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かくして猫は語る 『あの時歴史は動いた』

作者: ツカノ シホ

物語を完結できなくなったので小さな成功体験をと思い、思い付きをダーッと書いて投稿いたします。

 



 皆様こんにちは。今は流行りの庶民小市民平民だと思って生きていたら、どうやら貴族の子供だったらしく、いきなり現れた父親の手のものによって引き取られて貴族の世界の仲間入りを果たした心は平民、身分は貴族(笑)のリリーです。

 え?その流行りはもう廃れている?今は何でも羨ましがる妹が主流?嫌だなぁ。本当のこと言わないでくださいよ。


 おふざけはここまでにして。とまぁ、そんな成り行きで貴族になってしまった傍目から見れば『超幸運』な少女リリーは、貧乏な生活をしていた事が祟り貧相な見た目をしていたために引き取られたその日のうちに父、チャランポウ男爵から見放されました。

 あの腐れデブ禿親父いつか燃やす。

 どうやらチャランポウ男爵は同じ年のころの王子が通う学園に、美人だった母の血を継ぐ美しい娘を通わせてその心を射止めさせようという、頭が弱い方特有の甘ちゃん発想で、泣いて互いを離すまいとする私と母さんを引き離したらしいです。

 あの腐れデブ禿親父、燃やすだけじゃ事足りん。いつかもっと様々な知識をつけてこれ以上にない苦しみを味合わせてやる。


 そしてです。見放されて放っておいてくれるのかと思いきや、なんとあの腐れデブ禿親父めは私をその貴族が通う学園にぶち込みやがったのです。

 見放したけどもしかしたら案外いいものひっかけてくれんじゃね、という魂胆なのか。

 声を大にして言いたい。

 あほなのか、阿呆なのか、あほなのか。大事なことなので三回言いました。ええ。文字通り私はぶち込まれたのです。

 心は平民、身分は貴族。もちろん貴族様ならでわのお作法も暗黙の了解の不文律も心得てなどおりません。そんな私を、そんな私を!!

 あの腐れデブ禿親父めは貴族の子息子女の通う未来の権力者が集う魔窟へと放り出しやがったのです。

 馬鹿なのか、バカなのか、馬鹿なのか。ろくなお作法すらもわからない、踏み込んではいけない暗黙の了解も知らない、つまりはいつ誰かの不興を買うかわからない状況にほっぽり出しやがったのだ。つまるところ、チャランポウ男爵家のお取り潰しにもつながりかねないってこと、わかってないらしい。

 小耳に挟んだところ、あの腐れデブ禿親父めは貴族平民も常識は同じと考えている可能性があると。自分の知らない世界など存在しないとの認識らしいと。すっげえ。こいつ。全知全能の神のつもりなのか。


 と、いうわけで、そんないつ爆発するかわからない時限爆弾を体に巻き付けられて学園に通うどころか、寮に出された私のことをご覧あれ。学園に授業に出ている間どころか生活の全てを晒し者にされる気分をご想像あれ。

 そこに『超幸運な』という言葉は正しいでしょうか。いや、正しくない。



 学園入園から早半年、作法も勉強もわからず、馬鹿にされて心をポッキポキに折られて教室に行けずに学園の人気のないところでめぇめぇ泣いておりました。

 人間まいっちゃうときってあるよね。今がそれ。今まではどんなに貧乏でも母さんが絶対的な味方だった。ご近所さんも親切だった。母さんお腹空かせてないかな。あの腐れデブ禿親父が置いてったお金本当にお金だったかな・・・。


 教室に行かないでいると教師から放課後呼び出し食らうのだけど、全方向から馬鹿にしたような蔑みの目線が投げかけられる教室で授業受けるよりはましなのだ。呼び出されると個人授業になる。

 学園入園時にはなんと私のことはチャランポウ男爵家の醜聞として、それはまことしやかにあることないことささやかれており平民に理解のある(ただし有能な平民)貴族の方とも距離がすでにあった。理解者を得るなんぞ到底無理の無理無理。ましてや、私は有能さで取りたてられたのではない。美人な母の血を継いでいることを期待されて引き取られたものの、みすぼらしい見た目でそのまま興味を亡くされてしまった哀れな(笑)娘なのである。


