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特別捜査プロジェクト

作者: ラッキーマン

大抵の会社には窓際族と呼ばれるその部署でお荷物となった社員がいたりするものだ。

それがたとえ国の安全を守る国家公務員の警察官でも例外では無かったりする。


とある警察署の会議室に1人頭を抱えて座る中年男性がいる。

その男、菅野満男は優秀な刑事だった。

とあるミスから犯人を逃してしまった事が問題となり現場を離れることとなりしばらくは大した仕事も任される事はなかった。


そんな菅野に新しいプロジェクトが任されたのは1ヶ月前の事だった。

菅野ようにミスをやらかしてしばらく現場を離された若い警官の育成を頼まれたのだ。

それだけ聞くと聞こえは良いが、実際は問題児を何とか使えるように仕上げろと言う本部からの無茶振りでしかない。

そして、かつて自分がやっていた事件の捜査にサポートさせろと言う注文まで入っている。


菅野が任されたのは3人の若い警察官。

それぞれ全くタイプが違う。

どうやって彼らを育成するべきか頭を悩ましていた。


コンコンと大きな会議室にドアをノックする音が響いた。

彼は頭を抱えてた腕を机の上に置くと「どうぞ」と声を発した。


扉が開いて最初に入って来たのはスラッとした身長のイケメン風の男だ。

顔は今風というよりは昭和のスターの様な濃くハッキリとした顔立ちだ。

「特別捜査プロジェクトに配属された影山大地です。よろしくお願いします」

菅野は目の前の資料に目を通した。


「影山くんか、君は勤務態度は真面目らしいがいまいち他の同僚と馴染めてないらしいね。聞くところによると周りとの衝突が多いとか...」


「いえ、決してそんなつもりではないんですけど、同じ警察官として話をしていても何だか覇気がないというか正義感が薄い人が多いみたいでつい熱くなってしまう事が多くて...」


