夏休み。9
真央が宝物をしまっている箱から、紙を数枚出して来た。
皆に一枚づつ、渡す。
何やら、私たちの事をクレヨンで描いたらしい。
子供の絵なので微妙だが、一生懸命描かれて胸を打つ物がある。
そういえば、真央は中学の時美術部に誘われていた。
小学校時代に何度も、美術コンクールで賞をもらったとの事。
周りは下手とバカにしていたが、見る人からするとすごい絵らしい。
本人は、お絵描きの感覚で好きにやっているみたい。
今日は、真央からいっぱいご褒美をもらった。
明日は竹刀買ったら、お菓子も買ってあげなくちゃ。
さあっ、寝ましょう。
今日は、私も早く起きた。
小っちゃい子は、珍しくまだ寝てた。
私は、この子のお腹に顔を当てて思いっきり息を吸い込んだ。
「ウヒャー、ママくすぐったいよ。」
「朝よ、おはよう。真央、顔洗ってババに着替えさせてもらっておいで。」
「おはよう、ママ。」
真央が、トテトテと下に降りて行く。
私は、真央の薬を確かめて着替えをする。
下に降りると、子供博士がいた。
半ズボンにネクタイをして、サスペンダーをしている。
「母さん、真央の格好?」
「真央、顧問なんだろう?それらしく、しないとね。」
「幼稚園の年少にしか、見えないわよ。」
「あら、じゃあこの帽子はダメかしら?」
リボン付きのつば広、ますます園児感が。
私は、見送りのおかんか!
朝ご飯食べて、外に出る。
良かった、送迎バスは来てない。
真央が、車掌ヘルメットをかぶる。
今日から、トーマスで通うんだって。
《ポッポー!》
「出発進行!」
皆と同じく、武道館の横に停める。
《ポッポー!》
皆が、外に出てくる。
「真央の?」
「うん、ボクトーマス!」
「かわいいね、これって原付?」
「原付?トーマスだよ。」
「250CCだから、原付じゃないぞ。改造費も含めて、200万以上する。俺のカブなんて、中古で3万なのに。」
「おじちゃん、おじいちゃんおばあちゃんにありがとうって言っといてね。」
「松橋先輩の両親が、買ってあげたの。差別が、半端ないわね。」
「ウチでバイク通学してるの、俺と真央だけだからな。目立つな。」
「先輩、真央ってバイク通学出来るんですか。」
「あいつが歩いて来たら、日が暮れちまう。しょうがないだろう。」
「確かに。」
真央が、着替えて来た。
練習はまだ無理っぼいが、稽古は付けてくれるとの事だ。
「皆、練習始めるぞ。」
真央から、今日は基礎の反復をするように言われた。
真央が、初心者の男子である伊藤と野口を外に呼び出した。
別口で、指導するらしい。
そして、休憩になった。
真央は、ホワイトボードにいっぱ公式を書いていた。
野口と伊藤に、まず理論から説明しているらしい。
変わった物だ、昔は身体で覚えろと言われたんだが。