 学園に入れられると聞いたときは絶望とともに、もしかしたら親切な方もいるかもしれないと自分に言い聞かせていたあの頃が懐かしいです。母さん、元気ですか。娘は心がぽっきっぽきのぽっきりんちょです。母さんに会いたいです。


 そんな風に現実逃避しながら泣いていたのですが、授業中なので誰もやってこないはずのその場所に喧嘩をしながら近づいてくる二人の影に気が付きました。

 その人影にぞっと背中が泡立ちます。


 ロイヤル~~な気配ダダ漏れの彼らはこの国の王太子とその婚約者。


 えぇ。絵姿くらい拝見したことはありますとも。けれども姿形よりも前に漏れ出てるロイヤル~~なその気配。やばい。これが高位のお方々。

 ぞっとするのと同時に、突っ込みます。

 お前ら学生なのに何サボってるんだよ!(自分のことは棚に上げる)あ、王太子と婚約者だから権力で単位取る感じですか。そうですよね。あぁ、平民に戻りたい。何故こんなところに。


 人が来るわけがないとタカをくくっていたので身を隠す場所も必要もない!とジメジメとしたこの日陰の裏庭の隅にいたので、慌てて身をすくめておりましたら婚約者と喧嘩しながら近づいてきた王太子に存在を気づかれました。


 淡い金髪に深い青い目。ロイヤルブルーですね。ロイヤルなだけに。ふふふ。がっつりと目が合ったことに思わず気が遠のきます。

 わたし、死んだわ、これ。目が合った瞬間に何かを見極めるように細められた目に殺気を感じて命じられるまでもなく平身低頭、まさしく身を投げ出します。


「あら、あなたは・・・。」


 飛び出した上にいきなり平伏したことによって、ようやく私に気が付いた婚約者様は驚かれたようで形のいい瞳をまん丸にしていたとか。


「これ、そなたも青い血を引くもの。その様に平民・・・いや罪人の真似をしなくともよいのだぞ。」


 え、だって明らかに殺気を感じましたけど。殺す気満々でしたよね。

 と思わず言いたくなるほどのお言葉をいかにも優し気な声で語りかけてくる王太子殿下。その声にはどこか面白がってる素振りすら聞き取れる。ぶふっとか聞こえるもんね。笑いこらえているらしい。


 ヤメテ!!わけもなく涙が出て止まらなくてパンパンに腫れ上がって真っ赤なこの瞼ときったない泣き顔を見せたくない!!

 命の危険を感じた事と、このどちゃくそ汚い泣きはらした顔を人さまに見られたくない、という人間としての当然の矜持が相まって、華麗に決めたスライディング平伏。


「顔をあげよ。」


 あ、またぶふっと笑った。これ、メェメェ泣いていたことが何故かバレてら???あの目が合った一瞬で?そして面白がってら???あれ???さっきまで二人で喧嘩してませんでした???私のことは放っておいてくださって結構ですのよ???


「お、王太子殿下、マウロウ公爵令嬢様に置かれましては、本日も麗しゅうございまして。大変よろこ、ここばしく、ぞぞ、存じ上げます。何卒お目汚しになりますので、、せっせ拙にお構いなく・・・。お忘れください・・・。」


 どうかわ、私に興味を持たないで!!!汚いから見せたくないの!!!さっさとどっか行って!!!を自分の持つ最大限の敬意を払う言葉で言ってみたけど通じてるのかわからない。できれば高位貴族の前で言葉を発したくなかったんだよ!!!!何が良くて悪いのかわからないから!!!


「なに。気にするでない。顔をあげよ。」


 こいつ。わかってて言ってるな。絶対面白がって言ってやがるな??やめて!!!これ以上私のメンタル削らないで!!!死んじゃうから!!!(割とガチ)何をどう言っても、


「よいよい~私は心が広いから~気にするな~!おもしろいから顔見せろ~」(意訳)


 と宣う王太子殿下。あっけにとられていたらしい婚約者様。


 抵抗を試みたものの、何度も命じられて断れるほどの胆力気力権力もちろんありません。まさしく泣く泣く顔を上げようとしたその時です。

 王太子殿下と私の間にさっと入って視界を遮ってくださったのは婚約者様。


「我が国の王太子たる殿下が、女性の弱まった姿を一笑に付しているなど、各国に知られたら恥もよいところです。この者も人間、殿下のおもちゃではないのです。なぜ慮って差し上げられないのです。」


 め、・・・め・・・・女神がいたぁあああああああ!!!

