練習試合。8
トーマスのトランクから、クーラーボックスを取り出しお昼ご飯に向かう。
森中の方から、従姉妹の直子ちゃんがやってきた。
「真央、これ母さんが持って行けって。」
タッパーに、冷たいチーズケーキが入っていた。
「信子おばちゃんが、作ったの?」
「私も、手伝ったんだから!」
「ありがとう、正は元気?」
「元気よ、たまには顔出しなさいよ。おばあちゃんも、寂しがってるわ。」
「うん、そうする。」
「真央の事、よろしくお願いします。」
「はい、こちらこそ。」
ドヤ顔で、帰って行った。
「いい子ね、かわいいし。」
「うん。」
何だろ、何かあるのかな?
今度は、将軍野の方から一人の女の子がやって来た。
まぁ、真央にそっくり。
姉妹と言っても、わからない。
もしかして、生き別れとか。
「真央先輩、レモンの蜂蜜漬け食べて。」
「美佐子、又強くなったね。練習、頑張ってるんだね。」
「うん、先輩の言った事ちゃんと守ってるもん。私、来年ここの高校に行くからよろしくね。」
「お家の事情?」
「先輩がいるからに、決まってるでしょ。直子ちゃんの家に、厄介になるわ。」
「そうか、待ってるね。」
「先輩、来年よろしくお願いします。」
「えっ、私?はい、よろしくお願いします。」
真央、モテモテね。
って言うか、あんた結構女の子にモテるじゃない。
から揚げ、喉に詰まったの。
「はい、水筒。」
「わー、死ぬかと思った。」
もう、私が半分にして食べさせてあげるわ。
口移しで食べさせると、周りが静まり返った。
しまった、家にいる時と同じ事してもうた。
「ママ~、もっと!」
わー、ママなんです。
ママだから、しょうがないんです。
「祥子ちゃん、大変だね。」
将軍野の子達が、こっちに来た。
何、何なん?
【お母様、真央ちゃんをよろしくお願いします。】
「はい…。」
笑わないでよ、悦子さん。
休憩が終わると、木元先生と真央がみんなを指導する事になった。
将軍野の子達は、慣れたもんですぐ理解する様だ。
森中の子達は、ちょっと要領が得ない。
ウチの部員も、同じだ。
真央が木元先生に説明して、出来る範囲でやらせている。
そんなこんなで、予定の時間になり解散となった。
真央と将軍野の子達を見送り、トーマスに向かう。
「良かったね、真央。久しぶりに会えて、嬉しかったでしょう。」
「うん、みんな元気だった。」
「そうね、帰りましょう。」
「出発進行!」
『ポッポー!』
家に帰ると、祥太が拗ねていた。
「ひどいよ、内緒で出かけるなんて!」
「寝てるあんたが、悪いんじゃない。そもそも、学校なんだから連れて行ける訳ないでしょう。」
「真央は、連れて行ったじゃん!」
「真央は高校生なんだから、当たり前でしょ。」
「へっ、真央って高校生なのか?」
バカめ、今さら知ったなんて。
イヤー、悩め少年。
「じゃっ、しょうがねーな。真央、おいで
。疲れただろう。」
お前は、何をしている。
真央を抱っこするなんぞ100年早いわ!
「ボク臭いから、お風呂入ってくる。」
「じゃっ、俺も。」
「お前は、来るな!」
「おばちゃん、ずるいよ。痛っ!」
「おばちゃん、言うな!」




