贖罪
お城にある使われていない大きなホールが今回の会場だ。使われていないって、掃除、おつです。私は王妃の先導で会場に入る。うむ、見事じゃ。塵一つ落ちとらんわ。
「メイドさん達に迷惑かけないでよ」
「仕事なんだからいいじゃないのよ」
「これだから王族は・・・・・・」
「王族差別」
何か、王妃と話すの疲れる。王族差別って何だよ。初めて聞いたよ。
王妃は肩を軽く回して、席に着いた。私もそれに倣って着席する。まだ、来てないな。
「ねえ、ローたん。今から真面目な話をするわね」
「そう言わないと話せないの?」
私が呆れつつふざけてそう言うと、王妃は真剣に私を見つめていた。私は王妃の威厳を真正面から受け、萎縮してしまう。腐っても、王妃だった。私もふざけるのを止め、真剣に王妃を見つめ返す。喉がごくりと鳴った。無意識だった。
王妃が軽く息を吸う。何を、言うつもりだ。
「グーテの婚約者になってくれないかしら」
その瞬間、時が止まったかと思った。空気が重い。苦しい。身体が小刻みに震える。何故?何に対して動揺しているの、私は。
グーテの婚約者?嫌だ。私は、日向以外を好きにはならない。私が山田ミカである限り。例え、王妃の頼みでも嫌だ。この世界で誰かと結婚したら、あの世で日向にどんな顔をして会えってんだ。
私は、日向に全てを捧げないといけない。あの子を殺したのは、私なのだから。誰の隣も歩いてはいけない。それがあの子への贖罪。
「それは、無理」
「何故?」
私達の声は、低かった。王妃がじっと視線を送ってくる。やめてくれ。見ないでくれ。責めないでくれ。やめてやめてやめてやめてやめて。
私は耳を塞ぎ、うずくまる。日向の声が聞こえてきそうで怖い。
「大丈夫」
誰かが、優しく私を包み込んだ。とても懐かしい匂いがする。ああ。
「日向・・・・・・」
「ではないよ」
グーテだった。何故、日向の匂いがしたのかは分からないけど、今だけは会いたくなかった。後ろから抱き締められている。灰色の髪が私の頬をくすぐる。離れてよ、グーテ。
私は椅子から立ち上がる。グーテが離れる。最悪だ。気分が最悪だ。鳥のさえずりが聞こえるが、私の胸中は大荒れ。
「ロウ、待てって」
グーテが私を引き留めようと手を掴む。彼の温もりが私の冷えた体をあたためる。気持ち悪い。
「離せ・・・・・・」
一言。たった一言で全てを察したのか、グーテが手を離す。私は二人の方を一度も振り返らず、お城を出る。
ごめんなさい、日向。どこにいるの?私を助けてよ。
祝、総合ポイント100突破!なのに、内容は暗いです!皆さん、いつも読んでくださり、ありがとうございます!では、また来月




