みみずのゆめ
明け方、白白とした寝起きの太陽が顔を出してくる。猫が悠悠のびをするように、その起床は遅遅としている。
みみずはみみずだから、のんびりだろうがせっかちだろうが、太陽の寝起きの悪さになんかには付き合わない。
ただ、気ままに寝たり起きたりを、土のしたでくり返す。
昨今の気温事情というのは有り体に言っていかれているから、寝ても起きてもその過ごしにくさに変わりはない。
しいていえば、寝ているあいだはゆめとして現実の体感を無視するみたいに異世界を漂っているから、ただ時間をやり過ごしてしまう分にはたのしい。
そも、このみみずはよく逃避というものにはしりがちであった。そうやって現実にろくろく向き合わずにいるから、かのきりぎりすを自分で自分に重ねていたりもする。
反省して、改めたりするわけでもなくこれだから、しみじみいけないみみずである。
自分をかのきりぎりすだ、と重ねるのには、同時にありに相当するしっかりものが要る。
要るけれど、このみみずの場合そのような相手を求めているというだけであって、そのために動くつもりがあるわけでもないからじつに浅ましい。