部活、初日。
真央が教室でお菓子を食べていると、ナラショウさんがやってきた。
「真央、行きますよ。準備、なさい。ほら、お口拭いてあげるわね。」
真央がアンパンマンのショルダーと水筒を肩から下げて、お茶を水筒から飲む。
ナラショウさんは、真央の手を引いて校長室に向かう。
「しょこたん、どこに行くの?」
「着替えに、決まってるでしょ。今日から、練習するんでしょ?」
真央は、着替えが一人でできない。
体育のある日は、朝からジャージを着ている。
中学時代も似た様なもので、部活では下級生のお世話係がいた。
1年生の時は、転校する前も後も稽古させてもらえなかったので問題なかった。
ナラショウさんは、真央を着替えさせる前に自分が着替える。
男子の前で着替えるのは、如何なものか。
二人共に無頓着で、気にしてないらしい。
むしろ、真央は男子と一緒に着替えるのを嫌がる。
その辺が、原因なのかも。
そして、真央が着替えさせられた。
お互い防具を付けると、サイズこそ違え全く一緒の色合いだ。
白の上下の、稽古着。
これまた白色の防具に、鮮やかな赤銅。
「しょこたん、一緒だね。仲良しさん、やったね!」
ナラショウさん、涙ぐんでる。
何が、あった?
二人が道場に着くと、壁に大きな紙が貼ってあった。
「何、あれ?」
「新しい練習スケジュール、出来るかしら?」
「男子と女子は、メニューが少し違うみたいだよ。」
「ホントね、あれなら大丈夫そうね。でも、わからないところもあるわ。」
「大丈夫、ボクが教えてあげるから。」
「真央、わかるの?じゃあ、お願いね。」
作った本人とは、ナラショウさんも思いつかなかったようだ。
松橋キャプテンが、号令をかける。
「練習、始めるぞ!」
基礎練習が終わり、応用に入るとわからない技が出てきた。
三浦や柴田が、手ほどきする。
あらかじめ、真央に昼休み手ほどきを受けていた。
休憩をはさみ模擬稽古の時間になると、松浦が真央に相手しろと迫っている。
「おい、お前強ーんだろ。手加減してやるから、かかってこい!」
「いやだ、手加減するならやらない。」
「何だと、手前反抗すんのか?」
「止めとけ、松浦。俺が相手するから、手加減してくれよ。」
松橋キャプテンが、間に入る。
かわいそうに、叔父ってだけで。
松浦もレギュラーになりたいらしく、この程度ではキャプテンに逆らわないようだ。
「柴田、真央とやっとけ。」
俺かよ、真央泣かないかなぁ。
そして、始まる。
真央は、全然動かない。
正直、俺も相手が動かないと攻撃しないのでやりにくい。
しばらくして、やっと真央が…。
あれ、真央の動きが全然わからんかった。
動いた、動いたよね?
俺の小手、めっちゃ感触あるよ。
やばい、次元が違う。
イヤ、同じ生き物ですか?
誰か、見てました?
「三浦、あのさ…。」
「あぁ、普通にムリだろ。見つからない反則技、考えているところだ。」
「ねぇ、達ちゃんボクから仕掛けていい?」
「あぁ、わかった。」
俺、人間と練習したい。
あんな化け物は、いやだ。
三浦以外、誰も気付いてない。
何で?
練習が、早めに切り上がった。
明日土曜日に、新人戦のレギュラー決めをするとの事。
今日は、トーナメントのくじ引きだそうだ。
俺の初戦は、初心者の伊藤だ。
よかった、楽勝だ。
真央は、あの松浦だ。
松浦も、不運だな。
うまくいけば、ベスト4も堅かっただろうに。
二回戦以降は、抽選だそうな。
ちなみに、敗者復活もするらしい。
腐るなよ、松浦。




