部活、前日。
「2年B組松橋満也君、1年A組柴田達人君職員室の戸沢先生の所まで来てください。」
校内放送で、剣道部の顧問のところにやって来た。
となりには、新キャプテンの松橋先輩がいる。
「柴田、お前副キャプテンな。」
「えっ、俺ですか?正直、他の奴がいいんじゃないかと。」
二年生は松橋先輩しかいないから、副キャプテンは一年の誰かがやらねばならない。
たった一人一年でレギュラーたった三浦あたりが、妥当だろう。
「三浦は、喋らんから無理だ。他も大して、役に立たん。来週、新人戦のレギュラー決めるからな。」
戻る途中先輩から、協力を頼まれた。
先輩は、高校から剣道を始めたので恐らくレギュラーにはなれない。
妥当に行けば三浦は決まり、後のレギュラーは何人かで争奪だろう。
意外に俺達世代は、剣道部員が多い。
うちの高校で運動部として機能している、数少ない部活である。
道場に入ると、女子部員が騒いでいた。
どうせ又くだらん雑誌でも見てるのかと思ったら、子供の泣き声がした。
どこの子かと思ったら、見た事ある子供だった。
「真央、なんで泣いてるんだ?来るの、明日からじゃないのか?」
「お前らが、泣かしたのか?」
「違うわよ、勝手に転んで泣き始めたのよ。」
「なるほど、真央起きなさい。達人、師範室に運んでくれ。」
奈良祥が、ついてきた。
「達人、真央の事知ってるの?」
「同じ小学校だからな、こいつを剣道に誘ったのは俺だ。お前、小学校違うから真央の事あまり知らないだろう。クラスも、違うよな。」
「うん、知らない。ただ私が剣道部に入ったのは、真央の為よ。最初は、いなくてガッカリしたけど。誰にも、言わないでね。」
美少女と言っても過言ではないルックスで、男子人気も高い。奈良祥子、通称ナラショウさんだ。
「なぜ、真央の為に?話が、見えん。」
「放っといて!真央、起きなさい。」
「あっ、しょこたん。ボク、どうしたの?」
「転んで、泣いてたの。泣き疲れて、寝ちゃったのよ。」
「ウッ、ヴ~。あっ、達ちゃんだ。明日から、よろしくね。」
「あぁ、あまりムリするなよ。ナラショウ、俺練習戻るわ。」
相変わらず、鈍臭いな。
練習、ついてこれるのかなぁ?
松浦あたりの格好のイジメの的に、なりそうだ。
あいつ、最近春日をイジメるの飽きてきてるからな。
松橋先輩も、あいつには文句言えないしな。
しかし、剣道続けてたのか?
髪の毛、長かったな。
どうするんだろう、ウチは坊主が決まりだぞ。
おっ、松浦と三浦が来た。
「柴田、あいつは何だ?」
「須藤だ、明日から練習に来るそうだ。」
「ふーん、須藤って誰だ?」
「真央じゃね?」
「ネコ、真央って誰だ?」
ネコって言うのは、三浦のあだ名である。
顔が猫っぽいのと、身体が身軽なのでそう呼ばれている。
「もう、いい。お前バカだから、そのうち、思い出せ。」
松浦は、物覚えが悪い。
単純に、バカだ。
そのクセ腕力が強く、残忍な性格をしている。
ちょっと、手に負えない。
「あっ、タコだ!」
松浦は、坊主頭が赤いのと名前が隆幸なのでたまにタコって呼ばる。
よっぽど親しく無いと、呼んだ相手にキレる。
「あぁっ、今なんつった!」
「隆幸でしょ、ボク真央だよ。」
「あぁっ、知らねーな。」
最悪の出会いだ。
男の娘、皇太子を産む。よろしく、お願いします。




