薬の効果
助手が博士に言った。
「博士、とうとうやりましたね!」
「うむ、長い研究が実を結び、やっと薬が完成したのだ。」
研究室の机の上には二つのガラス瓶がならんでおり、片方の瓶には青の錠剤、もう片方の瓶には赤の錠剤が入っていた。
博士は完成した薬の効果を確認する様に助手に説明する。
「青の錠剤を飲めば体が巨大化し、赤の錠剤を飲めば逆に縮小する薬だ。」
「博士、ずっと気になっていた事があるのですが…。二つの薬を一度に飲むとどうなるのですか?」
「なるほど、それは考えた事がなかった。助手よ、飲んでみなさい。」
「大丈夫なんですか、博士?」
不安そうな様子の助手を横目に博士は言う。
「大丈夫だ。私の作った物に失敗はありえない。それにこの時の為の助手だろ。お前は世界で初めてこの薬を飲む事になるのだぞ。光栄に思うべきだ。」
なんとも無茶苦茶を言う人だと思ったが、好奇心と世界で初めて薬を飲めるという部分に惹かれ、助手は薬を飲む事にした。
「では早速…」
「まてまて、どうもお前は抜けている所がある。巨大化の効果が現れた場合、研究室が壊れてしまうだろう。表で飲むのだ。」
「それもそうですね、さすが博士です。」
研究室の外へと移動した二人。助手は恐々、青と赤の錠剤を同時に飲んでみた。すると…、
「うう…、頭痛がする。頭が割れそうだ…。体も燃えるように熱い。」
「おい!!大丈夫か!?早く薬を吐き出すんだ!!」
しかし苦しみが襲ったのは数十秒だけだったらしく、薬を飲んで一分後、助手は博士に言った。
「やったー!!さすが博士です!!これは成功と言えるのではないでしょうか!!」
建物三階建てぐらいに巨大化した顔と、ネズミほどに縮小した体のアンバランスな助手を見て、博士は呟いた。
「なるほど、薬を一度に飲むとこうなるのか。そしてやはりと言うべきか、助手を雇うなら優秀じゃないのに限る。」