男爵令嬢は剣も上手いです
「姫様、到着しますよ」
シアの声で、私は目が覚める。どうやら寝ていたみたい。私は欠伸をしながら窓の外に目をやる。ずいぶん辺鄙なところにあるようで、見渡す限り森、森、森、山。前世でも見たことないわ!
「懐かしいですね」
「え?」
シアは一般コースの出らしい。父がお金を出して通わせてあげたんだって。イッケメーン。
「姫様達はいいですね。シア達一般コースは授業数が多かったですから。貴族コースは攻撃魔法学、理論魔法学、護衛技術学、領地経営学の四科だけでしたよね?」
私は適当に返事をして、外を眺め続ける。これから、第二王子と私の戦いが始まる。作戦を立てるのに集中したい。本編が始まる前から第二王子はクロちゃんのことをおもちゃとしてしか見てないことが判明した。殴る蹴るは会う度にされていると言う。ご両親も助けない。だから、私が学園に行くと知って、自分も行くと言っていた。私といると、グーテが寄ってくる。グーテは叔父のお気に入りで、第二王子も手が出せない。
はあ、クロちゃんは頭がエエなあ。なんで天使に暴行するんだよ。悪魔か。
私は深い溜め息を吐きながら、馬車から降りるのだった。
「ロウっち!こっちこっち」
天使が校門のところで私に手を振っている。死んでもいい。ああ、可愛い。天使。私だけの天使になって。大好き。母は女神、親友は天使。最高のタッグ。
「ロウっち、相変わらず精霊みたい」
「クロちゃんは天使ですぅ。私なんてゴキブリみたいな存在で・・・」
「自分のこと卑下しすぎ!」
シアは私達をあたたかい眼差しで見守り、クロちゃんのメイドさんはクロちゃんに令嬢としての振る舞いについて説いていた。アハハ、クロちゃんを完璧令嬢にしたのはこの人か。尊敬するよ。
私達は揃って、学園の寮に向かった。
クロちゃんの制服はスカート以外は私と同じだった。紫と水色と白のタータンチェックのスカート。瞳の色に合わせたのかな。
「クロちゃん。この学園のスカートって五種類あるんだよね」
「うん、紫と白は全部入ってて、黒、黄緑、水色、黄色、ピンクだったはず。男子は色が濃くなってるはず」
私とクロちゃんは従者の二人と分かれ、校舎に向かう。隣の校舎よりいくぶんか豪華に見える。差別化か。何かイラっとくる。
「ロウ、クロベル。遅かったな」
後ろから肩を掴まれる。私はスカートの下に隠していた短剣の一本を抜き、相手の首筋に当てる。
「ロ、ロウっち!グーテ様だよ」
「いつの間にそんな技術身につけてるんだよ・・・」
私が短剣を向けた相手はグーテだった。グーテの首から一筋の鮮血が流れた。それを見て、私はよく分からない感情が湧いたが、短剣を下ろし、鞘にしまう。
「どこぞの不埒者かと」
「なんじゃそりゃ」
私はすたこらさっさと歩き始める。グーテとクロちゃんが駆け足で私に追い付き、体当たりしてきた。私はなんとか踏ん張り、二人の腕をとって、再び歩き出した。
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「五年はかかりそうだな」
「そうねえ。ま、いいんじゃないかしら。人間の寿命が尽きるぐらいまでなら一瞬よ」
「それだとあいつ等が真実にたどり着けない。いっそのこと、エルフにするか」
コーヒー片手にパソコンをいじり、システムへと介入するのは・・・
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