表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/38

⑭ 混ぜる?混ぜない?

今回はレシピなしのおしゃべり回です。

 前回の「そぼろ」で思い付いたのですけども。

 皆様方、白飯の上に味の濃いナニガシかをかけたご飯もの、たとえばカレーライス。

 食べる時に、混ぜますか?混ぜませんか?

 どっちでもいい(もしくはどうでもいい)話ですけど、ちょっと気になります。



 私が幼児~小学生の頃。

 記憶にある限り、ウチの両親はカレーライスを食べる場合、当然のように全体を混ぜて食べていました。

 なので私は、『こういうものは全体を混ぜて食べるのだな』と思い、見よう見まねで皿の中のものを混ぜて食べていました。


 子供の常と言えましょう、私はカレーライスが好きでした。

 夕飯がカレーだと聞くと嬉しくなったものです。

 ただ、食べている途中で『疲れてくる』ような気分がしてくるのは何故だろうと、いつもぼんやり思っていました。

 好きなメニューなのに食べるのが……イヤじゃないけど飽きてくる、ような。

 福神漬けやラッキョウなどで口の中の味を変えつつ一皿食べ切るものの、どこか釈然としない気分が残りました。

 ……何故?

 好きなものを食べているのに、お腹がいっぱいになる前に『疲れてくる』ような気分にどうしてなるのか、子供心にも不可解でした。

 不可解とはいえ『味が濃くてしつこいから』そうなるのだろうと、ぼんやり納得していました。



 そんな私が小学五年生の頃。

 夏休みに行われた林間学校のお昼ごはんでカレーライスが出、私は、大袈裟にいうのなら啓蒙されました。


 カレーって、別に混ぜて食べなくてもいいんですね!



 え?そんなこと?

 な、話ですけど。

 家庭内以外でカレーを食べる機会がなかった当時の私(父が辛いものが嫌いなのもあり、外食の時にわざわざカレーを食べるような場所を選ばない)。

 学校給食でごはんが提供されない世代でもありましたので、家族以外の人とカレーライスを食べる機会がなかったのです。

 この林間学校が、私が物心らしい物心がついて以来、ほぼ初めて家族以外の人と一緒にカレーを食べる機会だったのです。


 混ぜて食べる人ももちろんいました。

 でも半分強から七割近く、混ぜずに食べる人がいることに気付き、正直に言うなら私は驚きました。


 混ぜない派の人たちは涼しい顔でルーとごはんをすくい、涼しい顔で当たり前のように食べていました。

 見ている限り、全体を混ぜていないのでごはんに対してのルーの量はまちまちです。

 でも、その食べ方が何だかカッコよく見えた(全体を混ぜると、どうしてもビジュアル的に美しくないと思っていました)私は、見よう見まねで(笑)生まれて初めて、混ぜずにカレーライスを食べました。


 ……美味しい!

 なにこれ、いつもより美味しい!

 全体がボヤッとおんなじ味の、いつも食べているカレーライスよりこっちの方がいい!

 一口ごとに微妙に味が違う(ご飯とルーがそれぞれ独立した状態で口に入る上、ルーとごはんの割合も違ってくるので)カレーライス。

 いつもあった『疲れてくる』感覚がないまま、私は美味しくカレーを一皿完食しました。



 以来、私はカレーやハヤシを混ぜずに食べるようになりました。

 お陰で美味しく、かつ量も食べられるようになったので別の問題も生じてきました(食べ過ぎる…)が、それはそれ(笑)。



 さて。

 カレー混ぜる混ぜない問題(笑)が、私の中で再燃したのは結婚後。

 夫が、混ぜる派だったからです。


 もちろん、私が混ぜない派だからといってそれを他人に強要しないように、夫も私に混ぜろとは言いません。

 でも、結婚後しばらくして『何故混ぜないの?』と不思議がられました。

 彼の感覚では


『せっかくカレーライスを食べるのに、ちゃんと混ぜないとカレールーが絡まない飯が出来てしまう。自分はカレーライスが食べたいのであって、味のない(これに関しては異議あり。白飯には白飯の味があります。一皿全部白飯オンリーはキツイけど、カレーを食べている最中の一口二口の白飯はかえって美味しいと私は思います)飯は食いたくない』


というのが彼の意見のようです。


「俺は前から、ナンデ店で出すカレーは飯とルーをわけて盛りつけるんやろうと思っててん。どうせ混ぜるのに面倒くさい盛りつけ方するなあって……」


 いやいや、わけてくれた方が私は嬉しい。

 だって混ぜて食べたくないもん。


 この意見、彼にとっては結構カルチャーショックだったようです。

 混ぜた方が美味いやんか、と言う彼に、混ぜて一皿全部が同じ味になったら、食べてる最中に嫌になってくるというか飽きる、満腹になる前に美味しく食べられなくなるのだと説明すると、虚を突かれたような顔になりました。


「そうか。大食いものとかの企画で『味変(あじへん)』とかいう言葉が出てくるんは、そういうことか」


 と彼は、思いがけない納得の仕方をしました(笑)。


 ナンデ途中で『味変』するのか、『味変』で食が進む(らしい)のは何故か、あまりわかっていなかったのだそうです。


 そう言えば、彼もどちらかと言えば『好きなら毎日でもwelcome!』派。

 同じ食材・料理が続いても飽きにくい人です。



 この辺の好み、やはり関係があるのでしょうかねえ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 食の些細なこだわり、というか流儀、色々ありますよね〜。 毎回「あるある!」と楽しく読んでます。 [一言] 味にムラがある方がおいしく感じる、ていうのは謀グルメマンガにもありましたね。 コー…
[一言] 私は子どもの頃からずっと混ぜる派ですw 私も旦那さんと同じで、同じ食材・料理が続いても飽きにくいんですよねw 一人暮らし時代は、ほぼ毎日具なしのインスタントラーメンばかり食べてましたが、全然…
[一言] 不思議ですが、子どもの頃から混ぜない派でした。 でも、カレーライスのご飯はいつもより美味しい気はしてました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