「熱くなるのは悪い事じゃない、正義感が強いのも警察官には大事な素質だ。

でもだからと言って口論や喧嘩が多いのは困るよ。一般市民の方がいる前でも怒鳴り合ったって聞いてるぞ。」


「はい、すいません...」


そう小さく頷くと影山は静かに下を向いた。


「とりあえず座りなさい。では次...」


影山の後ろに立っていた大男が一歩前に出た。


「高木洋一です。お世話になります。」


「高木くんね。君はなんだいそんなに立派な身体をしていて、空手柔道と成績もバツグンなのに、気が弱いってのはどういうことだい?」


「はい、練習では問題なく戦えるのですが、いざ実戦となると緊張してしまって...」


「緊張するのは構わないけど、街で酔っ払いの喧嘩に止めに入って、暴れる酔っ払いにビビって逃げちゃダメでしょ。

そんな警察官いないよ?」


「はい、どうすれば良いかわからなくなってしまって...」


「全く、子供のお遊びじゃないんだから頼むよ。次」


高木の後ろに立っていた高木とは対照的な小柄な男が一歩前に出た。


「西村寿也です。よろしくお願いします」


「西村くん君は高木くんとは対照的で小柄だねぇ。身長は...162cmか...それにしてはちょっと酷いねぇ...結構問題上がってるよ...」


「はい。そうですか」


「取調べで容疑者殴ったんだって?」


「いやそれはアイツが舐めてたんでちょっとイラついただけで...」


「はぁ..」

菅野は深いため息を吐くと、まいったねーといった表情をしながら頭をポリポリとかいた。


「君はとにかく暴力が多いね...いくら犯人相手でもそれはアカンな...それに女性問題...婦警に対してのセクハラ発言も結構上がってるよ」


「いや、それはコミュニケーションです。別にそんな嫌がってないですよみんな...」


「嫌がってなくてなんでこんなに苦情があがんだ?おかしいよねぇ?それに君は目つきが悪いねぇ。そうやっていつも人を睨んでんのかい?」


「いや、別に睨んではないけど舐めらちゃ終わりなんで...」


西村は他の2人に比べたらかなりの薄顔だ。

能面の様なのっぺりした顔に鋭い目つきは余計に柄が悪く見える。


「まぁ良い、みんな座りなさい。今日から特別捜査プロジェクトを担当する菅野だ。よろしく。

このプロジェクトでは君ら3人には通常の捜査ではない極秘捜査をお願いすることになる。

極秘捜査と聞いてカッコよく思うが実際はそうじゃない。

表立って捜査は出来ない汚い事までやらせようって話だ。

潜入捜査や囮捜査など危険な仕事も多くなるから気を引き締めて頼むぞ。

とりあえず今日はこれでおしまいだ。

君ら3人はこれから仕事を共にするチームメイトだ。

まずは3人で親睦でも深めて来い!領収書は忘れんでな」


そう言って菅野は3人を解散させ会議室を後にした。


人で賑わう繁華街、雑居ビルが立ち並びそのビルの6階にある居酒屋に3人は来た。


「ふぅ、なんか面倒な事になっちまったなー」


影山はそう言いながらネクタイを緩めてドカッと座った。


「それにしてもお前らと一緒のプロジェクトになるとはな。意外だったぜー」


ビールを一気飲みしながら西村が言う。

高木は特に何も言うでもなく2人の会話を聞いていた。


「まぁ俺らもミスやらかしてクビってわけじゃねぇんだ、新しいプロジェクトで結果出してやろうぜ!」


西村はお酒を飲みながら大声で喋っている。


この3人は元々友人同士であり、こうやって飲み会をやる事も少なくなかった。

そんな3人が同じプロジェクトに配属になった事である意味彼らにとってはやる気が出ることだったのだ。


そして具体的な任務内容が明かされたのは次の日だった。


「今回の任務は違法薬物の売買捜査だ。とあるキャバクラ店のバックに暴力団が付いている、そこがキャバクラの客に対して売買しているとの情報が入った。そこで確実な現場を抑えて状況証拠をあげる為に潜入捜査をする」


「おい、マジかよwいきなりキャバクラに潜入捜査とはついてるぜw最高の現場じゃねぇかw」


西村がそうはしゃぐと馬鹿者!と菅野の叱咤された。


「とにかく潜入捜査は1ヶ月後だ、それまでに内部と外部から入り込む準備をする。

まずは影山!お前はボーイとして侵入してもらうまずは面接を受けてもらう事になるが、この後夜の仕事のレクチャーを受けて貰うからここで待ってろ。高木は俺と一緒に客として入る。とにかく自然に常連客として入るために幾つかのお店も回る。今日から行くから準備しろ」


