夏の出来事。7
「真央、泣かないの。あらら、寝っちゃったわね。」
しかし、勇者じゃなくて良かった。
何で、転生してくるのか?
簡単な事、こちらにいる魔王を倒す為。
向こうに行かれたら、厄介だもんね。
後、母体になる私たち魔物も標的よね。
勇者以外は、単体では脅威では無いけど。
私も小さかったから、あの人が勇者だってわからなかった。
兄さん、ごめんなさい。
母さん、ごめんなさい。
真央、ごめんなさい。
あなた、勇者よ。
多分、生まれてくる子は魔王。
どうしよう、母さんも悦子も気付いてない。
そもそも真央は、普通のサッキュバスだと思っている。
まっ、普通も何も無いけど。
「先生、この度は孫がお世話になりまして。これ、つまらない物ですが。」
「お気を、遣われずに。悦子ちゃん、どこまでお話したのかな?」
「生理が来た事と、妊娠したので手術が難しい事は伝えました。」
「そうか、真央はどう言っている?」
「産みたいって、私たちは反対では無いけど先生のお話を聞いてからと思っています。」
祥子が、コーヒーと茶請けを持って来た。
「祥子、母さんも呼んで来なさい。お前にも、ちゃんと聞いてもらう。」
「真央がいないのに、いいの?」
「いない方が、好都合だ。保世ちゃんにも、あまり聞かしたくない。」
「私が、聞いていいの?」
「あぁ、お前が真央の事一番理解してるだろう。」
「うん、お母~さん。」
「先生、巻き込んでしまって良かったのかの?」
「節子さん、真央はわし等夫婦にも孫なんじゃよ。」
「そうか、ありがたいの。」
祥子が、母を連れて来た。
「まず、今のままでは真央は出産は無理だ。」
「身体の事なら、保世の時の方が大変じやったろう。」
「確かに。しかし、保世ちゃんと真央は根本的な違いがある。」
「お父さん、真央が何者か知ってるの?」
「あぁ、悦子ちゃん以外は人間じゃない事もな。」
「悦子ちゃん、人間だったの!」
「いくえさ~ん!」
「ごめんね、悦子ちゃん強いから。」
「いくえさんほどでは、無いですよ。」
「お母さんも、知ってたんだ。」
「保世さんは、節子さんと同じだね。真央は、転生者に近いのかな。多分、真央のお父さんと同じだね。」
「えっ、真央が!勇者って、事ですか?」
「あの運動音痴の真央が、剣道や射撃にあそこまで秀でてるんだ。サッキュバスだけって事は、無いよ。そして、身籠もった子は魔王だ。確か、相手は同級生だったかな。彼も、転生者だろ?」
「確かに、柏木君は賢者でした。本人は、気付いていない様でしたけど。」
「真央が、勇者で魔王を身籠もった。全部、あいつのせいよ!」
「母さん、死んだ人の事言ってもどうにもならないわ。先生、魔王だとしてこちらの世界では何の影響も無いでしょ?」
「確かに、向こうに行かない限りちょっと特殊なって位だ。ただ、産まれる時に母体の魔力を持って行く。ほぼ、母体は耐えられなくて死ぬ。」
「そんなのって、私が替わりに産む。」
「祥子、お前じゃお腹にいるだけで耐えられないよ。真央だから、身籠もれたんだ。そして、真央にしか、産めない。酷だが、赤子か真央か?」
「魔王なんて、災厄でしょ?勇者の真央の方が、大事じゃない。」
「祥子、漫画の読みすぎだ。魔王が悪で、勇者が正義だなんて向こうの世界の理だ。こちらの魔王は、人々の負の感情を食べて穏やかな世にしてくれる。対して勇者は、魔王らしきと見れば関係ない者でも容赦無く潰して行く只の殺人犯だ。」
「真央は、そんな事しないわ!」
「真央が、剣道を本気でしたとこを見た事あるな。あれでも、抑え付けているんだ。開放されたら、誰も太刀打ち出来ない。」
「真央は、小っちゃい子供なの。私が、守るの!」
ただ今、四回目の手術で入院中。仕事次第ですが、退院したらよろしくお願いします。




