⑥ 亭主の好きな……
この間、ダンナ氏とスーパーへ買い物に行きました。
たまたまパン売り場の近くを通りかかった時、『カレーパンフェア』と銘打たれた小さめの平台がありました。
『揚げ』タイプのカレーパンが4~5、『焼き』タイプが2~3、『サンドウィッチ』タイプ(ヤマ○キのラン○○ック)が1……という感じの商品構成の展開でした。
受験シーズンですから夜食需要を見込んだフェアでしょうけど、カップラーメンや菓子パン、あるいはラ○チ○ックではなく、『カレーパン』でフェアを組んでいるのが、私にはちょっと意外に思われました。
「(こんな風にフェアを組んで売られてるくらいだから)最近、カレーパンって流行ってンのかなァ?」
と何気なく、隣でカートを押しているダンナ氏(彼の仕事が休みになる週末、一緒に食材等の買い物へ出かけるのは結婚してからの習慣でもあります。米や調味料のまとめ買いなどの重い物は、車を出してもらえるこの日にすることが多いです)へ話し掛ける私。
チラと売り場を一瞥した後、ダンナ氏は鼻を鳴らすように
「どれもいまいち旨そうに見えんな」
と、のたまいました。
えええ!?
いえね。
彼はカレーパンが好きだと(少なくとも、一番好きな粒あんのあんドーナツや粒あんパンの次くらいには)、私は今の今まで思っていたのですよ。
たまにおいしいパン屋さんで、食卓パンやフランスパン以外に菓子パンや惣菜パンをオヤツに買う時、彼用にはあんパン系かカレーパンを買っていました。
でもそれって好みから外れていたのでしょうか?……十ウン年間も?
ええええ?
……いやいやいや。
結婚前後に『カレーパン好き』と聞いた覚えがうっすらある……多分ある、けど……じ、自信はナイな。ひょっとして違ってたのかな?
単にカレーライスが好きなだけ?
(カレーライス大好きおじさんなのは確かです)
軽く混乱している私を知ってか知らずか、彼は語り始めます。
「カレーパン、ちゅうたらアレやで。一番旨いんはやっぱり、食パンにカレー味の具を包んであげた……」
あ……なるほど。
謎が解けました。
今は昔。新婚の頃の、夏休み。
せっかくだし海水浴でも行くかとなったが、はたと『お弁当どうしよう?』と悩む、新妻かわかみ。
真夏の炎天下の浜辺、当然メチャクチャ暑い。
下手なものを持って行ったら、いくら保冷剤や凍らせたペットボトルのお茶と一緒であっても傷む可能性が。
おにぎりとかは、たとえラップで握って作ってもコワイ。
その時ふと、
(じゃあカレーとかならOKでは?元々インドの料理だし)
と思い、
「お弁当にカレーパン、とかでもエエ?」
とダンナ氏に訊き、ちょっと驚かれました。
カレーパンと言いましても、真面目にパン生地から作ったりはしません。
みじん切りのにんにくとショウガ少々、玉ねぎやひき肉を炒め、細かく刻んだ好みのカレールウを加えて煮詰めて作るカレーフィリングを、食パンにはさんで揚げる簡易カレーパンです。
簡易と言ってもそこそこ面倒な工程ですので、何かきっかけがないと作ろうとは思わないメニューでもあります。
で、まあ。
それを作って海へ行きました。
カレーパンと、甘めに作った冷たいコーヒー牛乳。
食事というよりもオヤツっぽいです(笑)。
本当をいうと揚げ立ての方がずっと美味しいのですけど、海に浸かって適当に疲れた身体に、甘いコーヒー牛乳とガツンとくる自家製カレーパン(保冷剤のせいでちょっと冷たい)は、なかなかいいものでした。
海へ行く時を中心に、そう言えば子供が生まれるまで、私はこの簡易カレーパンをちょいちょい作っていましたね。
作るとウマいウマいと喜んで食べていたので、私は彼のことを『カレーパン好き』だと思っていたようです(笑)。
いやまあ、元々カレーライスを始めカレー味大好きおじさんではありますから、市販を含めカレーパンそのものが別に嫌いではなかったでしょうけど。
新婚の頃に女房が作ったカレーパン(そんなもん、簡易だとしても作るとは思わなかったでしょうしw)にびっくりし、強く印象に残ったせいで、コレが彼にとって『一番旨いカレーパン』になったのでしょうね。
思い出補正の効果もある気がします~。
そして。
結局その後、久しぶりにカレーパンを作り(作らされ?)ました。
要は、上手くおだてられたのかもしれませんね(笑)。
【簡易カレーパンの作り方】
〈材料(作りやすい量)〉
食パン1斤(8枚切りがベスト。6枚切りでも可能ですけど、作りにくいです)
ひき肉小パック1個(鶏でも豚でも牛でもお好みで。スーパーで最小のパックだから100gくらい?)
玉ねぎ1/2個、人参少々、にんにくとショウガ少々
好みのカレールウ2かけほど
料理酒、塩コショウ、小麦粉、たまご、牛乳、パン粉、揚げ油適宜
〈作り方〉
① 玉ねぎと人参をみじん切り、にんにくとショウガをもっと細かいみじん切り、もしくはすりおろす。
② 小鍋に油をしき、にんにくとショウガを入れて火にかける。香りが立ってくるとひき肉を入れ、料理酒を振って軽く塩コショウし、玉ねぎと人参を入れて炒める。
③ 炒まるとひたひたより少し少な目に水を入れて煮る。
④ カレールウを細かく刻み、③へ入れ、焦げないようにかき混ぜながら煮詰める。
⑤ 出来上がった④をよく冷ます。
⑥ 食パンの耳を全部落とす。
耳のなくなった四辺を1㎝ずつほど、めん棒で押しつぶす感じで薄くする。
⑦ 小麦粉と同量程度の水を混ぜて糊状のものを作る。
⑧ 冷めた⑤をティースプーン1杯強ほど、⑥の食パンの真中に置き、四辺に⑦の糊をぬり、二つ折りにしてぎゅっと指で押してくっつける。
⑨ ⑧で作ったものに薄く小麦粉をはたき、たまごと牛乳を混ぜたものにくぐらせ、パン粉をまぶす。
⑩ 揚げ油(新しい油)を180℃くらいまであたため、⑨をカリッときつね色に揚げる。
カレーフィリングはおそらく余ります。そうたくさん具として入れることは出来ません。ティースプーン1杯強、くらいが限界でしょう
これより少なく作れなくはないですけど、少なすぎるのも作りにくいですね。
残れば冷凍して、カレーを作る時にでも混ぜてしまいましょう!
あるいはカレーパンを食べる時に、一緒に追いカレー?して食べてしまうのも手です。
カレー好きさんならそうやって食べてしまいますね~。←ウチの場合
ただし胸焼け注意。
自家製のカレーパンは油に気を付ければ、意外なくらい軽く出来ますけど、調子に乗って食べ過ぎるとやっぱり胸焼けします。
あ、カレーパンを揚げる前、新品の油で切り落とした食パンの耳を揚げ、粗熱を取った後に砂糖をまぶせば、かりんとう風のオヤツが出来ます。
こちらも素朴で美味しいですけど……やっぱり胸焼け注意ですね(笑)。