 マウロウ公爵令嬢は凛と胸を張り、その後ろ姿しか目にすることのできない私でさえも思わずうっとりするほどの所作。勇ましさ。凛々しさ。思わず、ほぅ、と息がもれます。なに、この、絶対的な、守ってやるぞな、安心感・・・。


 と、マウロウ公爵令嬢様に見とれていた私でしたが、彼女が王太子殿下の前に出たことによって再び二人の火ぶたは切って落とされたのです。


 むしろ私そっちのけで喧嘩に。おや、おやめになってくださいまし…。しかもその喧嘩の内容は決して、ほんとに、まじで、けっして貴族として認められてすらいない私ごときが聞いてはいけないロイヤルな方々のウラ話。私これ、消されるのでは??


 どうやら私の目の前に勇ましく立ってらっしゃるのは婚約者であるマウロウ公爵令嬢の影武者様だそうです。

 (わー凄いほんとに存在するんだー。えー、影武者様でこのロイヤル加減????やばない??(現実逃避)


 しかも本物のマウロウ公爵令嬢は儚くもお亡くなりになられたとか。

 (私もきっともうすぐそちらに行きますよ~。マウロウ公爵令嬢様~。だってそんな話どこからも聞いたことないもの。これ絶対聞いちゃいけない話。)


 お二人の喧嘩は婚約者様本人がお亡くなりになったというのに、影武者様が婚約を継続したままで良いはずがないとお二人とも思っているのに、婚約者様がお亡くなりになったのは大人の事情もあったようでそれを公にできず影武者様がこのまま婚約者として生きていかねばならないらしく、それを許せない王太子と、様々な理由から王太子に認められなければならない影武者様の喧嘩のようです。


 私死んだ。終わった。享年14。短い人生でした。お母さん元気かなぁお母さん、私のことは忘れてもいいからどうか健やかに長生きしてくださいね。

 私を拾った腐れデブ禿親父は私がこのことを耳元で囁いてやったら道連れにできそうだ。私が地獄に落ちるならテメェも連れていってやる。それが私を拾ったことに対する恩義に答えることになるだろう。ふふははっははは。

 勉強についていけない授業もマナーが全くわからない味はおいしいはずなのに味を感じられない食事も今となれば良い思い出に変わっていく。あはは~。そんなこともあったなぁ。あ、これって走馬灯?


 状況を正しく理解して正しく現実逃避をしていると、王太子がこいつを一人前に仕立て上げたなら認めてやると言い出しました。


 コイツ??誰のことだろう?心なしか王太子の指がこちらを指しているようですね??影武者様を一人前に??影武者様は既に王太子の婚約者様の影武者役として一流の所作をなされておりますし、ロイヤル〜〜が溢れているようなのですが??と首を傾げていると影武者様がゆっくりとこちらを振り返ります。エ?なに?なに?なにをこっち見てるの?私の後ろ??何かある??こっわ。


 ときょときょととしていると影武者様は深くため息をつかれて王太子と向かい直しました。


「この原石を磨き上げれば宜しいのですか?」と。原石??石??なんの??


「原石などというほどに良きものではあるまい、これはズタボロ猫だろう。」と王太子。猫??どこに??


「あら私猫は好きでしてよ。」と影武者様。彼らには私に見えない何かが見えているらしい。怖い。でも私も猫は好きです。


「お前が猫好きなど今更だ。とにかくその薄汚く地べたを這いずり回るしか能のない猫を誰もがお前の隣に立ってもおかしくはないと認める程度の猫にせよ。無理な話だろうがせいぜい頑張ることだ。」と言い残して去られました。わ、影武者様も猫がお好き?共通点見つけてドキドキするってこれってなんか恋みたい。


 影武者様は私を振りむき、ひとしきり困った様子を見せられておりましたが、やがて何かを決意したかのようにピシッとされて間違いなく私におっしゃいました。


「と、いうわけなの。協力をしていただけないかしら?」それは質問という形をとっておりますが拒否権なしの命令であることには違いありませんでした。




 かくして猫はこう語る。『あの時歴史は動いた』

















おもしろかったら反応いただけたら嬉しいです。続きがでる・・・かも・・・しれない・・・。

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[良い点] 影武者と猫新しい❗ぜひ連載してください。面白くなる予感しかありません。
[良い点] 面白かったです!! 続きを期待して…!!
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