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余談な後日談・・・
数年後私は秋久さんと結婚して子供を産んだ。晴久と名づけたその子が話せるようになった頃、メイが子供を産んだ。名付け親になると意気込んだ晴久は、ライと名づけた。
結局、あの時会ったあの子は、私の子供だったらしい。ある日、不思議そうな顔をして晴久が帰ってきた。
「おかえり、晴」
「ただいま」
「変な顔して、何かあった?」
「ん、母さんによく似てるお兄さんに声をかけられたんだ」
「ん?何か忘れてる気が・・・。ちょっと待て、今思い出すから」
「別にいいけど。荷物おいてくるから」
そうやって部屋を出て行く晴の後姿で思い出す。冬の空に黒い鳥がとけ込んだ不思議な出会いを。
「ああ、あの子は晴久だったのか。懐かしいなあ。・・・って晴久、お兄さんじゃなくてお姉さんだろ!」
今日も何もかもがとけてしまいそうな冬の空が広がっていた。