犬同伴、デート(未遂)
「あのさー…お前が引き戸叩かなくて良いように二週間くらい前にインターホン付けたって言わなかったっけ?」
振り返ると、幼馴染が立っていた
「………」
「家の前で遭遇するしその時に用があって喋ればそもそも鳴らさなくていいんだけど」
確かに…
「そいつ散歩に連れてってくれるのは別にいいけど
その格好で歩くの?」
自分の格好をみる
サンダルと裾が尻まである長袖と、パンツだけだった
「あんたが開けてた窓から入ってきたそいつに叩き起こされてそのままだったんだよ」
幼馴染は犬をチラ見した後
「そいつ、着替えるから目を瞑れって言ったらちゃんと言うこと聞くよ?」
コイツ…男なのにオス犬の視線が嫌なの?
「隣人の犬の前で着替える気持ちはあんたには解らないよ」
幼馴染はやっと悟り電撃に打たれたような顔をした
「………窓を開けててすいませんでした、散歩には私が連れて行くので許してください」
私は渋面を作りつつ
「1階に降りたら父さんがいて久しぶりに会って嬉しかったし、そいつも撫でてもらえて幸せそうだったから許してあげる
散歩には着替えて私もついてくからちょっと待ってろ」
幼馴染は頭を下げた
「あ、さいですか…ホントすいませんでした」
家に向かいつつ言う
「それと今すぐお前の部屋の窓とカーテン閉めてこい」
幼馴染は無言で頷き部屋にダッシュした
犬はそっぽを向きその場で伏せをしていた
家に戻ると父は
「アレ?デートは?あぁ…その格好…うん……」
父を睨みつつ部屋に戻り私は枕を殴った
まだ散歩には行かない