夏休み。12
バイクに戻り、竹刀を仕舞う。
「真央、駅前のファンシーショップ行こか?」
「うん、わかった。」
駐輪場にバイクを停めて、アーケードに向かう。
ここは、市の中心部だけど空港にショッピングモールが出来たおかげでシャッター商店街になってしまった。
目当てのお店に入り、気に入りそうな物を探す。
「ボク、あっち見てくる。」
真央が、奥の方へ行ってしまった。
せっかくのデートなのに、女心がわからないの!
まっ、いいわ。
青い玉が付いたゴムの髪止め、あらお安い。
真央のも、買いましょ。
緑の玉が付いたの、真央の銀髪に合いそう。
お揃いだわ。
後は、色付きのリップも欲しいな。
真央みたいな、ぷっくりした唇になりたい。
これが、いいわ。
あまりテカテカしない、しっとりとした色使い。
真央は、何処かしら?
いたいた、ウンコ座りで絵本を読んでいる。
「ママ、これ買って!」
くまさんの冒険②、作者くまなの。
何これ、クマが小さい女の子を魔物や悪い大人から守ってあげる物語。
しかも、2巻目なの?
「真央、1巻は要らないの?」
「ボク、持ってるよ。」
持ってるんかい!
値段は、500円。
「いいわよ、他には?」
「やったあ!これだけで、いいよ。」
まぁ、お利口さん。
レジに、向かう。
「ママ、ありがとう。」
袋に入れて貰うと、大事そうに抱える。
「可愛いお嬢ちゃんね、おばちゃんが飴あげるわ。ママの分もね。」
「ありがとう、お姉ちゃん!」
「ありがとう、ございます。」
「又、来てね。」
どこ行っても、チビっ子は大人気だ。
駐輪場に戻ると、パンパンマンに顔を腫らしたうちの生徒が正座していた。
「真央、買い物か?」
この近くの農業高校の、極悪三羽ガラスの一人だ。
真央が、手を差し出す。
「ありがとう、浩美。」
真央の手に、ガムを渡していた。
「美奈子とは、会ってねーの?」
そう言えば、この人真央と同じクラスの北林美奈子の彼氏だ。
奥の二人が、うちのマネージャー大川美紀子の彼氏の西根和也。
もう一人は、誰?
サングラスに口ひげだから、分からなかったよ。
中学で同じクラスだった、織田省吾じゃん。
超ヤンキー校の農業高校を1年生で締めた、三羽ガラスってこの人達よね。
「夏休みになってから、会ってない。何、してるの?」
「おいお前ら、何ぼーっとしてんだ!そこの真央に、する事があんだろうが!」
西根君が、大きな声で威嚇する。
正座してたうちの生徒達が、真央の前で土下座しだした。
「申し訳ありませんでした
!」
あっ、この人達松浦と一緒に真央を痛め付けた奴らだ。
「ふぇっ!」
「真央、大丈夫か?どこが、痛かった?つらかったよな、ゴメンな。こんな奴ら、殺してもいいよな。真央、俺の真央~!」
省吾君、最後何て言った。
俺の真央って、あなたの真央ではありません!
「これ、どう言う事?」
西根君に、事の真相を聞いてみる。
省吾君が真央の事件を知り、松浦のところに行ったらしい。
松浦は補導されており、捕まらなかった。
共犯がいる事を知り、そいつらを探し回って今日呼び出した。
そして、パンパンマンだ。
なして?
省吾君、何十回も真央に告白しているらしい。
完全な片思いだけれど!
でも、省吾君には彼女がいるとの事。
二つ上の、ミス鷹高なんだと。
馬鹿だ、ただのアホだ。
「省吾、やめといて。暴力で解決しちゃダメ!」
「ハイ、ワカリマシタ!」
相当、無理してるわ。
「いい子だな、真央。ほら、もう1枚。」
「ありがとう、美奈子に会ったら寂しがってたって言っとくね。」
「やめて、勘弁してくれ真央。」
「しょうがないな、わかったよ。」
「真央、美紀子にもよろしく。それで、あの子はダレ?」
「ボクの、ママ!」
「いつも真央ちゃんには、お世話になってます。」
「真央、お前のお母さん綺麗だな。」
「こちらこそ、お世話になってます。」
「ママ、行こう!」
「真央、愛してるよ~!」
「馬鹿には、お構いなく。」
「じゃあ、又ね。」
「おう!」
トーマスに乗って、帰路に着く。
今日が、私のママ記念日。
デビューの日よ。
[ポッポー!]




