エピローグ
あれから2年が経過した。
シセルさんを超える力を得たものの、それを試す相手には未だに出会えていない。
だが、この2年は様々なことがあった。
新たに宇宙から飛来した邪神と戦ったり、封じられていた悪竜を討伐したり。
そして、何より──
「アルガ様、ご飯ができたよ!」
「あぁ、今行く」
レイナが俺を呼ぶ声が聞こえる。
匂いから察するに、今日の晩飯はナポリタンだな。
「うわぁ!! レイナちゃんのご飯は、いつも最高だね!!」
「えへへ、ありがとうございます」
食卓に向かうと、シセルさんが席に着いていた。さらに言うと、すでにパスタを啜っていた。
……別に構わないのだが、せめて俺を待って欲しかった。
「あ、来てたんですね」
「うん!! レイナちゃんのご飯が一番、世界で一番おいしいんだもん!!」
「えへへ、ありがとうございます!!」
確かに、それは事実だ。
レイナの飯はこの世で一番、おいしい。
「しっかし、いいよなぁ。アルガくんは」
「何がですか?」
「こんなにおいしいご飯を作ってくれる、レイナちゃんをお嫁に貰ってさ。羨ましい限りだよ」
この2年での一番の変化、それは俺とレイナの結婚だろう。
シセルさんを倒した後、俺はレイナに猛アピールされた。
最初こそ断っていたが、アピールされていくうちに……俺も惹かれていったんだ。
そして半年前、レイナと結婚した。
今では俺とレイナ、そしてララ・リリ・ルルと暮らしている。いや、結構な頻度でシセルさんもやってくるか。
「えぇ、そうですね。俺は……幸せ者です」
「えへへ……!! わたしもです!!」
「はぁ、いいな。ノロけちゃってさ」
あの日、追放されなければ、この幸せは得られなかっただろう。俺は今でも、カナトたちと共に、うだつの上がらない日々を送っていただろう。
そう言う意味では、カナトには感謝している。俺にこんな幸せを与えてくれて、ありがとう。
「そんな幸せを……守らないとな」
「? どうかしましたか?」
「いや……なんでもないよ」
これから先、どんな脅威が待ち受けちるかはわからない。
宇宙より飛来する邪神は今のところ弱いが、いつ俺の想定を超えてきてもおかしくはないだろう。
俺は今よりも、ずっと強くならなければならない。
この幸せを守るために、ずっとずっと強くなるのだ。俺には、いや。俺だからこそ、それができる。
「レイナ」
「はい」
「愛しているぞ」
「……わたしもです!!」
「いいなぁ……。わたしもそろそろ、結婚したいな」
「だったら、アルガ様と結婚すればいいんじゃないですか?」
「え!?」
「そうすれば、シセルさんも幸せになれますよ?」
「えっと、それは……えへへ」
「ま、まぁ……そ、それは……な?」
「? いい案だと思ったんですけれどね」
俺たちの物語は、これからも続く。
ずっと、ずっと。
新作を投稿しました。
【刻下の古代魔法師 ~『魔法の才能がない』と言われて公爵家から追放された俺は、大賢者に弟子入りして最強の【古代魔法】を習得した。古代魔法は全てにおいて、現代魔法の上位互換なことを知らないのか?〜】
広告下のバナーから飛べます。
自信作ですので、是非ともお読みください!!




