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魔具師になったら何をつくろう?  作者: アマクニノタスク
町おこし編
43/105

第40話 販売開始

コンコンコン


「師匠~おはようごさいまーす。」


「・・・」


「師~匠~。起きてますかー?」



気が付いた時にはもう朝だった。

小さな椅子に腰掛けたままだ。

全身が固まってバッキバッキだ。


昨日の夜は衝撃的だったなぁ~。

もはやそれしか覚えてないよ。



「師~匠~?」


「あ、はーい。ちょっと待って。」


体を解しながら部屋の扉を開ける。



「おはようごさいます、師匠。まだ寝てたんですか?」


「あぁ、昨日遅くてね。ラブラさんは?」


「ラブラさんならもう出られましたよ。ギルドとか色々と用事があるそうです。」


「そっか。」


ラブラさんと顔を合わすのは何か恥ずかしいから、ちょうど良いか。



「師匠!早く行かないと良い場所が取られてしまいますよ!」


「あ!そうだな。すぐ支度する。」



ちゃちゃっと支度をして市が開催される広場へと急ぐ。



広場へ着くとガヤガヤと多くの人達が忙しそうに準備をしている。

この広場は王都の外れにある国有の空き地だ。普段は軍が訓練に使ったりしている。



「えーっと、受付はどこだ?」


「師匠!あそこです。」



受付に行って手続きを行う。

基本的に出店料を払えば誰でも出店は可能だ。

出店料のランクで与えられるスペースも変わる仕組みだ。

今回は商品も多くないので最安の個人ランクで問題ない。

ちなみに個人・行商・商店・豪商の順にランクは上がっていく。

出店料を払って敷布を受け取る。

この敷布の面積が与えられたスペースだ。

参加者は敷布の外で品物を展示したり商談していると違反となり、罰金を取られてしまうのだ。


どこに店を出そうかと会場を見回る。


「師匠、あの辺りはどうですか?」


「どこ?」


「ほら、あのお爺さんの隣が空いてますよ!」


「えー。折角なら隣は若い女の子がいいなぁ。」


「何を言ってるんですか!あのお爺さんは知る人ぞ知る織物職人さんなんですよ。」


「へぇー、そうなんだ。じゃあ、そこにしようか。」


見た目ヨボヨボのお爺さんが正座している。

寝ているのかな?



「おはようございます。お隣に失礼しますね。」


「あぁ、ええですよ。どうぞ、どうぞ。」


お爺さんの前には綺麗な反物が並んでいる。

艶と光沢があり手触りも良さそうだ。

俺も商品を並べて準備を整えた。

スペースも狭いので店番は俺とサラの交代で行おう。俺も他の店を見て回りたいしね。


談笑しているとラッパの音が響き渡った。

開場の合図だ。これからお客さんが入ってくるぞ。

まずは俺が店番で様子を見てみよう。



売れないな・・・



人通りは多いと思うのだが、現に隣のお爺さんの店はお客が途切れていない。


暇なので前を通る人達を眺めるとやはり都会を感じる。

特に衣服は町と比べると発展している。

ズボンやスカート、ポロシャツに作業着っぽい服まで流通している。

デザインだけでなく生地の種類も多そうだ。


すると目の前をゴスロリな服装をした女性が通った。

紫のロングヘア眼鏡、そして黒のドレスが異彩を放っている。

女性はお爺さんの店で反物を吟味している。

お爺さんとは顔馴染みのようだ。

選び終えるとポンポンと反物を大人買いだ。

あの反物って1巻で3金貨以上しているのに。

女性は満足気な笑みを浮かべている。

品は大量なので後で取りに来るそうだ。

女性を眺め過ぎたのか帰り際に目が合ってしまった。


「あら?そのサンダルって・・・」


「あ、良かったら見てってください。」


「ええ、手に取っても良いかしら?」


「どうぞ、どうぞ。」


「へぇー、やっぱり。スニーカーみたいになってる。」


「え!スニーカー!?」


「あー、なんでも無いわ。これを1つくださいな。」


「はい、ありがとうございます。」


「これは貴方が作ったの?」


「いえ、サイモンの町で売られていますよ。」


「へぇー、そうなの。ありがとう。」



女性は長い髪を揺らしながら去って行った。


それからお爺さんの店の流れで見て行ってくれる人がチラホラ、サンダルはもう1つオジさんに売れました。

そろそろお昼だ。人が1番多い時間帯だ。


「師匠~、売れ行きはどうですか?」


「うん。サンダルが2個売れたぞ。」


「えぇぇ!何やってるんですか!!もっとちゃんと売ってくださいよー。」


「いや、ちゃんと店番してたよ?」


「はぁー、次は私が店番してますから交代しましょう。」


「じゃあ、俺は他の店を見て来るよ。」


「はい!お店は任せてください!!」


なんでサラはあんなに自信満々なのだろう?

まぁ、売れなくても責めないでやるか。

お爺さんの店は半分以上の商品が売れている。

お爺さんはうたた寝しているが、その度にお客さんに声をかけられて起こされている。

ちょっとだけ可哀想だ。

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