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堕ちたイカヅチ~紅蓮の雷~  作者: 申請なる紙。
第一章 覇者の誕生
10/15

始まりは此処から

これで幼少期は終わりです。青年期の主人公は悪人かも。鈍感ですけど。

ギルドは、此処月の宿がある村からすぐ近くにある街にある。歩いて20分程だ。だが、正直僕はあの街が苦手だ。何故ならーーーー

「あの街はな、人口の半分以上が女性なんだ。」


「どうして?」


「元々あの街は女性だけが住む小さな村だったんだが、独自の貿易文化を生かして、街にまで発展したんだ。男が来てまだ100年くらいだからな。」

僕らが今から行く街。それは人口の半分近くが女性である街、セラア街だ。そこには一応ギルドがある。今回僕とシアはそのギルドに入るらしい。

「・・・はぁ。」


僕のため息にアレストさんが反応する。

「なんだレム。女性だらけだからって緊張してんのか?」


「違いますよ・・・何か不吉な予感しかしないんです。」


「そーだよ!レムはただでさえ美形なのに!」

急に意味のわからない事を言うシア。僕が美形?そんなわけない。少なくとも中の下だと思うのだが。

「僕が美形な訳ないよ・・・ていうかこの火傷で引かれたら生きていける気がしないよ・・・。」


「そうか?その傷見せるのが嫌なら街で少し大きめなフードが付いているポンチョでも買ってあげるぞレム。」


「ホントですか!?有難う御座いますアレストさん。」

とてもありがたい事だ。此処は遠慮なくお言葉に甘えさせてもらおう。

「お父さん、レムだけインチキだよ~。」


そう言って拗ねるシア。頬をふくらませている姿が可愛らしい。

「はは、もちろんお前にも買ってやるさシア。好きなのを選ぶといい。」


「ホント!?約束だよお父さん!」

歓喜の声を震わせステップ気味になるシア。アレストさん、後で財布のお金がズタボロになっても知りませんよ。

買い物した後のアレストさんの絶望した顔を想像している内に街の入口まで来ていた。


「隣村の方々ですか。保護者の方はギルドカードか村人である証拠をお見せください。」


門番の人も女性だった。銀色の鎧を身に付けている。中々の美人さんだ。

「ギルドカードで・・・後、これをお願いします。」


カードと何か書かれた紙を手渡すアレストさん。紙を受け取った女性の顔が強ばる。

「これは・・・レミア家当主ガイア様のギルド証印ですか。ギルドマスターを呼ぶので少々お待ちください。」


カードをアレストさんに渡した門番の女性は、急ぎで走っていった。やはり主力貴族ともなると影響はかなり大きいようだ。僕には関係ないが。


暫くして、さっきの女性と、ギルドマスターらしき人が来た。ギルドマスターもやはり女性だった。

「お待たせしました、私がこの街のギルドマスター、ネイです。よろしくお願いします。」


礼儀正しく頭を下げる。僕たちもつられて頭を下げる。

「こちらこそよろしくお願いしますネイさん。今回はこの子達のギルド加入についてなのですが・・・。」


「はい、すでにガイア様から話は聞いています。準備が整り次第、ギルドに来てください。場所はこの街の宿屋の近くにあります。詳しくは街の方に聞いたらいいでしょう。では、後ほど。」

また頭を下げて、「ようこそ、セラアへ。」と笑顔で迎えてくれた。アレストさんの顔がだらしないのは言うまでもない。

「じゃあ、お前達の装備を揃えるか。」


ネイさん達と別れた後、急にいつもの顔に戻ったアレストさん。そのまま僕達はバザールへと向かった。


「色んな店があるなぁ~。」

道を挟むようにたくさんの店がある。食材屋や、武器屋、防具屋、アクセサリー屋など、様々な店が立ち並ぶ。少し歩いていると、アレストさんがある防具屋へ入っていった。

「ここに丁度友人がいるんだ。」


笑顔で言うアレストさん。何処か懐かしい目をしている。多分暫く友人に会っていないのだろう。ドアを開けると、そこにはたくさんの防具があった。鎧や、コートなどたくさんある。アレストさんが大きな声で「おーい、ダイアス。居るか?」と言った。すると、カウンターの後ろから人がぬっと表れた。

