わざとよ。みんなを安心させたいのよ。」
保世さんが、泣きながら話してくれた。
内容の半分も、理解できない。
これだけ周りにいい大人がいて、何やってるの!
「何で、真央が。真央が、何したんですか?」
「わからない、父親が売ったんだって事しか。あの子が父親を避ける理由に気付かなかった、私が馬鹿だったの。」
「真央は、何もかも覚えているんですよね。」
「口には出さないけど、はっきりね。恐らく、私を守れなかったと思って責任を負っているんだと思うわ。」
「私は、真央が幸せになる為ならなんだってします。いいわね、牧子!」
「うん、いいわ。私達は、真央の物よ。」
「あらら、二人共大げさね。ちゃんと、自分の事も考えてね。祥子ちゃん、真央が落ち着いたら直子と秋田に戻ってね。」
「えー、でも。」
「大丈夫よ、牧子ちゃんがいるから。本当、祥子ちゃんには感謝しているわ。その内、秋田に帰るし祥子ちゃんもいつでも遊びに来て。」
「はー、牧子頼むわね。牧子なら安心だけど、大丈夫?」
「任されなさい!祥子こそ、大丈夫?」
「ちょっと、心労で落ち込むかも。」
「姉さん、終わったわ。何だか、通夜みたいね。」
「ちょっとね、祥子ちゃんと直子を早く親元に帰さないとって。」
「えー、やだよ!おばちゃん、ずっと直子を置いてよ。」
「信子に、怒られるわ。私は、嫌だからね。あんな鬼に、叱られるの!」
「わぁ、卑怯よ。母さん、怒ったら地獄を見るんだから。」
「ふふふ、信子は偉いわね。」




