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堕ちたイカヅチ~紅蓮の雷~  作者: 申請なる紙。
第一章 覇者の誕生
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追放

この世界は、魔法がある。複雑怪奇で摩訶不思議、そんな力だ。

そして、これが世界を終わりへと導いた少年の話。








「ラウ、お前をルウラ家から追放する。」

父に唐突にそう言われた。突然だった。夕食後に部屋に来なさい、そう言われ部屋に来ると言われたのだ。


「・・・・・・え?」


「聞こえなかったか?二度も言わせるな。お前をルウラ家から追放する。荷物を持ってこの家から出ていくといい。」


「何・・・・・・で・・・・・?」


「ふん、お前にはルウラ家の人間としての自覚が足りんのだ。何故その歳で雷魔法が使えない?他の者は使えるのに。」


そんなの僕に言われても知らない。僕は魔法が使えない。雷魔法で名門であるルウラ家にいながら。精霊と契約はしたのだ。なのに、魔法が使えない。魔力が無いわけではない。なのに、どうして。


「兄や姉、妹はもう魔法を使えるのに、どうしてお前だけ使えんのだ。」


「そんな・・・・こと・・・・・僕は・・・知りません・・・。」


「喋るな。貴様はもうこの家の人間ではない。さぁ出ていくといい。」


「そんな!父さん!僕頑張るから!だから追放だけは・・・・・!」


「たわけ!そうやっていつまで待たせる気だ?えぇ?」


そう言って父さんはドアを叩きつけるように閉めた。

その間僕はずっと無言だった。静寂の中、呆けるように。


その後、僕は死人のように部屋を出た。廊下から、使用人達の声が聞こえる。

「いなくなればいいのに。」「さっさと消えろ」「ルウラ家の恥さらし。」

しかし、その声も聞こえなくなってきた。

途中、妹に会った。彼女は僕を暫く見ていた。瞳から涙を流している。今まで一緒にいた妹も、あの日からは僕を避けるようになっていた。彼女は下を向いたまま「もう・・・私にかかわらないで・・・。」そう言って自分の部屋に向かった。彼女のいた場所には涙の跡があった。


荷物をまとめ、門まで歩いた。外は雨が降っていた。そんな中、傘を指して立っていた姉さんがいた。眉間にシワをよせ、僕を睨んでいた。そして、こう言った。

「やっと出ていくのね。このクズ。あんたなんかさっさと消えて!」

そう言って僕に魔法を放ってきた。だが、痛みさえ感じなかった。

姉さんはそのあとすぐ家に戻った。

僕は門をくぐり抜け、振り返った。すると、二階の部屋にいる兄さんと目があった。だが、兄さんは顔を歪ませ僕を見た。

もはや感情はなかった。どうでもよかった。

だが、悔しさだけはあったのかもしれない。




どのくらい歩いただろうか。雨は一向に止まず、僕の体を打ち続けた。そして、目の前に人が見えた。すると、その人は幾つかにわかれ、僕を囲んだ。盗賊だ。


「なんだぁ?このガキ。随分落ちぶれてやがるなぁ?」


リーダーらしき男がそう言うと、周りの奴らも笑った。そんな笑い声も、雨に打ち消される。


「最近暇だしな、このガキいっちょ殺るか。」


そう言うと、男は腰にぶら下げてる鞘から剣を取りだし、僕の金色の髪を掴んだ。

ーーーーーあぁ、僕はここで死ぬんだな。そう諦めたが、何処か心の中で悔しさが芽生えた。見返したい、殺してやりたい。

そう思った時、何処からか声が聞こえた。


ーーーー個々で死ぬのか?


嫌だ。


ーーーーあいつらを見返したいか?


見返したい。


ーーーーたとえどんな力を得ようとも?


構わない。


ーーーーーそうか。



そこで声が途切れた。男は剣を振り上げ、僕を切ろうとしたそ刹那。

僕の手が男の心臓を貫いていた。


男の顔が苦痛に歪んだ瞬間、男の体から僕の腕に赤色の電気が流れた。

力を、生命力を吸う感覚がした。


男はそのまま地面に伏せた。他の奴らは何が起きたのか分からなかった。仲間が少年に心臓を貫ぬけられ、電気が少年に流れ、仲間が死んだのだ。悲鳴を挙げようとした。だが、その時気づいた。少年の体が赤黒く、かつ紅蓮の雷を帯びていた。そしてーーーーーー


体からなにかが出ていくのを感じた。決して心臓を貫けられているのではない。



視界の先には、空に胴体を向けている少年だった。そして気づいた。この少年は自分達の生命力を吸っているのだと。



だが、遅かった。気づけば何も見えなくなり、体が崩れるのを感じた。







辺りを見渡すと、雨に打たれながら死んでいる盗賊達だった。そして、僕は僕自信の体に何かが溜まっているのを感じた。

そして、目の前に小さな黒い服を着た女の子がいた。


「やっと力が目覚めたか、わが主。」


女の子に似合わない口調で語りかけた。


「君は・・・・誰?」


見覚えがなかった。精霊だろうか?しかし、僕が契約した精霊はボルトという精霊だ。


「そうか、主はボルトと契約したと思っているかのか。」


女の子は雨に濡れていない。やはり精霊である。だが、一体この女の子は誰なのか?


「主、我はルシファーという魔王である。」


ーーーーーーー魔王。

冥界に君臨する魔属達の王。またの名を魔神ともいう。


「我は、人間界の様子を見るため、ボルトに憑依した。そこで偶然出会ったのが主じゃ。じゃが普通、魔王である我と契約できる人間はいなかった。主が現れるまでは。」


「主は見事我との契約を果たした、のだが主はまだ幼き故、魔力の限界も小さい。我は生きていくには、主から魔力を分けてもらうしかなかった。だがその結果、主の魔法が使えなくなってしまった。」


「すまぬ、主。詫びに、我を殺してくれても構わない。主の願い、我が聞き受ける。」


ルシファーの目は真剣だった。真っ直ぐな瞳が僕を見つめた。そして、僕は嗚咽がでながらもこう応えた。


「だった・・・ら、僕に・・・・・力を・・・・与えて。」


その言葉が、終わりへと導く終焉の始まりだった。

なんかちょっと展開が・・・・・・。

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