肉じゃが、甘いか? しょっぱいか?~祝・感想100件 記念回
感想100件目のキリ番・水渕成分様のリクエスト回です。
その家の亭主(を含めた大人たち)が上戸か下戸かで、おかずの味付けって傾向が変わってくるかと思いますが、如何でしょう?
藪から棒な話題の出し方ですけど、多分そう間違っていないと思います。
私の父は下戸で甘党、結婚した相手も然り。
なので私が作るおかずは『ご飯のおかず』に適しているでしょうが、『酒のアテ』になりにくいもの……だと思います。
もし吞兵衛さんと結婚していたら、アンタの作るおかずは別にマズくはないけど、全然酒のアテにならんなとぼやかれていた気がします。
まあ、その時はその時なりに何とかしたとは思いますけど、私にとってドストライクな味のご飯のおかずが、旦那さんにとっては微妙……だったとしたら、結婚生活は今よりちょっと不幸だったかもしれません。
(……あれ?ノロケか?……)
そこで肉じゃが。
私の作り方と言いますか、実家で教わった作り方は、肉の小間切れと玉ねぎをざっと炒め、砂糖と醤油でしっかり下味をつけてからじゃが芋を入れ、軽く炒め合わせてから水か湯を差す。
最終的な味付けは、薄口醬油とみりんを1:1入れる、という感じです。
それ以外の肉じゃがの作り方があると、意識せずに大人になったある日。
『煮物類に砂糖を使うなんて!』とでもいう感じの料理エッセイを読み、ひえぇと思いました。
いやいやいや、使うでしょ。
使わなかったら味にメリハリがつかなくて、ボケるでしょ。
読みながら思わずツッコミを入れる私。
でもこの著者にとっては、煮物類に砂糖を使うのは田舎くさくて粋じゃない、のだそう。
キリッと垢抜けた味の煮物を作るのに、みりんはともかく砂糖はいらない、という考え方のようでした。
別に料理研究家とかじゃない、お料理は嫌いじゃないよレベルな作家さんのエッセイで、単に個人の好みを語っているだけなのですが。
ずいぶん砂糖を入れた煮物を憎んでいる?んだなあ、と、一読者として思いました。
思いつつ、続けて(本でしたからネ)その人の料理エッセイを読み……思ったのは。
……この人、吞兵衛だ。
おかずは、ご飯のおかずであると同時に(あるいはそれ以上に)、酒のアテでなくちゃという無意識の思い(込み)があるんだ!
という発見でした。
辛党(と呼ばれるお酒好き)の人が好む味と甘党の人が好む味は、当然、違います。それこそ、持って生まれた好みというものでしょう。
が、そこを決定的にしているのは『酒に合うか合わないか』という、無意識のジャッジの軸では?と私は思いました。
辛党の人は子供の頃から、お酒に合う味付けを旨いと感じ、いわゆる甘党の人が好む甘いお菓子や甘い玉子焼きなど酒のアテになりにくい味を、『不味い』『キライ』と感じるのでは?と。
おおう、つまりヒトの味覚は、飲酒の能力?に左右されているのか!
大・発・見!
と、若き日の私は思い、この世の真理のひとつにたどり着いた気分で、丘の上で風に吹かれながら美しい夕陽を見つめました。(←過剰演出)
冗談はともかく。
例外はあれ、八割がた『上戸か下戸か』で好む味覚の傾向が決まる、で、そう間違ってないと思います。
私自身、もっと大人(まごうことなきおばさん)になってからは、例の作家さんが言うところの『キリッと垢抜けた』砂糖を使わないタイプの肉じゃがも、さっぱりしていて悪くないなと思うようになりました。
好みというのは流動的で、場合によっては許容範囲が広がるものでしょうが、おおよその傾向はその人の飲酒の能力で決まるように思います。
だから。
私が『美味しい!』と思って作る肉じゃがは、上戸の方にとっては『う、うーん。ま、まずいってほどじゃないけどさ。甘みきつくて、垢抜けない味だなぁ』な肉じゃがではないかと思います(笑)。
【下戸好みであろう、肉じゃがの作り方】
〈材料〉
じゃが芋(5~8個)、玉ねぎ(1個)、小間切れ肉200g程度(牛でも豚でもお好みで)
砂糖、醤油、薄口醤油、みりん、酒
あとは、彩りに人参少々を一緒に煮たり、きぬさややいんげんの塩ゆでを最後に散らすのもいいですね。
糸こんにゃくを入れて煮ても美味しいです。
〈作り方〉
① 材料を切る。
じゃが芋は食べやすい大きさに切って水にさらす。玉ねぎはまずひと玉を半分に切り、それを繊維に沿って1㎝くらいのくし切りにする。
(他の材料を入れる場合も、それぞれ食べやすく切っておく)
② 鍋底に油をしき、熱する。火加減は中火。
小間切れ肉を入れ、酒を振ってざっと炒める。
③ ②へ①で切った玉ねぎを入れ、砂糖(大さじ2~2.5は欲しい)と同量程度の醤油で、肉と玉ねぎにしっかり下味をつけて炒め合わせる。
④ ①のじゃが芋を③へ入れ、全体がなじんだ感じになるまで炒める。
人参・糸こんにゃくを入れる場合はここで。
⑤ ④へ水か湯を、やや少なめのひたひたに注ぐ。
もし余力があるのなら、かつおと昆布の合わせだしを取っておいて、入れるのもいい。
⑥ ⑤を強めの中火で煮る。
時々あくを取る。
⑦ じゃが芋に8割がた火が通ったら、薄口醤油とみりんを1:1の割合で入れて、煮る。(私はお玉で、目分量で計っています)
火加減は変わらず、強めの中火で。
⑧ 全体の水気がなんとなく無くなったな、という頃合いで火を止め、後は余熱で味を染みこませる。
⑨ きぬさややいんげん等を散らす予定なら、肉じゃがを余熱調理している間にサッと塩ゆでする。
出来上がった肉じゃがを盛りつけましょう!
甘辛の濃い味で、白いご飯に合います。
お供には豆腐とわかめの味噌汁、きゅうりの酢の物など。
ご家庭の和食、という感じの献立になりますね。
さて、皆さんのお宅の肉じゃがはどんな感じですか?
甘めですか?しょっぱめですか?それとも上品な薄味ですか?
肉じゃがは比較的単純な料理ではありますが、その分、家庭ごとに微妙に味が違うかと思います。
美味しくいただいて下さいね!




