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レンカクside.『期待はするな』

視点がレンカクに替わります。

アレクシスがワスレナグサに到着した夜の出来事です。


――――――――――


■後神暦 2649年 / 春の月 / 空の日 pm 11:00


――『ワスレナグサ』 レンの私室


「さて、厄介なことになったのぅ……」


 アレクシスと名乗った青年は疲れからか、日暮れ前には部屋で休むと言った。

 いわれのない罪は哀れに思う、姐様の願いをききたいことも本心じゃ。



「しかしなぁ……」


 正直、誰かと共に暮らすのは気が進まん。

 姐様もどうして”あのこと”を知っているのに、ワエにあの男と暮らすように言ったのか……


 盃を煽り思い返す。


 昨晩のこと、もう幾年も顔を見せてくださらなかった姐様が突然いらっしゃった。

 この忌み森に入り、ワスレナグサを目指している青年がいる、と。

 曰く、古くからの友の子で救いたい、それがワエの為にもなる、だったか。


 ワエは人と深く関わろうとはしない。

 正確に言えば、相手が深く関わろうとすることは決してない。

 だから、初めからワエ自身が遠く離れた地にいるようにしている。


 わざわざ、自ら傷つきたい愚か者はいないじゃろうて。


 鏡を見て、己の耳を触る。

 ワエはこの姿が大っ嫌いじゃ。

 人はみなワエを畏れる。


 姐様は気にかけてくれて、古くから関わりのある者をこの宿に訪れるようにしてくれてはいるが……その者らが初めてワエを見るときの目は堪えるんじゃよなぁ……



「そう言えば、あの男は反応が少し違ったな……」


 あの男からは驚きこそあれ、畏れを抱いた視線は感じなかった。

 どころかワエを「お嬢ちゃん」などと言った。


 もしかすると……


「カカカ、莫迦々々(ばかばか)しい、そんなことはないか」


 期待はするな、後で辛くなるだけじゃ。

 これは長い長い人生のほんの一時のヒマ潰し、その程度に考えるのが丁度良い。

 そう思えば愉快に思えてきたな。


 まぁ、明日から非日常を愉しむとするか。

 煽った酒は今日も美味い、ワエの心は大丈夫じゃな。


姐様ティスタニア イメージ】

挿絵(By みてみん)

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