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ただ過ぎる日々を思って

 アストライアの包囲網の外、人目が付かない場所で変身を解除。

 リフェンスのマギアブルを座標にして、リクの転移魔法でパフアに帰還。

 事前に相談し、シェルター内で待機してもらっていたリフェンスの元へ。ニヤケ顔で待っていた彼と拳を突き合わせた後、素知らぬ顔でクラスに合流。

 もちろんリクには存在を希釈化してもらい、姿を消してもらっている。

 そうして生徒達は各教室に戻った訳だが、反政府組織の襲撃に遭ったパフアは校舎の一部が倒壊した為、教師陣は授業の進行が厳しいと判断。

 補修工事の手配も必要とのことで、今日は下校時間を早めて帰宅する流れに。


「まあ、オレが相手した時は余波が行かないように立ち回ってたけど……」

「そもそも奇襲まがいの攻撃を仕掛けてきた時には破損してたしな」

『ニューエイジも頑張っておったんじゃがのぅ。どうにもアストライアのサーバーかなんかに攻撃を受けとって、情報支援がままならんかったようじゃ』

「あんな出現の仕方に加えて本部が別の対応に当たってたなら、事態の収拾が遅れるのも仕方ないさ」


 ぞろぞろと校舎を出ていく生徒の波から外れて、三人で立ち入り禁止線のテープ外から壊れた箇所を見上げる。

 外から見える大時計があったはずだが、竜怪人のブレスでバラバラに。

 各教室の窓ガラスも罅割れ、砕け、見るも無残な姿へ。

 マヨイ先生が叩きつけられた壁は埋没し、火球によって融解した部分が目立つ。


「……これ、すぐ直るのか?」

「優秀な施工業者と魔法使いがいれば、二日もありゃ直るんじゃね?」

『その間、休みになるんかのぅ。ゲーム三昧、マンガ読み放題じゃな!』

「おっ、いいねぇ! 対戦ゲーやろうぜ。思考加速魔法でボッコボコにしてやる!」

「前も同じこと言って惨敗してなかったか?」

『加速し過ぎて乗り物酔いに似た状態になってたのぉ』

「うっせうっせ! 改良したから前みてぇな無様は晒さねぇっての!」


 オレ達と同じく野次馬の生徒が集まってきたので、足早に退散しようと踵を返す。

 すると職員室の方向から何人かの教師と、ニューエイジの三人がやってきた。現場保存の為か……よく見ればマヨイ先生、足を負傷したのか引きずってるな。


「大丈夫か? 回復魔法を掛けたとはいえ、限度はある」

「回復痛の方がツラい時もあるからねぇ」

「業務が終わり次第、体を休めますので……それまでは我慢します」


 竜怪人との戦闘で一番被害を受けていたのは彼女だし、仕方がないか。

 すれ違いざまに頭を下げてから、リフェンスと共にその場を後に……


「そ、れ、に、してもぉ? マヨイってば夜叉に抱えられた時、顔真っ赤にしてたよねぇ? ちょっと乙女チックな展開を期待してたんじゃな~い?」

「これまでも幾度となく救われた上で、あの対応だからな。強き男に惹かれるのは女として不自然な感情ではあるまい」

「な、ばっ……おかしな詮索はしないでくださいっ!」


 その場を後にしようとして、漏れ聞こえてきた会話内容に足を取られた。

 盛大にずっこけて顔面を強打する。いってぇ……


「おい平気か、アキト?」

『派手にコケたのぅ』

「も、問題ない」


 そんな風に思われてたんだな……むしろ、オレと夜叉が結び付かない要素だし、安心できるか。

 なんとなく感じる気恥ずかしさを隠す為、痛みを我慢する為。顔を押さえて立ち上がり、多少フラつきながら家路に着くのだった。

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