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ヒロインは美少女です

翌日、私はお茶会へと向かった。開催場所は城の中庭だ。私は紫を基調としたドレスやアクセサリーを着けて、馬車に乗り込む。父は母に羽交い締めにされながら見送ってくれた。

「ロウちゃん、第二王子と話す時は目を伏せるんだよ。あと、適当に謝罪しておけば興味をなくすから。第一王子か第五王子のそばにいるんだよ」

しつこいくらい念を押され、私が苦笑すると母が父を馬車から引き剥がしてくれたのだ。母が合図を出すと、馬車は動き出した。


城の門で身分証と招待状を提示し、馬車から降り、中庭へと向かった。中庭へ入る時も招待状を提示する。

「さて、グーテかお兄ちゃんを探しますか」

私は辺りを見回してみた。すると、グーテとお兄ちゃん、女王様ことお兄ちゃんの婚約者が談笑している姿が見えた。

私は小走りに駆けていく。グーテが私に気付き、花をほころばせたように微笑んでくれた。お兄ちゃんは私に抱き付こうとして、女王様に首根っこをつかまれていた。お兄ちゃん、学習しようね。


「ロウ!久しぶり。来てくれたんだね。ドレス、似合ってるよ」

「グーテに合わせてみたの。まあ、正式な王族じゃないから紫じゃない方がいいかと思ったけど、揃えてみた」

「なら、正式な王族になれば良い!」

グーテが突然、私の手を握り、そう言った。直後、グーテは顔を真っ赤にしながら手を離し、もごもごと言っていた。お兄ちゃん達はニヤニヤと笑っている。


「そうかあ。グーテは大胆だな。だが、ざっと五個ぐらい壁があるぞ」

「なっ!兄様、何を言っているんですか!そんなつもりで言ったわけでは」

「では、顔を赤らめているのはなんでかな?」

グーテはなぜか撃沈している。女王様は私とグーテを見て、憐れんだ目を向けていた。なんでぇ?

「これは、一生結ばれなさそうね」

だから何が?!


それから私は第二王子とその婚約者に挨拶に行った。なるべく下を向いて挨拶をした。この王子のことだから怒るかと思ったけど、今日は機嫌が良いみたい。

「そうだ、クロベル。お前の取り巻きに良いんじゃないか?挨拶はほぼ終わったから、話してきて良いぞ」

王子の後ろから一人の少女が出てくる。金色の美しい髪に、曇りのない、蒼い瞳。少し華奢な体躯で、守りたくなる。顔は子供にしては整っている。つまるところ、絶世の美少女である。


この美少女は乙女ゲーのヒロインのクロベル。性格も素晴らしく、頭も良い。少し運動が苦手だが、魔法の才能は素晴らしく、後方支援向きと言ったところか。

「クロベルです。ロウさん、でしたっけ?是非ともお話ししましょう。あなたのような妖精さんは大歓迎よ」

天使のような笑みを向けられて、ボーッとしてしまう。私はクロベルに手を引かれてついていく。


たどり着いたのは人気のない、バラ園だった。クロベルは私の手を離すと思いっきり伸びをした。私は思わず顔を上げてしまった。

「あら、ごめんなさい。疲れてしまって。わたくし、本当は完璧な令嬢じゃないのよ。見た目から勝手に判断されて、それに合わせているだけなのよ。これ、秘密ね」

ウインクをして、白く細い指を唇に当てる彼女はマジで天使だった。やべーマジ可愛い。マジ天使。最高。大好き。


「もちろんです。クロベル様」

私がそう言うと、彼女は恥ずかしそうに手を組み、小さく呟いた。

「あの、わたくしとお友達になってくれない?呼び捨てで呼んでもらいたいし」

私は天へと舞い上がる感覚がした。この子と友達になれるの?願ったりかなったりよ。

「もちろん!よろしく、クロちゃん」


私は新たな友達を獲得したのだった。超絶美少女の友達を。

次回から学園生活

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