第17話 魔改造?
ビグルと別れて帰宅した。
装備品のメンテナンスを済ませてから体を布で拭く。
「やっぱりお風呂に入りたいなぁ~。」
早くお金を稼いで家にお風呂とか作りたいなぁ。夢がドンドンと広がっていく。
とりあえず今日は頑張った。
レベルも上がったし、臨時収入も入った。
まぁ色々と課題もあるのだが。
まずは索敵の重要性。
今日はビグルに任せっきりだったが、俺一人では先に敵を見つける事なんて出来ない。むしろ逆に奇襲を受けそうだ。
次は吹き矢の限界。
痺れ薬なんかは使えそうだがダメージソースとしては期待出来ない。さらに連射が出来ないので敵が複数の場合が圧倒的に不利になる。
最後はやっぱり自作の魔導玩具での失敗。
これは本当に迂闊だった。
しかし威力は自分で体験したので自信がある。しっかりと設計して作れば武器として使えると思う。
「ビグルに毎回手伝って貰うわけにもいかないしなぁ。」
ビグルならお願いすれば手伝ってくれると思うが、これは俺の都合でやっている事だから自分一人でも狩りや素材採取に行ける様にならなければならない。
「索敵は現時点ではどうしようもないなぁ。」
行動範囲は限られるけど森の浅い所ですぐに逃げられる様にするしかないかな。
念のためゴーレムの札を持っていれば逃げる時間ぐらいは稼げるだろう。
早速明日にでも魔術師のニモ婆さんの所へ買いに行こう。
後は吹き矢だが、なんとか改良できないか手に取って眺めていた。
「そうだ、これなら威力は出せるかも。」
工房へ移動してさっきの案を試してみる。
素材に鉄板を用意して、まずは吹き筒の内径を解析スキルで調べた。内径は2.5センチらしい。
内径にぴったりハマる短い筒の片側に魔玉を設置する。このイメージでスキルを使う。
『#人形製作__ドールメイク__#』
鉄板が淡い虹色に光りながら変形していきピカッと一瞬光ると出来上がった。
吹き筒に差し込んでみる。
「おっ、ピッタリだ。それでこれを。」
魔導スキルで回路を設定する。
内容は風の魔力に変換し、一瞬だけ強い風を吹き筒の方向へ発生させる内容だ。
『魔導』
淡い虹色に光り、全面が魔導文字だらけになった。最後にピカッと光り出来上がり。
おそらく効果発生の方向指定をしたので設定が少し複雑になり魔導文字だらけになったのだろう。
「こいつに魔玉をはめ込んでっと。」
突風の反動で魔玉が飛び出すかもしれないので念のためサイズを合わせた革紐でぐるっとバンドしておいた。
「これで完成だ!」
やっぱり作ったら試したくなるのはしょうがないと思う。
素材用の木の板を5枚重ねて壁に立て掛けて的にする。工房の入り口から的まではおそよ3メートルぐらい。
狙いを定めて・・・発射する!
ドヒュン パーーン
『魔導スキルが魔改造スキルに進化しました。』
「へっ?」
思わず変な声が出てしまった。
なんかスキルが進化したみたいだが、まずは吹き矢の結果確認だ。
的に近づくと狙った中央部からはやや外れているが木の板には命中している。
木の板の裏面を確認するとなんと5枚全てを貫通している。
発射の反動はそれなりにあったがこの威力が出せるのなら問題無い程度だ。
「これなら急所に当たらなくても痺れ薬を仕込めば麻痺させる確率は高そうだな。」
なかなか良い実験結果が得られたので満足する。
それからスキルが進化したらしい。
確認しとかないとね。
ステータスを確認と念じる。
個体名 ガルド
年齢 19歳
種族 人間族
レベル 7
職業 魔具師
職業スキル(魔具師)
解析 魔改造 精製 加工
固有スキル
#人形製作__ドールメイク__#
耐性
雷属性
称号
覚醒者
やっぱり魔導が魔改造に変わっている。
魔改造の詳細が見たいと念じる。
魔改造
魔導スキルが進化した職業スキル。
既製の武器・防具・道具の性能を損なわずに魔導スキルを使用する事ができる。
「ほう!つまり武器や防具を魔導具の様に改造する事ができるのか!」
これは使い方次第で戦力をかなりアップさせる事が出来そうだな。
しかし武器や防具は作れないからスミスさん達に相談するか。でもそうなるとオーダーメイドになるだろうしお金がますます必要になるよなぁ。
明日からも金策を頑張らないとな。
明日は買い物をして少し森に入ろう。
樹液を回収して、近場のゴムの木も探さないとな。
今日は珍しく肉体労働をしたから疲れたな。
片付けはサボってもう寝よう。




