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あいつが盗られた。  作者: 森のアカゲラ
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夏休み。7

 私達は、真央ママに挨拶して帰る事にした。

 「ママ、ボク行くね。」

 「お邪魔しました。」

 「祥子ちゃん、真央をよろしくね。これ少ないけど、小遣いの足しにして。足らないと思うけど、余ったら、真央のお菓子買ってあげて。」

 ワーオ、3万も入ってるよ。

 「こんなに、もらえません。」

 「真央、祥子ちゃんの言う事聞くのよ。」

 「あい!」

 人の話、聞いてない。

 「おじちゃん、おばちゃんに優しくするのよ。」

 「あい!」

 「心細くなったら、トーマスに乗って来てもいいからね。」

 「あい…。」

 「真央、おいで!」

 「あい、あい、あい。」

 私は、そっと部屋を出る。

 「悦子さん、いいんですか?真央、やっぱり寂しいんじゃないんですか?」

 「祥子ちゃんは、いいの?」

 「ずるいです、いい訳無いじゃないですか?何で、真央は私から産まれなかったのって!」

 「それは、私も同じよ。だから、祥子ちゃんがいいんじゃない。姉さんの締め切りが終わるまで、後1週間だけお願いね。私も、仕事する事になっちゃったし。」

 「えっ、1週間だけなの?うーん、困った!」

 「面白いわね、祥子ちゃん。夏休みなんだから、今度は祥子ちゃんが泊まりに来ればいいじゃない。」

 「いいんですか、約束ですよ。」

 「ショコママ、帰ろう。」

 真央が、出て来た。

 ずっと、一緒にいようね。

 自転車からチャイルドシートを外し、真央のトーマスにしまってもらう。

 それにしても、トーマスは道を走って大丈夫なの?

 真央は、運転できるの?

 ヘルメットをかぶる真央、何で車掌さん?

 「出発進行!」

 《ポッポー!》

 クラクションまで、機関車なのね。

 遅ッ!

 遊園地の乗り物かい!

 まっ、自転車と一緒だしね。

 通行人の皆さん、見せ物じゃありませんよ。

 普通のバイクですよ。

 はい、笑わないでください。

 応援も、いりません。

 真央、何手振ってるの。

 モンブランのある坂道、きついわ。

 真央、楽々ね。

 帰ったら、マッサージしてね。

 高校の入り口が、見えて来た。

 やっと、終わった。

 真央が、トーマスを停めて飲み物を持ってきてくれた。

 ありがとう、ママも歳ね。

 ここからは、平坦だ。

 真央、ちゃんとバイク乗れるのね。

 でも、三輪車は卑怯よ。

 似合っているけど。

 「ただいま、帰りました。」

 《ポッポー!》

 「ただいま!」

 「あら、かわいい三輪車。これ、真央のかい?」

 《ポッポー!》

 「うん、ボクトーマス。」

 「祥子、それでちゃんと真央はもらえたの?」

 マジだったの、母さん?

 「1週間、お願いしますって。これ、真央ママから。」

 「あんたが、使いな。真央のお菓子やらも、小遣いから買ってあげてるんでしょ?また、何か買ってあげな。」

 「真央、明日部活終わったら竹刀買いに行こうか?」

 「うん、行く行く!」

 「真央ちゃん、注射のお時間だよ。」

 悪魔、いやお父さんが来た。

 「イヤー、注射いやっ。助けて、ママ!注射、ダメ~!イヤ~!」

 ごめんね、真央。

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