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魔具師になったら何をつくろう?  作者: アマクニノタスク
町おこし編
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第34話 出発前日

翌日、俺とサラは朝からゴードンさんの道具屋を訪ねている。

いよいよ明日が王都へ発つ日だ。

その前にゴードンさんの頼み事を聞いておかないといけないのだ。



「おはよう、ガルドにサラちゃん。」


「ゴードンさん、おはようございます。」


「おはようございます!」


「最近は忙しそうでしたけど、大丈夫でしたか?」


「まぁ、それはお前さんもだろ?お陰さんで楽しく仕事ができてるよ。」


「それは良かったです。俺もいよいよ王都へ出るのでワクワクしてます。」


「しっかり売ってきてくれよ。商品の手筈はバッチリだ。明日は俺も見送りに行くからな。」


「ありがとうございます。それでゴードンさんの頼み事って何なんですか?」


「あぁ、それなんだが。うちの息子の様子を見てきて欲しいんだよ。」


「フィルのですか?確か王都の商家へ修行に行っているんですよね?」


「そうなんだよ。もう修行に出て1年ぐらいなんだが、ちゃんとやっているのか確認してきてくれないか?」


「分かりました。俺も久しぶりにフィルに会いたいですし。何か伝言とかありますか?」


「いや、俺に頼まれた事は内密にしておいてくれ。あいつも一人前になるまで帰らないと言って出て行ったからな。」


「分かりました。市に出たついでに寄った事にしておきます。」


「あぁ、そうしておいておくれ。」


その後は仕事の話を少ししてから店を出た。



「ふふふ、ゴードンさんは息子さんが心配なんですね!」


「そうだな。フィルはしっかり者だから大丈夫だと思うけどね。」


「師匠はフィルさんと仲が良かったんですか?」


俺とフィルはこの町で育った幼馴染のようなものだ。フィルは俺より3歳年下で、俺とビグルの冒険遊びによく引っ付いて来ていた。

一度3人で森に入って帰りが遅くなった時はゴードンさんに死ぬほど怒られた。

そんな時でも自分が勝手について行ったんだと言い張って、俺たちを庇ってくれた優しくて賢い子だった。


そんな昔話をサラにしながらスミスさんの武具屋へやって来た。


「あら、ガルドにサラちゃん。いらっしゃい。」


「こんにちは、キリサさん。」


「こんにちは!」


「今日はどうしたの?また打ち合わせかしら?」


「いえ、明日から王都へ発つので旅用のマントを用意しておこうかと。」


「任せて。どんなのが良いかしら?」


「軽くて目立たない地味なのが良いです。」


「あら、せっかくなら派手で綺麗なのにすれば良いのに!」


「ははは、目立つの嫌なんで。おそらく市ではある程度の注目は集めそうなので、その対策も兼ねてます。」


「うーん、そうね。あの品なら注目されるでしょうし、厄介な連中も寄ってくるでしょうから対策はしておいた方がいいわね。」


「そうですよね。じゃあ俺とサラに選んで貰えますか?」


「え!私もいいんですか?師匠!!」


「だってマント持ってないだろ?それに俺よりもサラの方が目立つしね。」


「そうね。サラちゃんは王都出身だし、関係者だと思われると狙われちゃうかもね。」


「そうだね。念の為だよ。」


「師匠、ありがとうございます。」


キリサさんにマントを選んでもらい、お会計でも少しおまけしてもらった。

スミスさんとキリカさんは製作で忙しそうなので、そのまま店を出て家へと戻った。



「サラは明日の準備は出来たのか?」


「はい!私は元々荷物が少ないですので。」


「そっか。王都へ行ったら家に戻るんだろ?俺も挨拶とかに行った方がいいのかな?」


「いえいえそんな。師匠もお忙しいでしょうし。悪いですよ。」


「でも一応は弟子として預かってるんだし、挨拶しておいた方が良いだろう。」


「いえいえいえ!私がちゃんと伝えておきますから!大丈夫です!」


「そうかな?まぁ時間があれば行くよ。」


「わ、分かりました。時間があればで良いですので。」



俺も部屋で荷造りを済ませたので工房へと向かう。

工房ではサラが加工スキルの自主練をしていた。


「まだ練習してたのか?」


「はい。なかなか師匠のように出来ませんので。」


まぁ、俺が使っているのは加工スキルじゃなくて固有スキルなんだけどね。

まだ言ってないけど、そのうち伝えないといけないかな。



「俺はゴーレム体の確認だけしたら寝るから、サラもあんまり遅くなるなよ。」


「あ、それなら私も見てて良いですか?」


サラはギミックに目がない。

ゴーレム体の可動部分や魔導具の回路など、手の込んだ仕掛けほど嬉しそうに興奮して眺めている。

作りかけのゴーレム体の腕パーツは特に可動部が多いので一際熱心な視線を向けている。

まだ完成前なので触るのを厳禁にしているからってのもあると思うけど。

今も指の動きを確認している隣で、おぉーだとか、わぁーだとか動かす度に興奮している。


「うん。問題無さそうだな。俺は寝るけど、これに触ったらダメだからな。」


「はい、師匠!」


飢えた獣の目をしているのでちょっと心配だが、言い付けはちゃんと守っているようなので大丈夫だろう。

俺は明日からの旅に備えて眠るとしよう。

久々に王都へ行くのも楽しみだ。

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