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魔具師になったら何をつくろう?  作者: アマクニノタスク
王都暗躍編
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第93話 帝都へいこう

「その腕利きの諜報員なら証拠を記録できるでしょうか?」


「十中八九できるだろう。依頼を受けてくれればだが。」


「そんなに多忙なんですか?」


「いや、多忙とかではなく。気に入った依頼しか受けないんだよ。」


なんとも気まぐれなスパイさんだ。



「帝都へ行って、ウマ屋という宿に泊まると良い。そこに使いの者が訪ねてくるように手配しておこう。」


「分かりました。明日の朝には帝都へ出発します。」


「それなら明日の夜には着いているだろう。伝えておくよ。」


「ガル兄は帝都へ行くのは初めてだっけ?」


「あぁ、そう言えば初めてだな。」


「大丈夫?迷子にならない?」


「大丈夫だよ。もう大人だし。それに帝都出身の人も一緒だし。」


「そうなんだ。なら安心だね。」


「ハッハッ、何とか依頼を受けさせてくれ。奴には私も頭が上がらない部分がある。」


「それだけの腕利きなら、うちの商会も狙われると危ないですね。」


「奴がそんなつまらない事をするとは思えないが、機嫌を損ねたくはないな。」


「そうですか。俺も注意しておきます。」


「まぁ、気張らずに行けば良いさ。」


「今日は色々と有難う御座います。」


「いやいや、我が商会の大事なパートナーだからね。力になれる事なら協力するよ。」


立ち上がり、2人とそれぞれに握手を交わす。

大旦那の握手はやっぱり強くて熱い!

2人はこの後も仕事の予定があるそうなので、クリオさんに送ってもらい宿へと戻った。

リポポさんとピートはまだ戻っていなかった。

待っている間が暇なので精霊魔導師のスキルの練習でもしていよう。

新たに覚えたスキルは魔力練成、魔術、精霊契約、魔力合成の4つ。

スキルの説明はこんな感じだ。


魔力錬成

体内の魔力を一時的に集中させて、最大出力を大幅に上げる事ができる。


魔術

術式を理解し、定められた方法に則った術の使用ができる。


精霊契約

精霊と意思疎通が可能になり、双方の合意があれば契約を結ぶ事ができる。


魔力合成

異なる属性の魔力を混ぜ合わせる事ができる。



魔力錬成と魔術は魔術師系の職業では標準のスキルだ。

これで俺にも魔法を使う事ができる。

ファイヤーボールとかウィンドカッターとか詠唱を覚えれば使えるらしい。

今度こっそりやってみよう。

精霊契約はまだあまり詳しくは知らないので、町に戻ったらニモ婆さんにでも聞いてみよう。

魔力合成は魔導師なら珍しくはないスキルらしいが、魔導師自体があまり多くないそうだ。

異なる属性の魔力を混ぜ合わせる。つまり、複合属性を作り出せるのだ。

これが今一番ハマっているマイブームなのだ。

この魔力合成をうまく成立させれば新たな複合属性を編み出せる。

何ともロマン溢れる事なのだが、これがなかなかに難しい。

今、試しているのは火と風の複合属性だ。

これで爆発を巻き起こす爆属性なんかが出来ないかと考えている。



「イメージ的に出来そうなんだけどなぁ。」


右手の指先に火属性の魔力を、左手の指先に風属性の魔力を少しずつ込めて指をくっつける。そのまま魔力が混ぜ合わさっていくイメージをする。




しかし、何も起こらなかった。



「やっぱり上手くいかないな。」


魔力量のバランスや波長、色々と調整して試していくしかないようだ。

新しい属性の魔力を覚えれば作れる魔導具の幅も広がるし、質も向上すると思うのだが。



「気長にやっていくしかないかな。」


ベッドに身を投げ、天井を見上げる。



「ライコ、おいで。」


ライコが俺の腹の上で実体化した。

モフモフを撫でながら、肉球をプニる。

グルグルと喉を鳴らすライコ。

とてもリラックスできる時間だ。

そうしている間にピートが帰ってきた。



「あ、ただいま戻りました。」


「おかえり。って、すごく汚れたね。」


「リポポさんに稽古をつけてもらいました。」


ピートは草原を転げまわったかの様に汚れまくっている。

随分とスパルタな稽古を付けてもらったのだろうか?



「リポポさんも帰ってきた?」


「はい、一緒に帰って来ました。」


「そっか。じゃあまずはシャワーを浴びておいでよ。」


「はい。ありがとうございます。」


リポポさんもシャワーを浴びているだろうし、2人のシャワーが済んだら食事にでも行こうか。

シャワー待ちの間に魔力合成をもう一度試みてみたが、やはり上手くいかなかった。

食事はリポポさんのおすすめの薬膳料理の食堂へとやってきた。

なんでもエルフ族直伝の薬膳料理だそうだ。

てっきりエルフ族に会えるのかと思っていたが、お店は普通に人間の老夫婦が営んでいた。

昔にエルフ族から教えてもらったレシピで薬膳料理を提供しているそうだ。

過去にはエルフ族を見かける事もあったそうだが、今では東方の森で鎖国的な暮らしをしているらしいとリポポさんが教えてくれた。

エルフクォーターのサラやその両親は珍しい存在のようだ。

薬膳料理を食べながら今日の報告と明日からの予定を伝える。



「と言う訳で、明日の朝に帝都へ向けて出発しようと思います。」


「分かりました。私の地元ですので案内は任せてください。」


「頼りにしています。それから、帝都の用事が済んだらピートの村へ行こうと思います。帝都からはどれくらいかな?」


「馬車なら1日あれば着けると思います。」


「そうか、それなら直ぐに行けるな。」


それにしても野菜ばっかりだな。

この苦味が体に良いらしいのだが、やっぱりお肉も食べたいものだ。

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