そう言うとすぐに西村も反応した。


「ちょっと菅野さん、俺も客として潜入したいっす!ダメっすか?」


「西村、お前はもっと重要な役割を用意してある。

ちょっと準備に時間が掛かるんだがお前にもレクチャーを受けて貰う、もうすぐ迎えに来るから待ってろ」


「なんですか俺のレクチャーって?」


「ここでウダウダ言われると面倒くさい、とりあえずお前と次に会うのは1ヶ月後だ。頑張って来い」


そう言って菅野は場を解散し、影山はその会議室でレクチャーを受け、半月後には無事目標のキャバクラでボーイとして潜入する事に成功した。

菅野と高木は毎晩のように目標を含めたキャバクラに通い常連客の地位を確立していった。


そして、それぞれの準備が整った1ヶ月後にまた同じ会議室に全員が集合した。


菅野と高木は情報をまとめたノートを机に置き待っているとコンコンとドアをノックする音がした。


「どうぞ」


菅野がそう呼ぶとドアが空き影山がまずはやってきた。


「どうだそっちはもう慣れたか?」


「はい、少しづつ仕事にも慣れてきて、いつでも捜査開始出来る状況です。

お二方も順調ですか?」


「俺らはもうすっかり常連よな」


そう菅野が笑うと


「毎日こんなんで良いのかなって逆に思っちゃいますね」


と高木も合わせて笑ってた


「それで西村のヤツはまだですか?」


「それなんだが、アイツは別の場所で合流する予定になっている、今からみんなで行くぞ」


そう言って菅野は2人を繁華街に連れ出した。


何も聞かされていない2人はどんどんと如何わしいお店の続く繁華街に進んでいく菅野について行く。

菅野が立ち止まったのは1軒のカラオケバーだ。

昭和の古臭いスナックのような雰囲気だ。

しかしよく見るともう何年も前に閉店しているようで今は営業していないみたいだ。

菅野はそんなこと気にせずにお店のドアを開けた


「すいませーん、菅野です!お久しぶりですー」


菅野がそう店内に向かって叫ぶと、中からそれなりに年配だが子綺麗にしてる女性が出てきた。

菅野さんお待ちしておりました、ちょっと今は彼はおつかいを頼んでしまっているので中でお待ち下さい。

そう言ってその女性は3人を招き入れた。


「何なんですかここ?ちょっと怪しいですね」


影山は怪訝な顔をしている


「こんなとこに何のようがあるんですか?西村はどうするんですか?」


高木も気にしている


「まぁ、なんだ西村はこのお店に預けたんだそのうち帰ってくるらしいから少し待っていよう」


2人はこんなところになんで?と内心不思議な思いでいた。


その時中から若くて今風の美しい女性が出てきた。

メイクはバッチリギャルメイクで服装も今風のギャルと言った感じのミニスカートでとてもセクシーだった。


「お飲み物は何に致しますか?」


可愛らしい声で飲み物を尋ねてきたその女性に3人は思わず同様して


「こ、コーヒーで!」


「俺も」


「俺も」


と同じことを繰り返すことしか出来なかった

その女性はにっこりと微笑んで注文を受けて奥に下がっていった


「いやー、いきなりあんな可愛い子出てきてビックリしましたわ」


影山がそう驚くと


「こんなお店にあんな子いると流石に驚くなー」


と菅野の驚いていた


しばらくするとその女性はコーヒーを3つおぼんに乗せて目の前のテーブルにゆっくりと置いていった。

屈んだせいでミニスカートの中身が見えそうで3人は思わず目を奪われてしまう。

コーヒーが置かれる瞬間のカチっと言う音と3人が生唾を飲み込む音とどっちが大きいのかわからないくらいだ

その間も女性の胸には大きく膨らんで柔らかそうなボールが2つ小刻みに揺れている

3人はついついそこに見惚れてしまっている


「あ、あの、お姉さんは西村くんの事は知っているんですかね?」


菅野が恐る恐る聞いてみた


「あ、西村さんですね?もちろん知っていますよ」


女性はまたにっこりと笑った


「それで、彼はまだ帰ってきてないみたいなんですが、正直お姉さんから見てどんな様子ですか?」


「うーん、それって今の現状って事ですか?」


「そうです、実際お任せしたは良いものの正直出来栄えには半信半疑でして。。。もし上手く行ってなかったら今回のこちらの仕事ってのがちょっと仕切り直しになるかもしれないくて」


「なるほどー、仕事内容はわかりませんが、きっとお客さん方の役には立つ出来栄えになってると思いますよ!」


「そうですか、それなら良いですけど、やっぱりちょっと無理があったかなって内心思ってまして、ここまでお世話になって申し訳ないけどガッカリして彼を引き取って帰ることになるんじゃないかなって半分は思ってるんです。

あ、こんな事店員のお姉さんに言ってもしからないですね。

それにしても営業はもうしてないと思ってたんだけどなー」


「営業はしていませんよ、私は今日のお客さんの為の臨時のバイトですから!

