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副・救世主は悩ましく  作者: 小山モーゼル
第三章 羽根ッ子騒動
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第8話 悪の呪術に依って

 契約魔法。エミリアが語るところによれば行動を制限する類のものであるらしい。街の中でなら行動できたというから強過ぎる魔法がかけられたわけでもないが、ともかく、解除は魔法をかけた本人しかできない。もちろんグリーク・サーカスに魔法使いも魔練術師もいない。団長は、一応雇用関係にあったレッタの契約書は焼き捨てていた。


「魔法使いと魔練術師は何が違うの」


 話を聞いていたケーイチの素直な疑問、エミリアは困った顔して答えた。


「うーん、元は一緒なんだよね。内なる力を使って何かを為す。でも力の方向性が違って、魔練術師はある程度有形の物を作り出すこと、治療も本人の身体から情報を得て、必要なものを注入する。でも魔法使いは、これ解るかな、力そのものを使って()()を司るって感じ。例えば、ある物を動かしたい時に魔練術師は運ぶための道具を作る。でも魔法使いは魔術を使って物自体を動かす」

「言うなればハルトの力が魔法使いか、能力そのものを使って何かに影響を及ぼすから」

「そうそう、ハルトくんは魔法使いの性質を持ってる。だから何もない場所に突然影響が出たレッタは、魔術にかかってると考えるのが自然」

「ふーん」

「それより問題は、誰が魔法をかけているかよ」

「あと、なぜこんなことをするのか」


 ハルトたちもグリーク・サーカスも黙りこくる。オロオロしてばかりのレッタは落ち着きなく右往左往していた。魔法にかけられたことはともかく、誰が、何のためにそんなことをしたのか。団長が思い出したように手を叩いた。


「そういえば、レッタを預けた人たちが言ってた気がします。ここで落ち着かせたいから街から出さないようにって。我々は基本街から動かないしレッタにはじっくり芸を教えなければなりませんから、忘れていました」

「そんな大事なことを。しかし人狩りが犯人であることは掴めたな」

「じゃあ人狩りを探し出して魔法を解かせよう。何か目論見があってレッタをここに留めたいのなら、きっと街にいるはず。それまでレッタは、これまで通りサーカスで働くことに」

「そうします・・・」


 面倒事が一つ増えた。この街に犯人がいるといっても広くて人口も多いのだ。しかし悪に染まった魔法使いということなら、探しようがあるかもしれない。どうせメトロポリスに、暗躍する悪党はつきものなのだから。

 再びグリーク・サーカスに迎え入れられるレッタは喜ぶとも落ち込むともいえない微妙な顔をしていた。サーカス団を離れたくない気持ち、地元に帰らなければいけない気持ち、しかし出れなくなってにっちもさっちもいかない。歪な契約の存在は、幼い少女の心をかき混ぜて暗い影を落とした。

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