『青空が囁く』
人生は、兎角ままならない出来事の
連続であり、選択の連続でもあります。
その時その時に右か左か前か後ろかと
人生を左右する一生の選択の決断を
何度も迫られる。
それはとてつもないプレッシャーであり、
とても迷う瞬間です。
迷わず選択をしていく者や後悔をしない者、
運命や宿命としてその道に導かれる場合もある。
でも、選択に失敗したり、後悔する者、
後戻り出来なくなって道に迷う者もいます。
そんな中で成功する者と失敗する者に分かれ、
その後の人生も変化していく。
豊かに暮らす者がいる一方で、
苦しむ者や死を選ぶ者もいる。
五月になった。
この頃になってようやく
暖かさが戻ってきた感じだ。
だが、すぐに雨期がやってきて
うだるような暑さの
長い夏が訪れるだろう。
街行く人々は
何かに浮かれている。
僕は抜け殻のような気分で
青空を見上げ羨んでいた。
透き通る空の青さを。
広くて開放的な空の高さを。
自由気儘に人生を
歩んで行く人々を。
僕は囚われた檻の中で思う。
どこで道を間違って
しまったのかと。
人生の分岐点は、
いつ通り過ぎて
しまったのかと。
それとも、まだ着いていない
だけなのだろうか。
青空が囁いている。
『戻れるのなら引き返せ。
それが無理なら、
道が続く限り前へ進め』と。
僕は力なく笑って、
後ろに下がってみたものの、
後ろからクラクションを
激しく鳴らされた。
そして容赦なく
罵声を浴びたのだ。
通行の邪魔だと。
つっかえるから迷惑だと。
だから僕は諦めて
前に進むしかなかった。
思いっきりアクセルを
踏んで、走り出す。
信号も先行車も
次々と追い抜いて。
僕は力なく笑っていた。
人々は驚いた様子で、僕を見る。
青い空はどこまでも続いている。
ひた走る道路のように。
海に出ようかと思う。
透き通る青空とは違う、
濃くて深い藍色の海へ
飛び込む為に。
きっとそこが
僕の人生の終着点。
無事に辿り着けるだろうか。
それとも他の目的地を
見出すことが出来るだろうか。
目的地に到着する前に
警察に捕まったら、
僕は人生をやり直せるのか。
少なくとも
今の僕には自信がない。
青空の雄大さと
優しさに憧れていた。
ゆったりと横切る太陽や月に
雲も鳥や飛行機に至るまで。
大空を飛翔するものたちへの
憧れと尊敬。
僕らは時間を
犠牲にして生きている。
人それぞれが違った
寿命の刻を差し出しながら。
どこに向かうのが正解なのか、
分からないながらも、
僕らは走ることを求められる。
それが誰の為なのかは分からない。
自分なのか、天なのか、神なのか、
はたまた他人の為なのか。
青空のように道も方向も
目的地もない場所を
自由に走ってみたいと思いながら、
僕はアクセルを踏み続ける。
青空を追ってどこまでも。
この道の続く限り。
命が尽きるか、
目的地に辿り着けるまで。
心地良い向かい風が、
僕を押し返そうと
無駄に吹き付けてくる。
それでも僕は止まらない。
決められたことだから。
最初からそれ以外の方法がなく、
運命付けられていることを
嫌と言う程に知ってしまったから。
青空は今も僕に囁いている。
僕はもう引き返せない。
目の前には行き先の
分からない道が
どこまでも続いている。
<了>
(注)この作品はタコアシのものです。
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なることは固く禁じさせて頂きます。
最後まで読んで頂き、
ありがとうございます。
それでは、また。