兄
かなり短いです。
俺は、ルウナ家長男のアッシュだ。
生まれた頃から才能があったと言われた。だが、俺はそんな事関係なく基礎から学んでいった。次々と能力を開花させ、大会でも優勝した。
さらに、契約で、ウロノスという名の神聖な神との契約を果たした。
このことで、俺はさらに強くなり、向かう所敵無し、とまで言われた。
家族は温かく、幸せだった。父であり、世界一の雷魔法の名家である当主のシュラ。母であり、剣術に長けたリア。
魔力がかなり高く、俺の姉であるアルナ。魔法操作に長けた妹のセラ。そして、仲良しで俺を慕っている弟のラウ。
幸せだった。ラウが魔法を使えないと知った時までは。
その日から、ラウへの風当たりが厳しくなった。だが、俺や母さんはラウを見捨てなかった。たとえ魔法が使えなくとも、家族なのだ。出来る限りの事はした。だが、ほとんど効果はなかった。
そしてある日、俺はラウの中に何かがあるのを感じた。邪悪な何かを。
その日からラウを恐れた。
そして、ついにこの日が来てしまった。
ラウの追放だ。まだ10才だというのに。だが、俺には止められなかった。ラウを恐れて。
ふと、窓を見ると門に立ち雨に打たれながらこちらを見るラウと目が合った。
その時に感じた、謎の力。恐ろしい、だが大事な弟がいなくなる寂しさ、無力な自分にたいする怒り。様々な感情が入り混じり、なんとも言えない気持ちになった。どんなに力あっても何も弟一人守れない自分は最悪な人間だろう。
そして、もしこの時俺がラウを救っていれば、こんな事にはならなかった、と後悔しても遅かった。
翌日、ある盗賊団の遺体が発見された。一人は心臓を貫けられ、死亡。残りは、無傷で死んでいたという。
そして、何より心臓を貫かれた男には紅蓮に光る電気が残っていたという。
兄は、決して悪い人ではありません!
ちなみに、兄の雷は蒼色です。