夏の出来事。8
「落ち着きなさい、祥子。」
「保世ちゃんと真央は、少々違う。真央は、転生者では無い勇者だ。勇者は、何故か男性ばかり。真央は、違う。」
「どう言う事、お父さん?」
「わからん、ただ真央が堪えれるだろうか?そればかりが、心配だ。」
「何とか、ならんかね。真央が覚醒しないで、子供を産めるなら万々歳なんだがの。」
「母さん、真央は覚醒しているかもよ。」
「えっ、そうなのかい?」
「姉さんと真央、何か余所余所しいでしょ。それに、賢者の子供を身籠もるなんて。偶然にしては、出来すぎよ。」
「よく、私ら無事だったね。」
「真央だからよ、あの子は苦しみながら乗り越えようとしているのよ。」
「どうしたもんかね、先生。」
「ところで、何でお父さんそんなに詳しいの?」
「わしも、転生者じゃよ。聖者と、言うらしいがな。」
「えーっ、お母さんも?」
「私は、普通の人間だよ。」
「何か、人間って最強なのね。」
「どう言う意味かな、祥子ちゃん!」
「悦子さん、怖いよ。あっはっは…。」
「やっぱり、真央にも聞こうよ。本人の意思も、大切だよ。」
「そうだな、帰って来るの待っている間にご飯でも食べに行こうか。ひさご寿司でいいかい、節子さん?」
「先生の奢りなら、どこでもいいよ。」
「母さん!」
「なんだい、あんたも寿司は好きだろう。」
「すいません、先生。」
「じゃあ、行こうか。」
「ママ、ボク後悔している事がある。」
「何かしら?」
「パパがずっと帰って来なかった時が、あったじゃない。あの時、ママはパパと離れようとしてくれたよね。ボクはヘタレだから、又探されてボロボロにされると思ってた。だから、ママだけ離れてって。ボクは、パパを待っているって嘘をついた。」
「そうね、ちょっと悲しかったわ。あなたの気持ちに気づかないママが、馬鹿だけど。」
「ううん、あの時ボクはママを捨てたんだよ。だから、何と思われてもしょうがない。だけど、この子が出来て気付いた。ママは、絶対ボクを捨てない。お腹の子供は、私が守る。だから、産ませてよ!」
「あなた一人の、問題じゃないのよ。家族や祥子ちゃん家、そして柏木さんの所も巻き込んでいるわ。」
真央が、車窓からずっと外を見ている。
「月って、ずっと追いかけてくるね。」
「何か食べて、帰る?」
「ううん、いらない。」
「ねぇ、真央。一度、東京に行きましょう。私の友達に、あなたを診てもらいたいの?」
「友達って、誰?」
「転生者で、賢者の女性よ。」
「今は、確か人気の占い師さんになっているはずよ。」
「占い師、ちょっとそれはどうかなと。」
「あら、別に占ってもらおうって訳じゃないわよ。あなたの、本性が知りたいのよ。」
「本性って、ボクはただの美少女だよ。」
「自分で、言うかなぁ。あなた勇者なのに、私を殺さないじゃない。それどころか、他の魔王にも手を出してないんでしょ。」
「さすがに、ママは殺さないでしょ。他の人だって、危害を加える訳でもないし。」
「ほら、根本が違うのよ。もしかしたら、何かわかるかもしれないじゃない。私は、柏木君の精子を注ぎ込まれているせいかなと思っているんだけど。」
「ママ、言い方!」
「あら、本当の事じゃない。男の子のクセに、いつもイヤらしく受け入れてるんでしょ。」
「ウー、もう!そうです、ボクは男の人にイヤらしく可愛いがられています!」
サッキュバスの魔王って、本当に厄介。




