部活、土曜日。
着々とトーナメントが進み、次が松浦と真央の対戦だ。
戸沢先生が、審判するらしい。
初戦シードの三浦が、副審である。
真央が、面をつけ始める。
松浦が、戸沢先生のところで大声で喚き出す。
「俺は、女とはやらねぇ。あんなやつに勝っても、うれしくねぇ!」
「勝ってから、言え。真央、ハンデをくれてやってもいいか?」
「いいよー。」
「松浦、お前が真央のどこかに竹刀を当てたら勝ちだ。負けたら、今後松橋の言う事をちゃんと聞け。」
「どこても、いいのか?」
面をつけた真央が、そこにいた。
「どこても、いいよー。防具無いところでも、いいよー。」
「なめんなよ!」
「三本勝負、始め!」
松浦が、勢い良く竹刀を繰り出す。
が、微妙に剣先がずれて真央に届かない。
いらいらが募る、松浦。
真央は、一歩も動いていない。
どうなってんだ、あれ?
松浦が竹刀を真央に投げつけて、殴りかかった。
真央が横にずれると、そのまま面を床にぶつけて倒れ込む。
「何やっとるか、松浦!」
戸沢先生が松浦の竹刀を拾い上げ、松浦の腿裏を叩きのめした。
立ち上がり、睨み返す松浦。
「真央、大丈夫か?」
「大丈夫だよ、早く再開しよ。」
「松浦、次やったら退部だ。わかったか?」
試合が、再開する。
2秒で、終わった。
真央の小手打ちと突きが決まった。
あっけない、終わり方だった。
松浦が、竹刀を壁に投げつける。
戸沢先生が、見かねて声を上げる。
「松浦、お前は退部だ。もう二度と、剣道部に顔出すな!」
「頼まれたって、来ねーよ!」
その後休憩になったが、真央がいない。
図書館の裏から、泣き声が聞こえた。
そこには縛られた真央が、松浦の木刀でボコボコにされた姿があった。
すぐに先生を呼び、真央の元へ行く。
周りには、機械科のヤンキー達がニヤニヤしていた。
そして、松浦達は先生が来る前にバイクでどこかに行ってしまった。
ナラショウさんが泣きながら、真央にすがる。
真央が泣きやんで拘束を解くと、そのまま気を失った。
先生が救急車を呼び、警察にも連絡する。
とんでもない事に、なった。
救急車が到着すると、ナラショウさんと松橋先輩が付き添うことになった。
真央の保護者には、松橋先輩が連絡するらしい。
警察がやって来て、先生から事情を聞いていた。
落ち着いた頃を見計らって、部は解散になった。
俺は、病院の場所を聞いてタクシーに飛び乗った。
病院に着くと、奈良産婦人科の看板が掲げられてた。
ケガなのに、産婦人科?
入り口が開いてないので裏に回ると、救急出入り口があった。
インターホンを押すと、中から看護師さんがやって来た。
事情を説明すると、中に通してくれた。
待合室に、松橋先輩がいる。
命に別状は、無いらしい。
骨折等も無いし、腫れが引いて痛みが治まれば大丈夫らしい。
ナラショウさんはって聞くと、自分の部屋で着替えているらしい。
家近いのかと思ったら、ここナラショウさんの家なんだと!
真央はここの小児科の、かかりつけだと。
かかりつけねぇ、小児科ねぇ。
まぁ、そうなんだろう。
ナラショウさんが、やって来た。
看護師さんが、中に入れてくれる。




