勤務中帰りた同盟
(黒幕にスポットライト)
(幕が上がる)
三人 「はいはいはーい」
(三人の登場)
ハワード 「どーもどーも、お初にお目にかかります。新人お笑い芸人、『勤務中帰りた同盟』でーす」
オーガスト「(こくり)」
アーヴァン「ど、ども……」
ハワード 「そんなわけでね、私たち初めてこんな壇上に上がらせてもらったわけですけどね、いやーやっぱりテレビ撮影は何度経験しても緊張しますねこれ。あ、私たちこれ初めてのテレビ撮影でしたね、あっはっは」
オーガスト「(こくり)」
アーヴァン「い、いや、こここれめめちゃきききんちょ」
ハワード 「アーヴァン、それは緊張しすぎだ(真顔)」
アーヴァン「いやだってテレビ……」
ハワード 「それはそれとして。最近ですね、ようやく我らの希望の光、“明星”が覚醒したじゃないですか」
オーガスト「(こくり)」
アーヴァン「そ、そうだな……」
ハワード 「特に雨上がりの空、水無月飛鳥なんてもう、本当に可愛らしい女の子じゃないですか。私もうね、すっかり惚れこんじゃいまして」
オーガスト「……」
アーヴァン「お、おう……」
ハワード (君たち、これは本番だ。黙り込むのはやめたまえ)
「いやー、もう本当に可愛い」
オーガスト「……ただのロリコンだな」
ハワード 「…………」
アーヴァン「え」
オーガスト「実際、マイラ・メイヴィス・オーデッツが本命なのか? それともロリコンに走――」
ハワード 「こればかりは真面目に言わせてもらうがね、オーガスト。私が愛した人は、生涯、マイラ一人だけだ」
オーガスト「水無月飛鳥が言うには、『嫁にしたい』などと言っていたそうだが」
ハワード 「え」
アーヴァン「え」
ハワード 「そ、それは言葉のあやとでもいうべきものでね……」
オーガスト「思えば水無月飛鳥は、以前写真で見たマイラに何処か似ているような……」
ハワード 「 」
アーヴァン「(犯罪者を見る視線)」
観客 「…………」
ハワード 「以上、『勤務中帰りた同盟』でしたぁああ!」
(ハワードが無理やり幕を下ろし、強制終了)
(幕の裏から声)
ハワード 「キミたち台本通りにやりたまえぇえええええ!」
アーヴァン「す、すまんな……緊張してどうも……」
ハワード 「アーヴァンは一万歩譲ってまだ許す! なんなんだオーガストあの爆弾は!!」
オーガスト「台本を読み忘れていてな。その場のノリで皆を笑わせようと思ったのだが」
ハワード 「F●CK YOU!!!!!!!!」
オーガスト「何か問題だったか?」
ハワード 「むしろ問題しかない!!!!!!」
撮影班・桜花「せっかく出番を与えてやったのに、滅茶苦茶にしてくれたな貴様ら。ちなみに言いたいことはそれだけか? もしかと思うが、他に言い訳でもしてみるか。」
撮影班・衣 「ハワード。お前、まさか衣のこともそういう目で見ていたのか……?」
ハワード 「違う、これは違うのだ!」
係員・美龍「お、いたいた。おーい、お前らに会いたいという客がいるぞー」
係員・咲姫「あちらになります、お客様」
桜花 「……来てしまったか。(客を見て頭をかかえる)」
アーヴァン「どうした、知り合いか?」
桜花 「なに、『おれを楽しませてくれよ』と汝らの芸を楽しみにしていた者がいたのだが、芸はあの様であろ? おそらく文句の一つでも言いに来たのであろ。」
客?? 「どうした、余興は終いか。中々に愉快な催しではあったが、如何せん破壊が足りぬな。壊せよ、友を。壊せよ、愛を。互いに奪い、破滅する喜劇を見せておくれよ。」
ハワード 「!?!?」
客?? 「それが出来ぬのならば、よかろう、よかろう。このおれ自ら壊してくれる。」
ハワード 「!?」
客?? 「勧善懲悪、滅べよ害蟲。」
ハワード 「ちょ、ま――」
客?? 「これ以上の問答は無用なり。――地震津崇」
ハワード 「どうして私だけがぁああああああああああああああああああああああああああああ!!」
※この後、ハワードは病院へ送られました。
☆
鈴 「なんなんだ、今のは……」
飛鳥 「見なかったことにしましょう」
鈴 「流石にそれはちょっと……」
飛鳥 「見なかったことにしましょう」
鈴 「いや、でもさ――」
飛鳥 「見なかったことにしましょう(にっこり)」
鈴 「そうですね!!」
飛鳥 「はーい、それではいよいよ、本当にお別れの時間です」
鈴 「ここまで読んでくれた皆様、楽しんでいただけたのなら幸いです。誠にありがとうございました」
飛鳥 「ありがとうございました」
鈴 「それでは、またいつかお会いしましょう!」
飛鳥 「さようなら。また本編の方でお会いできれば幸いです!」