「おぉ、アレストじゃないか。久しぶりだな。」


「あぁ、何年ぶりだ?お前がこの街にいるってつい最近聞いたんだ。だから一度顔を見せようとおもってな。ついでにこの子達の防具なども揃えて欲しいんだ。」

巨体どうしが話あう。ダイアスさんという人はとても優しそうな人だった。目を閉じたままであるが、笑顔が無駄に眩しい。

「なる程な。よしわかった。で、君たちはどんな物が欲しいんだ?」


「僕は一応フード着きのポンチョが欲しいです。」

僕がそう答えると、ダイアスさんは少し考えた後、

「君のその右腕に巻きつけているのはチェーンダガーだろ?それは暗殺用の武器としても使われるんだ。今なら右肩に眺めのマントをつけれるが・・・どうする?」


「うーん・・・じゃあお願いします。」

もしかしたら役に立つのかもしれないので、一応頼んでおいた。


「じゃああとは好きな防具を選ぶといい。今日は安くしておくよ。」


そう言ってダイアスさんはカウンター裏に入っていった。

「レム!これなんかどうかな?」


シアが女性用の防具を着けて僕の所に来た。オレンジ色とピンク色の模様が入ったシャツのような防具だ。腕や足にガードがあるのだろう。ズボンもかなり短い。彼女の活発さが良くでてとても似合っていた。

「可愛いよ、シア。」

無意識に放ったその言葉は、シアの顔を真っ赤にさせた。

「そ、そうかな・・・?」

内股でもじもじしながら僕に聞いてくる。

「うん。似合っているよ。」


「じゃ、じゃあこれにしよ!・・・武器はあるかな?」

するとさっきまで防具をまじまじと見ていたアレストがシアの方を向き、

「むこうに武器があるぞ。見てくるといい。」


シアはそのまま嬉しそうな顔をしたまま武器が置いてある方に走っていった。アレストさんもそれに続く。

「シアの様子見に行くから、決まったら声を掛けてくれ。」


「はい。」

僕は鎧をみながら答えた。アレストさんが笑顔だったのは気づかなかった。




「これは・・・。」

暫く見ていると、赤黒い鎧が目に入った。鎧とはいっても上は布製がほとんどだ。薄い装甲の上に硬い材質の布で覆っている。赤く光りながらも美しい黒色を放つその鎧を気にった僕は、アレストさんを呼ぼうとした時、丁度ダイアスさんが戻ってきた。

「お、レム君。君はこれがいいのかい。ちょうどポンチョも出来上がったところだ。これはすぐ着れるから便利だよ。」


「ありがとうございます、ダイアスさん。」

僕がお礼を言うと、ダイアスは笑った。

「はは、いいさこれくらい。なんせ長年の親友の頼みだからね。」


「レム、決まったか?」

丁度シアの武器も決まったようだ。

「シア、何の武器にしたの?」


「あ、レム。私、コレにしたんだ。」

そう言って取り出したのは弓だった。

「へぇ、弓矢か。」


「うん!それにただの弓矢じゃなくて、魔法型弓矢なんだ!」

魔法旗弓矢は、魔法を矢として攻撃できる弓矢の事だ。あまり広まっていなかったが、最近はかなり広まっているようだ。

「じゃあ、2人共これでいいんだな。じゃあアレスト、会計よろしく。値段は・・・ゴニョゴニョ。」


アレストさんの顔が固まったのは言うまでもない。


財布の中を何度もチェックするアレストさんを連れながら僕達はギルドに向かった。僕とシアは早速防具を付けていた。

「ここがギルドか。」


大きな建物が目の前にある。結構大きい。一件小さな城にも見える。

「じゃあ、行こうか、レム!」


シアはもう待ちきれないという顔だった。僕も少し緊張している。別の意味で。

「よし、行こう。」


ドアを開ける。そして僕達の目に入って来たのはたくさんの人だかり。テーブルに座って仲間お飲み物を飲んでいる人達や、受付にいる人、今まさにクエストに向かおうとする人達でいっぱいだった。ただ、僕が想像していたのは、筋肉もりもりの大男達が酒を飲み合って大騒ぎしているようなギルドを想像していた。まぁ、もちろん賑やかなのは変わりないが。

「あら、レム君とシアちゃんですね。お待ちしていました。私はこのギルドの受付嬢のアリアと申します。」

メイド服のような服を着て、にっこり笑顔のアリアさん。僕とシアも「よろしくお願いします。」と答える。その返事に嬉しそうに笑うアリアさん。


「では、今からギルドカードを差し上げますね。一度紛失すると再発行の場合はお金がかかるのでご注意ください。クエストは、あちらのカウンターで受けてくださいね。あと、ここにはお店などもあるので、必要な物はここで買い揃えるといいでしょう。それとランクといものがあり、下から順にE,D,C,B,A,S,SSとなっております。頑張ってくださいね。」


