部活、休み。3
水木君に聞いていると、ちょっと違和感があった。
彼は、真央のことを普通の友人として接している。
真央の周りは、腫れ物か変人の扱いをする人が殆どだ。
よくよく聞くと、なんとなく理由がわかった気がする。
真央は、小四の時にここに引っ越して来た。
最初は、保育所の子たちと遊んでいた。
真央が小さいから、その位の子しか相手にしてくれないのだ。
集団登校の際に、低学年の子たちが年上と知ってびっくりしていた。
自分の弟や妹の、仲良しさんなのだから。
水木君は、小四で160cmを超える大柄。
対して真央は、やっと120cmに届くかなのちんちくりん。
決して、同級生には見えない。
それでも、その日以来水木君は真央と下校を共にしていた。
最初は同じ方向なので、真央がひっついているだけだった。
そのうち、歩幅が違うせいで付いてこれない真央を水木君がおんぶしたり肩車していた。
真央は、知識欲旺盛で知らない事があるとすぐ水木君に質問する。
常識範囲内の事なので、水木君も普通に答える。
真央からは、絶賛の嵐である。
そんな時、何年かに一度の全国学力テストが開催された。
水木君は、学年2位。
1位は、真央だった。
しかも、全国1位。
ここで捻くれないのが、水木君である。
自宅に真央を招いて、素直に教えを乞うたのである。
ちなみに水木君のお母さんは、真央が保育所時代の担当。
ずっと、年少さんだった真央を預かっていた。
今では、園長先生になったらしい。
真央を家で見つけて、おむつ交換をしようとしたらしい。
ナイス、水木ママ。
そんなこんなで、水木君の尊敬を受ける真央。
5年生になり、水木君が野球部に入ることになった。
面倒を見てくれる人がいなくなった真央は、一人の男の子と知り合う。
信濃屋君、ジャニーズ系の小柄な子だ。
ここから、水木君の過保護が無くなったせいで真央のお友達は増えていく。
柴田君も、その一人だ。
6年生になると、水木君が真央を野球部に誘ってきた。
運動音痴の真央は嫌がったが、水木君は遊んでればいいと。
真央と離れて、淋しかったらしい。
真央は、ずっと球拾いしたり草むしりをしていた。
飽きた真央を見かねて、監督さんがキャッチボールをしてくれた。
なかなかボールをうまく受け取れないが、投げるボールに監督さんが首を捻った。
かなりのスピードボールなのだ、しかも構えた所にぴたっと納まる。
水木君を呼んで、真央にマウンドから投げてもらう。
「水木、使えるな。」
「使えるなんて、優勝出来ますよ。」
「体力が、問題か。」
「大丈夫です、あいつ縄跳び大会で最後まで僕と争って優勝したんですから。」
野球部の課題は、投手力だったらしい。
攻撃力は、ずば抜けて凄いとの事。
ただし、真央は守備とバッティングはからっきしダメとの事。
ボールが怖くて、打つ・守るが全く出来なかった。
それでも真央は、優勝投手になりゴールデングラブ賞をもらったらしい。
守備、出来ないのに?
水木君に何で、野球部に入らなかったのって聞いてみた。
「野球部が、真央を入れてくれなかったからだ。」




