第3話 ステータスとスキルも使ってみよう
「うんうん、魔具師ってなんだか楽しそうだな!」
前世の俺は、フィギュアやプラモが好きで、プログラマーの仕事が休みの時はよく徹夜で作ったりもしたものだ。
仕事柄、簡単なロボットも作ったりしてたしね!
日本のものづくり魂が疼くってもんだね!!
そう言えば、異世界と言えば・・・
「ステータスとか!スキルでしょ!!」
俺は急に上がったテンションを落ちつかせる為、少し冷めたお茶を一口すする。
ずずっ
「えーっと、ステータスとかは・・・」
記憶からステータスの確認方法を探る。
「念じれば良いみたいだな・・むーん」
個体名 ガルド
年齢 19歳
種族 人間族
レベル 4
職業 魔具師
職業スキル(魔具師)
解析 魔導 精製 加工
固有スキル
#人形製作__ドールメイク__#
称号
覚醒者
「おぉー異世界っぽいね!いいねー。」
またワクワクしてきてしまった。
「詳細とかも見れるのか?むーん。」
解析
魔具師の職業スキル。
保有する知識を元に対象を解析する事ができる。
魔導
魔具師の職業スキル。
魔力を操作する事ができる。
精製
魔具師の職業スキル。
指定の物質から不純物を取り除く事ができる。
加工
魔具師の職業スキル。
素材の加工が飛躍的に容易になる。
#人形製作__ドールメイク__#
ガルドの固有スキル
魔力で素材をイメージ通りの人形にできる。
覚醒者
自分が転生者であると気が付いた者への称号。
「固有スキル・・・なんか格好良いな!」
スキルの性能はアレだけど・・・
前世でフィギュアやプラモをいっぱい作ったりしたからなのかな?
「これからも趣味でいっぱい作ってしまいそうだな。むふふ。」
俺は不敵にほくそ笑んでみた。
あとは、レベルなのだが。
この世界の非戦闘職はレベル10程度が一般的だ。
力や魔力などの能力は数値化されておらず、感覚的にではあるが、相手の強さを感じ取る事はできる。
おそらくだが、それらの能力を数値で把握できるスキルもあるのだろう。
そして非戦闘職の俺にはあまり縁はないが、戦闘での経験値でレベルは上がっていく。
レベルが上がっていくと肉体と精神が強化され、寿命も少しずつだが延びていくらしい。
ちなみに、この世界の人間族では15歳で成人となり、平均的な寿命は50年程度だ。
爺ちゃんのレベルは知らないが60歳まで生きたので意外とレベルが高かったのかもしれない。
「折角の異世界だ、楽しまないと損だよな!」
「まずはスキルを使ってみたいよなぁ!」
俺のワクワクは止まらなくなっていた。
確かにスキルを使った記憶は俺の中にある。
しかし!こうして実際に使うのは初めての感覚なのだ!!不思議な気分なのだ!!
「とりあえず、簡単な解析を使ってみようかな。使う時はスキル名を唱えればできたはずだ。」
俺は適当に手の前にあったテーブルに目を向けて解析スキルを使ってみる事にする。
「解析!」
俺は元気な声で唱えながら、テーブルに向けてビシッと指をさしてキメ顔をした。
うん、無駄な事をしている自覚はある。
分かっていてもやってしまう。
思わずハシャいでしまったのだ。
そんな俺を無視するか如く、何も無かった様にスキルは発動する。
俺の目の前に説明文が浮かび上がった。
普通のダイニングテーブル
ブナの木製
高さ70センチ
奥行き80センチ
幅120センチ
重さ45キログラム
「おぉー、こんな感じになるのか!」
やっぱり知っているのと、体験するのは大違いだな!
「ふむふむ。」
どうやら、解析スキルは俺の中にある情報や知識を自動的に検索・整理して、俺に分かり易いように説明してくれる便利なスキルの様だ。
俺はブナの木は知っているが、このテーブルを見ても素材がそれだとは分からない。
サイズや重量についてもそうだ。
それぞれの長さや重さが、どの程度の物なのかを知ってはいるが、目測しただけでは分からない。
「これがスキルの力かぁ・・・」
俺は頭の中が少し重く感じ、椅子に座り直した。
「なんだか猛勉強した後の疲れに似ているな。」
スキルは魔力を消費するし、精神的な部分の負荷がある様だ。
「魔力を使い切ったらどうなるんだろう?」
さすがに魔力を使い切るまでやった記憶はないな。
俺は良からぬ好奇心をグッと押さえ込むと、ある事を思い出した。
「あっ、ジャックさんに治療費を払わなきゃ!忘れる前に渡しに行っておこう。ついでに、仕事の依頼の事も確認しに行っておくか。」
俺はまず汚れていた服を着替える事にした。
だって昨日から着っぱなしだったし、雷で色んな所が焦げてしまっている・・・
服を着替え、お金を持ったら、いざ出発!
家の外に出ると、太陽はずいぶんと高くなっていた。たぶん正午を少し過ぎたぐらいだろう。
さっき通った道を戻り、ジャックさんの治療所へと向かう。