的確な説明。さすが受付嬢です。

「じゃあ早速クエスト受けようよ、レム!」


「そうだね。じゃあカウンターに行こうか。」

僕達はカウンターへ向かい、クエストを選んだ。

「今回はこちらになります。」

そう言って受付嬢の人が紙を差し出す。

『ゴブリン10匹討伐』『薬草10個採取』『バット5匹討伐』など、様々なクエストがある。

「どれにしようか・・・。」

最低でも30枚近くはある。どれも採取や討伐ばかりだった。

「じゃあ始めにゴブリンで!」

シアは勢い良く依頼紙を差し出した。たしかに始めならゴブリンがいいだろう。

「では、ゴブリン10匹討伐のクエストを受注しますね。メンバーはレム様、シア様、アレスト様でよろしいですか?」


「はい。」


「では、地図をお渡しします。ゴブリンのいる場所はこのセリア森にいます。すぐ近くなので徒歩でどうぞ。では、無事に帰ってくる事をお祈りします。」


僕達は店で傷薬などを買い揃えた後、すぐに出発した。セリア森はこの街の近くにある森で、魔物が出る場所だ。安全な道もあるが、僕達が向かうのは森の中間部だ。





「ここが森かぁ~大きいねぇ~。」

シアが森を見て言った。まぁ普通に大きいけどね。幾つもの木が生えた森は、少し不気味だった。いかにも魔物が出てきそうな場所で、少し高揚感を覚えていた。

「じゃあ、2人共いくぞ。俺は基本見ているだけだが、もし何かあったら俺も戦うからな。頑張れよ。」

アレストさんの声援と共に森に入る。何もなければいいんだけど。







ヒュンッ  ドスッ


矢の音と刺す鈍い音が響く。シアの弓矢だ。

「よし、2匹目討伐!」

シアの元気な声。僕も負けじと剣を振るう。

「グリャァァァ!?」

ゴブリンの醜い声が聞こえると同時に頭が飛ぶ。血が飛び、赤い雫があたりに散らばる。

「2匹同時討伐・・・後6匹か。」


僕達は順調にゴブリンを討伐していた。

「ここにはいないね・・・2人で手分けして探そうか。」


「少し危ないけど・・・そうだね。じゃあアレストさん、シアについていってください。」

僕の提案にアレストさんが心配そうに聞く。

「大丈夫か?レム。」


「ええ、大丈夫です。深層部に近づかない限り危険な事はないですし。」

深層部は危険な魔物がいるが、ここはまだ中間部。余程でも無い限り問題ないだろう。

「じゃあ此処に魔力遠隔装置を置いておく。暫く時間が立ったらここに集合だ。いいな?」


「わかりました。じゃあ頑張ろうか、シア。」


「うん!レムも気をつけてね!」

そう言って僕達は別れた。これから何があるかもわからずに。









「いない・・・おかしいなぁ・・・。」

さっきから頑張って探しているものの、ゴブリンどころか他の魔物すらみつからない。こんな事は普通ありえない。

「・・・何かいる可能性が高いな・・・一旦戻ろう。」

こういう場合は高ランクの魔物がいる可能性が高い。一度戻ってギルドに知らせたほうがいい。こういう事は昔本で呼んだ事がある。無闇に探索せず、準備を整えておく必要があると書いてあった。

「とりあえず、アレストさん達との集合場所に戻らなきゃ。」


僕が控えそうとした瞬間。

メシメシ・・・バキッという木が折れる音が聞こえ、僕はすぐに後ろに下がった。すると・・・



ドォォォォン・・・・


もの凄い轟音と共に一体の巨大な翼の生えた狼が表れた。その魔物は僕の予想だとバンパイア・ハウンド。バットの羽が生えている狼で、Sランク級の魔物だ。噛まれればひとたまりもない。


