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あいつが盗られた。  作者: 森のアカゲラ
30/91

夏休み。12

 バイクに戻り、竹刀を仕舞う。

 「真央、駅前のファンシーショップ行こか?」

 「うん、わかった。」 

 駐輪場にバイクを停めて、アーケードに向かう。

 ここは、市の中心部だけど空港にショッピングモールが出来たおかげでシャッター商店街になってしまった。

 目当てのお店に入り、気に入りそうな物を探す。

 「ボク、あっち見てくる。」

 真央が、奥の方へ行ってしまった。

 せっかくのデートなのに、女心がわからないの!

 まっ、いいわ。

 青い玉が付いたゴムの髪止め、あらお安い。

 真央のも、買いましょ。 

 緑の玉が付いたの、真央の銀髪に合いそう。

 お揃いだわ。

 後は、色付きのリップも欲しいな。

 真央みたいな、ぷっくりした唇になりたい。

 これが、いいわ。

 あまりテカテカしない、しっとりとした色使い。

 真央は、何処かしら?

 いたいた、ウンコ座りで絵本を読んでいる。

 「ママ、これ買って!」

 くまさんの冒険②、作者くまなの。

 何これ、クマが小さい女の子を魔物や悪い大人から守ってあげる物語。

 しかも、2巻目なの?

 「真央、1巻は要らないの?」

 「ボク、持ってるよ。」

 持ってるんかい!

 値段は、500円。

 「いいわよ、他には?」 

 「やったあ!これだけで、いいよ。」 

 まぁ、お利口さん。

 レジに、向かう。

 「ママ、ありがとう。」

 袋に入れて貰うと、大事そうに抱える。

 「可愛いお嬢ちゃんね、おばちゃんが飴あげるわ。ママの分もね。」

 「ありがとう、お姉ちゃん!」

 「ありがとう、ございます。」

 「又、来てね。」

 どこ行っても、チビっ子は大人気だ。

 駐輪場に戻ると、パンパンマンに顔を腫らしたうちの生徒が正座していた。

 「真央、買い物か?」

 この近くの農業高校の、極悪三羽ガラスの一人だ。

 真央が、手を差し出す。

 「ありがとう、浩美。」

 真央の手に、ガムを渡していた。

 「美奈子とは、会ってねーの?」

 そう言えば、この人真央と同じクラスの北林美奈子の彼氏だ。

 奥の二人が、うちのマネージャー大川美紀子の彼氏の西根和也。

 もう一人は、誰?

 サングラスに口ひげだから、分からなかったよ。

 中学で同じクラスだった、織田省吾じゃん。

 超ヤンキー校の農業高校を1年生で締めた、三羽ガラスってこの人達よね。

 「夏休みになってから、会ってない。何、してるの?」

 「おいお前ら、何ぼーっとしてんだ!そこの真央に、する事があんだろうが!」

 西根君が、大きな声で威嚇する。

 正座してたうちの生徒達が、真央の前で土下座しだした。

 「申し訳ありませんでした

!」

 あっ、この人達松浦と一緒に真央を痛め付けた奴らだ。

 「ふぇっ!」

 「真央、大丈夫か?どこが、痛かった?つらかったよな、ゴメンな。こんな奴ら、殺してもいいよな。真央、俺の真央~!」

 省吾君、最後何て言った。

 俺の真央って、あなたの真央ではありません!

 「これ、どう言う事?」

 西根君に、事の真相を聞いてみる。

 省吾君が真央の事件を知り、松浦のところに行ったらしい。

 松浦は補導されており、捕まらなかった。

 共犯がいる事を知り、そいつらを探し回って今日呼び出した。

 そして、パンパンマンだ。

 なして?

 省吾君、何十回も真央に告白しているらしい。

 完全な片思いだけれど!

 でも、省吾君には彼女がいるとの事。

 二つ上の、ミス鷹高なんだと。

 馬鹿だ、ただのアホだ。

 「省吾、やめといて。暴力で解決しちゃダメ!」

 「ハイ、ワカリマシタ!」

 相当、無理してるわ。

 「いい子だな、真央。ほら、もう1枚。」

 「ありがとう、美奈子に会ったら寂しがってたって言っとくね。」

 「やめて、勘弁してくれ真央。」

 「しょうがないな、わかったよ。」

 「真央、美紀子にもよろしく。それで、あの子はダレ?」

 「ボクの、ママ!」

 「いつも真央ちゃんには、お世話になってます。」

 「真央、お前のお母さん綺麗だな。」

 「こちらこそ、お世話になってます。」

 「ママ、行こう!」

 「真央、愛してるよ~!」

 「馬鹿には、お構いなく。」

 「じゃあ、又ね。」

 「おう!」

 トーマスに乗って、帰路に着く。

 今日が、私のママ記念日。

 デビューの日よ。

 [ポッポー!]

 

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