表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/55

第29話 さようなら


「アルガ様……ありがとうございます」


「あぁ、構わないさ。それより……お前は大丈夫か?」


「はい。わたしは……心配いりませんよ」


「本当か?」


「少しだけ……つらいです。ですけれど、あのまま狂ったお父様が永遠に生き続けると考えた方が、ずっと苦しいですので」


「それも……そうか」


 目の前で親が殺されたのだから、大丈夫なハズがない。

 だがレイナは健気に、「大丈夫」だと告げた。

 俺には親がいないからわからないが、目の前で親が殺されて大丈夫なんて……言えるだろうか。


 魔物と人間で精神構造が違う可能性も否定できない。

 だがそれでも、こうして健気に感謝を告げられるレイナは確実に、強いのだろう。


「ドロップアイテムの確認を行いたいが、まずは……コイツの処遇だな」


 目の前にはラトネの石像が転がっていた。

 欠けることなく、絶望の表情で石化しているラトネの姿がそこにはあった。


「どうするの? 砕くの?」


「そんな野蛮なことはしないさ。ララ、こっちに来い」

 

「デドラァ!」

 

「【ドラゴンブレス】だ」


「デドラァ!!」


 ララに命令を下し、灼熱の火炎をラトネの石像に浴びせる。

 轟々と燃え盛る火炎が、ラトネを徐々に融かしていく。

 数分後、ラトネ像は完全に融けきった。


「よし、復讐終了だな」


「……砕くよりも野蛮じゃない?」


「そんなことはないですよ。さて、それでは」


 俺は地面に手を付け、土魔法を唱える。


「《中級の岩芸術品(ロック・アート)》」


 地面がモコモコと盛り上がり、とある形を形成していく。

 それは先ほどのラトネの石像そっくり……いや、その物と化した。


「へぇ、綺麗だね」


「こいつをカナト達にプレゼントします。カナト達はただの岩人形を抱えながら、必死に呪いを解こうとするでしょうね」


「肝心の本人は既に死んでいるというのに、必死に岩人形に希望を見出す姿……想像するだけで哀れだね!」


 もちろん、俺の復讐はその程度では終わらせない。

 今回の攻略で、ルルが進化した。ルルは精神に作用をする能力を習得したのだ。

 これを使わない手はないだろう。

 本来考えていた作戦に加え、ヤツらにより一層キツい仕置きをしてやるのだ。


「では最後に、ドロップアイテムの回収をするか」


「……はい」


「大丈夫だレイナ、ここで回収した道具はお前に譲渡してやるから」


「……え? ど、どうしてですか?」


「どうしてって、お前は俺の大切な仲間だからな。その程度、普通だろ?」


「あ、ありがとう……ご、ございます……」


 ポロリポロリと泣き出すレイナ。 

 まったく、泣き虫だな。


「さぁ、開けるぞ」


「は、はい!!」


 お父様を倒した時に出現した、宝箱を開ける。

 そこには──


「……ゴスロリ?」


 箱に入っていたのは、綺麗に折りたたまれたゴスロリ服。

 それは以前にレイナが着ていたものよりも、多少かわいいものだった。


「お父様……これは……」


「きっと……レイナに向けての、最後のプレゼントなんだろう」


「お父様……」


 ギュッとゴスロリ服を抱きしめるレイナ。

 その瞳には、相変わらず涙が浮かんでいる。


「ほら、着てみろよ」


「は、はい……!!」


 スルスルとレイナは袖を通していく。

 そしてその服を着ると、思っていた以上にピッタリのサイズだった。


「似合っているな」


「あ、ありがとうございます……」


 今度は顔を赤く染めるレイナ。

 泣いたり赤く染めたり、忙しいな。


「ほら、イチャついていないでさっさと帰ろうよ」


「い、イチャつくだなんて……そ、そんな……」


「えぇ、わかりました」


「あ、ちょっと!! 待ってくださいよ!!」


 俺たちは帰還した。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


下にある☆☆☆☆☆から、

作品への評価をお願いします。


『おもしろかった』『続きが気になる』と

思った方は星5をお願いします。

『つまらなかった』『もう読まない』と

思った方は星1をお願いします。


ブックマークもお願いします。

このページの上下にある『ブックマークを追加』から行えます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