「ガルルルル・・・。」

威嚇状態にいるバンパイア・ハウンドは牙を向けよだれを垂らし、僕を見ている。逃げてもすぐに追いつくだろう。僕は仕方なく、戦うことにした。


「いくよ。」

それを合図に僕は剣を抜き、切り掛かる。バンパイア・ハウンドはそれに素早く反応し避ける。それを見逃さず、チェーンダガーで切りつける。

血が飛び散る。そして、その臭いが僕をさらに高揚させる。


「くくく・・・人間、お前も似たもの同志だな。ならば血の宴を楽しもうではないか!」


驚く事にバンパイア・ハウンドがしゃべる。長生きする魔物は人語を話すというが、初めて見た。

「最高のおもてなしを期待していますよ。」


「くくく・・・。」

その笑い声と共に、僕らは戦う。それはさならが狂気。互いに血を散らせ戦う僕らはまさに血の宴だった。

「いいぞ人間・・・久しぶりに楽しい戦いだ!」


相手も楽しいようだ。僕が剣を弧に振るう、それを綺麗に避けるバンパイア・ハウンド。チェーンダガーで反撃するも、それもよけられる。さすがに分が悪くなってくる。


「ボルトテスク。」

無詠唱で魔法を唱える。その一撃は見事相手に当たる。

「ぐ・・・中々の威力だな人間・・・お前はまだ幼いが、これほどまでとは・・くくく、面白いぞ!」


「それはどうも。」

僕達は暫く戦い続けた。だが、決着はいまだに付かない。そろそろ創者の力を使うべきかと思った時、地面が割れ、巨大な槍のような物がバンパイア・ハウンドの身体を貫いた。

「がぁ・・・!?」


小さな悲鳴をあげる。そして地面から出てきたものが見えた。槍のように鋭い牙を持つ大きな土竜だった。デリマリアといい、Sランクでバンパイア・ハウンド共肩を並べる存在だ。

「ぐぁ・・・!」


そしてバンパイア・ハウンドは地面に叩きつけられた。その巨体はとてつもなく威圧感があった。だが、僕は・・・・

「邪魔だ、死ね。」


雷の槍でデリマリアを貫いていた。さらに地面から引っこ抜いて空に投げる。そして剣を構え魔法を唱えた。

「いくぞ、ルシファー、斬雷裂波。」

剣を上に切りつける。巨大な雷がデリマリアを切り裂く。「ドグアアアアア!!」という悲鳴と共に真っ二つになるが、それでも容赦なく雷が焼き尽くす。雷が止んでも、僕は攻撃をやめなかった。何度も切りつけ、もはや原型もなくなった。牙だけは残しておいたが。気づけば周りは血だらけだった。

「・・・その力は・・・創者か・・・?」


息が絶え絶えのバンパイア・ハウンド。僕はすぐに駆けつけ、傷を癒す。

「ルシファー、回復系統の魔法はあるか?」


『ああ、あるぞ主。』

その返事と共に頭に回復系統の魔法の呪文が流れる。


「あまり喋らない方がいいですよ・・・サイコヒール。」

傷がだんだんと塞がっていく。だが完全には治っていないだろう。僕はバンパイア・ハウンドを担いだ。中々重い。するとバンパイア・ハウンドは急に焦った。


「いや、そんな事はしなくていいんだが・・・それより私をこのまま殺せばお前はかなりの名誉を得る事が可能なんだぞ!?それに、デリマリアの牙もある。それなのに・・・いいのか?」


「いいんですよ。まだあなたとの決着はついていませんし。それに・・・楽しかったですし。」

にっこり笑顔で振り返って言う。あ、フードだから口しか見えないか。それにあたりも暗くなってきたので、左腕で担いだまま空いた右手でフードを外す。ぐ、重い・・・。

そして気づくと何処かバンパイア・ハウンドは耳を垂らして顔を赤くしていた。なんか犬みたいで可愛いが、大きいのであまり可愛くなかったり。


「レム!さっき大きい音が聞こえたんだがだいじょう・・・ぶか・・・。」

アレストさんの表情が固まり、シアは声が出てなかった。まぁ無理もない。大きな狼を担ぎ、さらに腰に大きな牙を提げている光景。

「ははは・・・。」


僕は苦笑いでアレストさん達にどう説明するか考えていた。











ギルドに着いた頃、僕は兵士に囲まれていた。

「ななな、なんです、これは!?バンパイア・ハウンドって・・・。」


苦し紛れに僕はこう答えた。

「僕のペットです。」



「なんだ、そうかって・・・は?」

余計めんどくさい事になったのは言うまでもないが。



そして、此処から新たな時代の幕開けだった。



一二三・∀・))゜3゜)・∵. グハッ!!

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