部活、休み。2
私が病院へ戻ると、真央の家族が来ていた。
「祥子ちゃん、ありがとうね。真央からも、お礼を言いなさい。」
真央のお母さん、いくつなんだろう?相変わらず、中学生位にしか見えない。
顔は、そっくりなんだから親子なのかな。
となりの悦子お姉さんは、年相応なのに。
「ありがとう、ショコママ。」
「あらら、又ママ増やしちゃって。そろそろ、ウチの子辞めたいのかしら。」
「真央が泣くわよ、姉ちゃん。」
「ボク、泣かないよ。ずっと、ショコママと一緒にいるもん!」
「あらら、祥子ちゃんが泣いちゃった。」
今日はずっと嫌なことばっかりだったけど、嬉しすぎて死にそう。
父が注射器を持って、やって来た。
「イヤー、注射怖い。ママ、助けて!」
「真央ちゃん、興奮し過ぎて熱が出てるからね。アン○ンマン注射、しようね。」
熱が、でたの?
さすが、本物ママ。
それにしても確かに、アンパ○マンのシールが貼ってある。
注射を打っている間に、真央が寝てしまった。
父が、真央ママ達に話があるらしい。
「祥子、しばらく真央ちゃん頼むな。」
「お願いね、祥子ちゃん。」
真央との出会いは、中学の入学式だった。
真央は、一人の女の子に抱っこされていた。
学生服が似合わず、コスプレみたい。
真央を抱いている女の子は、背が高く和風な美人さんだった。
真央が、牧子ママと呼んでいる。
まだ肌寒い季節、真央が鼻水をずるずるしている。
すると牧子さんは、躊躇なく真央の鼻水に口を当てて吸いあげる。
私は、驚くより羨ましかった。
私の家は、産婦人科と小児科の病院をしている。
子供達を見るにつけ、可愛くてしょうがなかった。
早く、母親になりたい。
牧子さんこと伊勢さんは、大人しくて控えめな女の子だった。
男子とは、めったに口をきかない。
私とも、接点がない。
こう見えても、私はクラスの陽キャのメンバーだ。
そして入学してひと月、ゴールデンウィークになる頃。
伊勢さんが、転校するという。
真央は、ずっと泣いている。
そんな時、伊勢さんが真央を連れて私のところに来た。
「奈良さん、この子をお願い。」
「ねえ、牧子ママこのお姉ちゃん誰?」
「奈良祥子ちゃんよ、これから真央と仲良くしてくれるわ。」
「やだ、ママどこにも行かないで…。」
また、泣いてしまった。
「ママね、イギリスっていうところに行くの。遠いのよ、わかる?」
「ユナイテッドキングダムなんて、知らないよ。」
「あら、よく知ってるじゃない。」
「ねぇ、なんで私?」
伊勢さんが、真央をこちらに預けてきた。
下から涙を流しながら、見上げる真央。
もう、我慢出来なかった。
私は、真央の目元に口を当て涙を掬いあげる。
真央が、少し笑った。
「奈良さん、水木君に真央の事聞いてたでしょ?」
私は、真央の近所だと言う彼に色々聞いて回った。
水木君は、皆から信頼される温厚な少年だ。
小学校時代は、児童会長もしており野球部のキャプテンで4番打者だったらしい。
しかも、秀才の誉れも高い。
そんな水木君なら、信頼できる。




