夏休み。6
「悦子さん、何の教科教えるんですか?」
「日本史よ、後剣道部の部長もする事になったわ。はっきり言って、サービス残業よ。真央が、顧問にならなきゃ。」
「悦子さん、剣道の経験者なんですか?」
「そんな訳、無いじゃない。私は、手芸部よ。」
わぁ、イメージ通り。
家事スキル、高いもんなぁ。
真央ママが、たばこを吸いながら出て来た。
「真央、シュークリームごめんね。後で、オモチャ買ってあげるからね。」
「あい!」
「悦子、コーヒーちょうだい。ブラックね。」
悦子さんが、台所に消える。
「真央、お家に残りたい?」
ぼろぼろ泣き始めた、真央。
「ごめんね、真央。ママと、一緒に帰ろうね。」
慌てて、真央に授乳させる。
「どうしたの、真央?」
「私が一人で帰ろうとしたら…。」
笑いながら、悦子さんがコーヒーを持って行く。
帰って来ると、真央の頭をポンポンする。
「ごめんね、祥子ちゃん。祥子ちゃんの親御さんも、困っているでしょう?」
「うちの親は、真央が可愛くてしょうがないみたいですよ。ちゃんとお手伝いもするし、いい子にしてますから。孫にするから、もらってこいって言ってました。」
「孫なの?祥子ちゃん家じゃ、お手伝いするんだ?」
「お兄ちゃんところに、同じ位の子供がいるので。あっ、5才なんですけど。後、家でジジババって呼ばせてます。」
「まっ、祥子ちゃんがママだしね。真央、祥子ちゃんのお家がいいの?」
「あい!」
「悦子さん、真央っていつもこうなんですか?」
「いつもではないけど、甘えたい時はね。でも、今は姉さんがあんな状態だから。私は、真央の甘える対象じゃないのよ。」
「でも、悦子さんに全幅の信頼を置いてますよね。」
「姉さんが、私に甘えるからね。真央は、遠慮するのよ。」
私は、胸の中の真央を抱きしめる。
「悦子さん、真央をしばらくもらってもいいですか?」
「真央は、それでいい?」
「あい!」
この子も、それなりに考えているんだろう。
自分が、今どこにいれば邪魔にならないかと。
頭の回転が早すぎて、感情が追いついていけないのだろう。
最近、私は幸せだ。
いつも、真央の事だけを考えている。
真央がこうした、真央がああした。
そればっかりだ。
いつまで、こうしていられるだろう?
真央にも、好きな人が出来るかもしれない。
柴田君みたいな人を連れてきたら、怒るかもしれない。
信濃屋君みたいな子だったら、ちょっと戸惑う。
大人の恋愛なんて、まだまだ先だと思いたい。
私?私はこれでも、もてるのよ。
でも、真央が一人立ちするまではね。
真央がお嫁さんになるまでは、遠いもの。
真央は、男の子?
そうだっけ、細かい事は気にしない気にしない。
真央のウエディングドレス想像したら、泣けてきちゃった。
「ショコママ、大丈夫?」
「大丈夫よ、真央お嫁に行っちゃダメよ。」
「ボク、お嫁さんになれないよ。」
「祥子ちゃんこそ、頑張っていい人見つけなくちゃ。」
「悦子さんに、言われても。」
「ふふ、そうね。真央、トーマス乗ってっていいわよ。あれだったら、たまにこっちに来れるでしょ。」
「やった、トーマスと一緒だ。そのうち、ショコママも乗っけてあげるね。」
ちょっと、怖い。
それ以上に、恥ずい。




