夏休み。5
「あら、祥子ちゃんいらっしゃい。真央も、一緒なのね。」
「悦子さん、こんにちは。真央、大分よくなったんですよ。」
「お上がんなさい、真央トーマス見た?」
「うん、ピカピカだった。」
「信濃屋君が、洗ってくれたのよ。後で、お礼言っときなさい。」
「あい!」
部屋に通されたけど、保世さんはいなかった。
「これ、ケーキ買って来たんで。」
「ありがとう、うれしいわ。お姉ちゃん、お茶にするわよ。」
ラスボス、登場。
小っちゃい!
「祥子ちゃん、ありがとうね。真央、わがままばっかりでしょ?」
「いいえ、とてもいい子にしてますよ。」
「そうなの、真央?」
「あい!」
真央、とろーんとして眠そう。
「保世さん、真央寝かせてもいいですか?」
「あらら、お願いね。」
勝手知ったる何とか、真央をキッズハウスに寝かせる。
真央の部屋は、悦子さんの部屋の押し入れを改造したものだった。
小っちゃい真央には、二階建ての感覚なのだろう。
ネコ型ロボットも、びっくりだ。
戻ると悦子さんが、紅茶を入れてくれていた。
保世さん、がシュークリームを手に取る。
「お姉ちゃん、それ食べると真央が泣くわよ。」
「そんなの、知らないわよ。早い者勝ちよ。」
真央に、そっくりだ。
悦子さん、大変だ。
「じゃあ、私執筆の続きするわ。祥子ちゃん、ゆっくりしていってね。」
「大変ですね、保世さん。締め切り、近いんですか?」
「真央の事があったから、遅れているみたい。」
「そういえば、悦子さん。うちの先生になるなんて、何も言わなかったでしょ?」
「言ってなかったけ、急に決まったしね。」
「真央、びっくりしますよ。」
「大丈夫よ、真央は私の家庭教師だったから。」
「悦子さんが、家庭教師じゃなくて?」
「うふふ…。」
「もしかして真央って、高校行かなくてもいいんじゃないんですか?」
「あら、知ってたの。真央、もう大学院卒業してるから博士よ。」
出たよ、ファンタジー。
「ちなみに、何博士?」
「確か、統計学だったかなぁ。」
意外に、マイナーだわ。
「もしかして真央も、教員免許持ってたりします?」
「持ってるわよ、あの見た目じゃコメディだけど。」
ですよねー、リアルファンタジーだわ。
真央が、起きて来た。
「真央、ケーキ食べる?」
「あい。あっ、シュークリームがぬぁい!ねえ、ボクのシュークリームは?」
「お姉ちゃんが、食べたわ。真央の、シュークリームじゃないでしょ。」
「あい…。」
聞き分けが、いいわね。
いつもなら、床を転がり回るのに。
モンブランを黙々と、食べてる。
「真央って、保世さんには逆らわないんですか?」
「自分が迷惑な存在だと、思いこんでるのよ。お姉ちゃんも、真央をどう扱ったらいいかわからないみたい。」
「二人共、お互いが好きなんですね。」
「似た者親子ね。」