彼のこともきっとビックリすると思うんで安心してください」


そう言って女性は奥に引っ込んだ。


「菅野さん、そのアイツの話って何なんですか?」


影山はやはり西村の動向が気になっているようだ


「いや、どうせもうすぐわがることなんだ少し何も聞かずに待っててくれ」


菅野はそう言ってしばらく経つが一向に西村が現れる気配がない。

先ほどの年配の女性も用事があるから後はよろしくとお店を出て行って30分ほど過ぎた


「あのー、それで西村のヤツはどのくらいで帰宅するんですかね?」


菅野は奥にいる女性店員に話しかけた


「そうですねー、そろそろだとは思うんですけどちょっと遅いですよね。

お客さんをいつまでも待たせるのも悪いのでそれまで私がお相手しますね!」


そういうと女性は3人分のコーヒーおかわりを注いで、隣に座った。


「いやいや、そういう意味じゃないんだ。

気を使わないでくれ」


慌てて菅野は言うが女性は首を横に振った


「大丈夫ですよ。お話するのは好きですので、それともアタシじゃ迷惑ですか?」


「とんでもない、こんな若くて美しくて可愛い女性とお喋りできるなんて、それこそそんじゃそこらのお店にもこんな美しい女性いませんよ」


菅野は慌てて否定した


「そういうお店で働かれてるんですか?」


思わず影山も聞いてしまう


「いえ、そうじゃないんですけど、アタシでもそういうお店で働けますかね?」


「もちろん!とっても可愛いし、スタイルだって」


そう言うと影山は女性の胸元の大きな膨らみからミニスカの太ももまでを舐めるように見た


「ちょっと、視線がなんかエッチですよw」


女性がそう言うと3人は焦ってすいませんと下を向いてしまった


「男の人っていつもこればっか気にしてますよね」


そう言いながら少し照れ笑いを浮かべ下で唇を舐め

両手で自分の胸元の豊満な膨らみを軽く寄せてユサユサと揺らした


3人は思わずそのまま見つめてふと目線をあげたら彼女の上目使いと視線が合ってしまい顔が真っ赤になる3人


「そ、それにしても本当西村のヤツは遅いなぁ」


動揺を隠すように菅野は慌ててそう言った


女性はもう少しお待ちくださいと言って立ち上がろうとすると、床につまずいたのかバランスが崩れ真正面から菅野に倒れ込んでしまった

女性の胸元の大きな膨らみを顔面でキャッチする菅野


「ご、ごめんなさい」


女性は慌てて謝るが


菅野は大丈夫大丈夫と顔を真っ赤にして下を向いている


「菅野さんちょっとそれはずるいですよ」


女性が奥へ引っ込んだのを確認してから影山は菅野にそう言った


「いや、あれは俺のせいじゃないだろ向こうのミス何だから」


「そんな事言って自分だけあんな可愛い子のおっぱいを顔面キャッチなんてそんな奇跡ずる過ぎます」


「まぁ確かにそれはそうだけど。俺もお前らよりは長く生きてるんだ、たまにはこれくらいの幸せがあったって良いだろ」


「なんか菅野さんいつものキャバクラ 視察よりもスケベな顔してますよ...」


高木が冷静に突っ込んだ


「で、感触はどうだったんですか?」


「そりゃ感触は最高だったけど」


このスケベ親父!と2人から突っ込まれていたが、時間は既に1時間は経過していた

流石に痺れを切らして少しイライラした様子の3人に気付いた女性がまたやってきた


「流石に遅すぎますよね?申し訳ないんでアタシのおっぱい でも揉みますか?」


突然突拍子もない発言を受けた3人は頭が真っ白で固まっている


そんな時に


「って、なーに全然気付かないですかw俺ですよw俺が西村ですよwどんだけ気付かないですかw」


そう言って男の声で目の前の女性が爆笑している。

3人はさらに目ん玉を大きく見開いて固まっている


「そ、そんな、まさか、お前が西村なのか?」


驚いた様子で菅野が発した


「そうですよ、まさか菅野さんの作戦が俺を女装させてキャバクラに潜入させようだなんて思ってたなんて考えてもなかったですよ。この1ヶ月どんだけ女装の訓練大変だったと思ってんすか?マジで最初は逃げ出そうとしましたよ」


女性の姿の西村は苦笑いしている。


「まさか、ここまで化けるとは流石に思ってなかった」


唖然とする菅野に放心状態の2人。


「でも全然バレないんすねwある意味自信つきましたよ」


西村は相変わらず笑っている。


1時間後、いつもの会議室に戻りようやく冷静さを取り戻した3人は再度西村の姿を確認する。


「それにしても完全に女だな」


「マジでしんどかったぞ特に最初はな」


「これで全員揃ったんで改めて任務を確認する。

俺と高木は客として潜入する、影山はボーイとして既に働き始めた。

そして西村はキャバクラ 嬢として働くんだ。お前の見た目ならすぐに面接は受かる。

それじゃみんな頼むぞ」


そう言ってそれぞれがそれぞれの役として潜入が始まった。


潜入して3ヶ月ほどでそれぞれの情報も確保でき、現行犯での取引も抑え無事に麻薬の密売を検挙する事が出来た。

お店はそのガサ入れで閉店となり、2人はそのまま役目を終える事となった。


「あぁー、やっと終わったぜー

3ヶ月も女として潜入してて完全に女になった気分だったぜー

久しぶりに男戻ってナンパでも行きたいなー」


「俺もやっぱり警察官の仕事のが夜のお店より向いてるって気づいたわ」


「俺は正直2人みたいに変装とかしてみたかったなー

まぁ緊張しちゃって絶対ミスしたろうけど」


「とにかく君たちのお陰で今回の任務は大成功だありがとう

そしてそれぞれの任務に戻ってくれと言いたい所だが、既に我々のプロジェクトには次の任務が入っている。

次は某ナイトプールで密売人が暗躍してるらしい。

次もしっかり頼むぞ」


「ちょまさかまた俺が女役っすか?」


「ほかに誰がいるんだ?」


「プ、プールって水着どうすんですか?俺胸無いっすよ?」


「うーん、まぁ経費で豊胸も出来るだろ」


「ちょ待ってください!それ冗談すよね?ガチじゃ無いですよね?」


「俺は上からそう指令が出たら従うだけだからな」


「勘弁してくださいよー!マジで!」


特別捜査プロジェクトはまだまだ賑やかになりそうです。


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