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あいつが盗られた。  作者: 森のアカゲラ
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練習試合。

 部活動の練習は、滞りなく行われている。

 女子は、なにやら手ぬぐいを片目を閉じたリ開いたリしながら見つめる。

 視野が起こす錯覚の、説明なんだって。

 難しすぎて、わかんないよう。

 男子は、木刀で稽古してる。

 竹刀では無いから、痛そうだ。

 痛かったら、当たらなければいいって。

 簡単に言わないで、真央。

 あなた、鬼ね。

 それにしても、誰も文句言わない。

 帰り際、真央がみんなを集めた。

 「明後日の金曜日に、森中と練習試合をします。向こうにおじゃまするので、明日帰る時に準備して帰ってください。集合は、現地に朝の9時まで来てください。交通費は、自己負担なのでよろしくね。」

 「なんで、中学生となんだ?」

 「んー、木元先生から連絡があったって。明日、新しい部長先生来るから聞いて。じゃあ、バイバーイ!」

 森中は、地元の中学校だ。

 隣の駅なので、電車で行く事になる。

 ウチの部は、ほぼ森中出身だ。

 みんな、顔色が悪い。

 木元先生は、厳しくて有名だ。

 私は、中学校の時はテニス部だったから知らない。

 さあ、私も着替えて帰りましょう。

 真央とお揃いのヘルメットで、帰宅よ。

 やっぱ、ハズかった!

 

 帰りにショッピングモールで、お昼を食べる事にした。

 「真央、何が食べたい?」

 「ショコママは?」

 決めてよ、真央!

 「うーん、ドリンクバーがあるなら。」

 「じゃあ、サイゼリヤに行こう。」

 「うん。」

 「あっ、ママだ。」

 ちょうど喫煙所から、保世さんが出てきた。

 「あらら、祥子ちゃん、真央。学校の帰り?」

 「はい、お昼ご飯食べてこうと思って。」

 「じゃあ、一緒しましょ。どこでも、いい?」

 「はい、保世さんお一人ですか?」

 「悦子も、いるわよ。ほら。」

 「真央、いい?」

 「うん、大丈夫だよ。」

 悦子さんが、こっちに来た。

 「真央、あのオヤジ何なん?」

 誰?

 「どうしたの、悦子ママ?」

 「木元よ、木元!私の担任だった頃から、全然変わらない。偉そうに、何様のつもりよ!」

 そういえば、悦子さん剣道部の部長だった。

 「お腹、空いた。早く、行こう!」

 「人の話、聞きなさいよ!」 

 「悦子、こんな人がいっぱいいるところで騒がないの。」

 あぁ、怒られちゃった。

 「祥子ちゃん、何か面白いとか思ったでしよ。」

 イエイエ、面白いだなんて。

 ちょっと、思ってました~。

 びっくりドンキーに、来た。

 やっぱり、親子ね。

 嗜好が、そっくりだ。

 「遠慮しないでね、祥子ちゃん。真央の面倒を見てもらって、本当に助かってるわ。真央、いい子にしてた。」

 「うん、してた。ママ、おもちゃ買って!」

 「食べたらね、一個だけよ。」

 今日は、ちゃんとしてる。

 普通の、小っちゃい子だ。

 「ショコママ、パンケーキ半分食べて。ボク、目玉焼きディッシュの小さいのとコーンクリームスープといちごオレとチョコバナナパンケーキね。」

 「あらら、たくさん食べるわね。祥子ちゃんは?」

 「じゃあ、真央と同じで。パンケーキは半分コします。」

 注文が済むと、悦子さんが真央にぶータレ出した。

 「真央、何で森中と練習試合なんかするのよ。こっちは、高校生でしょ。」

 「うーん、ウチ弱いからね。最近、ちょっと調子に乗ってるんだ。」

 男子は、館工に勝った事でちょっと調子に乗ってる。

 レギュラー組は、文句こそ言わないが練習にあまり打ち込めていない。

 女子は、補欠がいないせいで最初からだらだらしている。

 「森中って、どのくらいなの?」

 「ウチの後輩からだと、今年は県大会でベスト4に入ったって。」

 「うわー、強いんじゃない。」

 「準決勝で、将軍野にボロクソに負けたらしいけど。」

 「真央が、顧問だった学校よね。卒業しても、強いんだ。」

 「ボク以外のレギュラーが、全員残ってるからね。それに、見たい奴がいるんだ。」

 「誰?」

 「ショコママは、知らないよ。ボクの親友の、健一。それに、直子が女子のキャプテンしてるんだって。」

 「直子ちゃんって、誰?」

 「ママのお兄さんの娘、ボクの従姉妹?」 

 「直子、剣道部に入ってたの?何でも、あんたの真似するわねあの子。」

 ライバル?

 親友の健一君も、気になる。

 後輩よね?

 明後日が、楽しみだわ。

 来た来た、おいしそう。

 『いただきまーす!』


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