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掌編小説集1 (1話~50話)

薬の効果

作者: 蹴沢缶九郎

助手が博士に言った。


「博士、とうとうやりましたね!」


「うむ、長い研究が実を結び、やっと薬が完成したのだ。」


研究室の机の上には二つのガラス瓶がならんでおり、片方の瓶には青の錠剤、もう片方の瓶には赤の錠剤が入っていた。


博士は完成した薬の効果を確認する様に助手に説明する。


「青の錠剤を飲めば体が巨大化し、赤の錠剤を飲めば逆に縮小する薬だ。」


「博士、ずっと気になっていた事があるのですが…。二つの薬を一度に飲むとどうなるのですか?」


「なるほど、それは考えた事がなかった。助手よ、飲んでみなさい。」


「大丈夫なんですか、博士?」


不安そうな様子の助手を横目に博士は言う。


「大丈夫だ。私の作った物に失敗はありえない。それにこの時の為の助手だろ。お前は世界で初めてこの薬を飲む事になるのだぞ。光栄に思うべきだ。」


なんとも無茶苦茶を言う人だと思ったが、好奇心と世界で初めて薬を飲めるという部分に惹かれ、助手は薬を飲む事にした。


「では早速…」


「まてまて、どうもお前は抜けている所がある。巨大化の効果が現れた場合、研究室が壊れてしまうだろう。表で飲むのだ。」


「それもそうですね、さすが博士です。」


研究室の外へと移動した二人。助手は恐々、青と赤の錠剤を同時に飲んでみた。すると…、


「うう…、頭痛がする。頭が割れそうだ…。体も燃えるように熱い。」


「おい!!大丈夫か!?早く薬を吐き出すんだ!!」


しかし苦しみが襲ったのは数十秒だけだったらしく、薬を飲んで一分後、助手は博士に言った。


「やったー!!さすが博士です!!これは成功と言えるのではないでしょうか!!」


建物三階建てぐらいに巨大化した顔と、ネズミほどに縮小した体のアンバランスな助手を見て、博士は呟いた。


「なるほど、薬を一度に飲むとこうなるのか。そしてやはりと言うべきか、助手を雇うなら優秀じゃないのに限る。」

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― 新着の感想 ―
[一言] ドキンちゃんの三叉槍みたいな ってなつかしいな!
2015/11/18 22:09 退会済み
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