ミッキーさん、怖い。
パーキングに車を停めて、夢の国に向かう。
「牧子、来た事あるの?」
「一回だけね、オープンし立てだったからあまり遊べなかったわ。」
「私、初めて。小学生以来の東京だし、その時はまだ無かったからね。」
「ここ、千葉だけどね。」
「ウソ、東京ディズニーランドでしょ。」
「私、二回目ですよ。」
「えっ、直子ちゃん来た事あるの?」
「中学の修学旅行で、あまり楽しめなかったけど。」
「私達の代は、北海道だったのに。」
ゲートに、着いた。
入り口でキャストのお姉さんが、小さい子に飴を配っていた。
真央と真央ママが、もらっていた。
真央はご満悦だが、真央ママは不機嫌だった。
それを見て、悦子さんが大笑いしていた。
そのネズミカチューシャが、仇になったと思うんだけど。
それにしても、やっぱり人が少ない。
今、東京湾は台風が通過中である。
駐車場に着くまで、大雨が降っていた。
真央なんか、ポンチョを着て黄色い長靴を入ている。
晴れてはいないが、すっかり雨は止んでいる。
今のうちに、混みそうなアトラクションへ行く。
スプラッシュマウンテンは、水量が増えて真央以外豪快にずぶ濡れになった。
人が少ないせいで、ミッキーとミニーちゃんの二大スターが寄ってきてくれた。
「ほら、ミッキーよ真央。」
ミッキーさんも、小っちゃい真央のご機嫌を取ろうとする。
真央が、泣き出した。
「イヤー、怖い!来るな、イヤ~!」
「怖くないわよ、ミッキーさんだよ。ほら、ミニーちゃんも。」
ミニーちゃんも、優しく手を振る。
「わ~ん、助けて!ボク、いい子にするから~。」
「ダメね、この子。」って言ったかは分からないが、ネズミ夫妻は項垂れて離れて行った。
「泣き虫真央、何で怖いのよ?」
悦子さんの背後に隠れて、まだ泣いている。
「直子、怖くないの?」
「もういないから、こっち来なさい。」
直子が、抱っこしてあやし出した。
「すっかり、お姉ちゃんだね。」
「正より、ガキなんだから。」
「直子、正も可愛いがってるの?」
「まさか、私の可愛いは真央だけよ。」
今日も、伝統芸拝めました。
シンデレラ城では、真央もご機嫌だった。
着ぐるみじゃないから、拒否反応もない。
お昼前にパレードがあったので、みんなで見に行く。
ほぼ、貸切状態。
真央も慣れてきて、ドナルドを蹴っていた。
なして?
直子が、唆したのか。
本当に、園児みたい。
園内で、食事。
わっ、高~い!
真央ママが、いない。
タバコ吸いに行ったまま、帰って来ない。
《お客様の、お呼び出しを申し上げます。須藤様、インフォメーションにて保世ちゃんをお預かりしております。………。》
おい、幼女。
何、してくれとんねん!
「ママ、迷子だ!」
「あぁ、もう!」
悦子さんが、迎えに行く。
「クソ幼女迎えに行ってくるから、先に食べていてね。」
程なくして、迷子が帰って来た。
悦子さんのお説教タイムが、始まった。
長い、二人のご飯が冷めてしまった。
真央ママと言い、真央と言いどうしてこんなに無邪気なんだろ?
サッキュバスって、こんなもんかなぁ。
午後からは、ショッピング。
真央が眠たそうにしてたので、ベビーカーを借りて来た。
私と牧子で乗せると、すぐ寝てしまった。
「祥子、私にも押させてね。」
「牧子、一緒に押そう。結構、重いのよ。」
「悦子お姉ちゃん、いくらまで買ってくれるの?」
「直子、買ってくれる前提ね。みんな、一人一万円よ。祥子ちゃんも、牧子ちゃんもね。」
【ありがとう、ございます!】
「姉さん、あんたもな。何、そのぬいぐるみ。五万円も、するじゃない。」
「てへっ、ペロ!」
「ダメよ、実の妹に可愛い子ぶるな!」
ぬいぐるみは、真央の為に見つけてきたらしい。
真央より大きく、ほぼ真央ママと変わらないドナルドのぬいぐるみ。
悦子さんもあきらめて、レジに向かう。
駐車場に着いて帰る用意をしていると、海に虹が掛かっていた。
みんなで呆けていると、真央が起き出した。
「ママの耳は、ロバの耳…。」
何?まだ、寝ぼけている。
真央ママが、ネズミさんの耳をそっと外した。




