目覚め。6
中学生だった頃は、良く本店に行っていた。
こっちのお店は、メニューも少なく店内も狭い。
ラーメンとギョウザしかないけど、何故だか本店より美味しい。
ただ、ご飯が欲しい。
ボクは一人でラーメン食べきれないから、小さいお椀に分けてもらう。
あまり上品ではないけど、ご飯にスープをかけて食べるのが好きだ。
この間、お店の人に二階の喫茶店からご飯もらって来てもいいかって聞いてみた。
構わんよ、お嬢ちゃんって。
二階の喫茶店は、悦子お姉ちゃんの同級生がやってる。
お姉ちゃんに気があるみたいで、いつもサービスしてくれる。
もちろん、ご飯も無料だ。
発泡スチロールのお椀に入れてもらって、吾作に戻る。
ママから麺をもらって、お姉ちゃんからスープをもらう。
ママはビール片手に、餃子をつまんでいる。
「おいち、ママ一個ちょうだい。」
「熱いから、フーフーするのよ。」
「ハフハフ、熱っ!」
二人共食べ終わって、ボクを待っている。
「ごちそうさまでした。」
お家に帰って、お風呂入って早めに寝る。
「ショコママ、なしてここにいるの?」
「悦子さんに、頼まれたから。」
「部活は?」
「真央が来ないし、つまんないもの。」
CT撮影室の前で、ずっと抱っこしてる。
とっても、気持ちいい。
あっ、呼ばれた。
「抱っこしたまま、更衣室に連れていかれる。」
「お嬢ちゃん、預かりましょうか?撮影終わるまで、大丈夫ですよ。」
二人して、キョトンとする。
「須藤真央です。」
ボクは、手を上げる。
「えっ、16歳?なの?」
「ハイ!」
「ごめんなさい、かわいいから…。」
ですよね~。
小児用の、羽織り物を渡された。
「じゃあ、導入剤入れるからね。チクッとするけど、頑張ってね。」
本日二度目の、注射!
先は、ショコママが抱っこしてくれてたから。
今は、台の上で一人横になっている。
うっ!
「ウア~ン、マ~マ!イヤ~!ママ~!ママ~!」
「ねえ、お母さん呼んで来て!」
ショコママがやって来て、もう一方の手を握る。
「真央、ママよ。安心して、すぐ終わるから。」
「うん、グスッン。」
「すいません、お騒がせして。」
「しょうがないわ、小っちゃい子は怖いでしょうから。はい、もうちょっと頑張ってね。」
「ウッ、ウッ、グシュン。」
「ママ、ここにいるからね。」
「はい、入りました。よく、頑張ったわね。えらいわよー。」
「真央、よかったね。」
「お母さん、ありがとうございます。撮影始めるので、待合で待っていてください。」
「真央、頑張ってね。」
《息を止めてください。》
《楽にしてください。》
装置が動く度に、機械が指示をする。
「はい、終わりました。よく、頑張った。ほら、お母さんよ。」
「ママ~!」
「真央、ジュース買ってあげるから着替えましょ。」
「やったー!」
「ありがとう、ございました。」
「バイバーイ!」
「はーい、お大事に。」
ショコママにジュースを買ってもらっていると、悦子お姉ちゃんが帰って来た。
ショコママに預かってもらっている間に、モーニングに行ってたらしい。
「助かったわ、祥子ちゃん。よくわかったわね。真央の、診察。」
「お父さんに言われて、予約取ったの私なんで。」
「真央、泣かなかった?」
「うん、ちょっとだけ…。」
お姉ちゃんが、顔を覗き込んできた。
「だいぶ、やられたみたいね。よかったね、祥子ちゃんがいて。」
「あいっ!」
「真央は、祥子ちゃんがいればご機嫌ね。」
真っ赤かな、祥子。
ご満悦な、真央。
支払いして、帰る。
結果は、後日奈良医院に送ってくれるらしい。
一応、今日フロッピーを取りに行く事になっていた。
昨日もらったし、今日は検査だからやっぱ明日行くって伝えた。
彼は少し不服そうだったけど、昨日はしないって言ったのに無理矢理したから大人しく引き退がった。
「真央、今日はお仕事行かないの?」
「うん、明日行く。」
「お仕事、大変なの?」
「うん、ちょっとづつやってる。」
「何のお仕事か、教えて?」
「統計の資料集めて、企業に売ってるのよ。一回で、ん十万からん百万もらえるらしいわ。」
「お姉ちゃん!」
「あら、いいじゃない。」
「凄い、真央って何でもできるのね。」
「祥子ちゃん、何でもできる子があんなに泣きベソかかないわよ。」
「ふふふ、ですよね~。」




