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第59話

【神子候補:ミクン・ピクノ 信仰心レベル100 属性:植物/風】


 【観察】したところ、ミクンは信仰心がめっちゃ低いことが判明した。もっとも信仰心はシャーナやサーラみたいにめっちゃ高いのがいるから信仰心100くらいでも困りゃしないんだけど。


「あたし、やっぱダメかな? 神サマとか今まで信じてなかったから、どうかしないとダメかな?」


「いや、信仰心が低いけど、それは問題じゃない。これから信じてもらえればいいし」


「うんうんっ」


 俺はM端末をミクンに向けた。


【信仰心はかなり低いです。ミクン・ピクノを神子にしますか?」


「Y!」


 端末をタップする。


 途端、俺とタブレットから光が溢れ、ミクンに向かう。


【神威・神子認定成功】


「はい、終了」


「……こんだけ?」


 ミクンはどんぐり眼でこっちを見た。


「こんだけ」


「えーっ、もっとなんか、天から光が降りてくるとか、火花が散るとか、そんな特別なこと期待してたのに、ぴかっで終わり?」


 ブーブー言うミクンを抑えて、俺はM端末を確認した。


【生神レベル/信仰心レベルがアップしました】


「何々?」


 覗き込んでくるミクンに、俺は端末を見せてやった。


【遠矢真悟:生神レベル55/信仰心レベル75100/戦闘レベル50

 神威:再生30/神子認定6/観察40/浄化40/転移8/帰還5/増加40/創造10/神具創造1/直接戦闘25/援護戦闘10

 属性:水5/大地3/聖15/植物4/獣4/岩3/鉱石3/炎10/風4/神10

 直接戦闘神威:[攻撃]水流ウォーター・フロウ・水/[防御]木壁プラント・ウォール・植物/[防御]水壁ウォーター・ウォール・水

 援護戦闘神威:[攻撃]武器強化エンチャント・ウェポン・鉱石+大地/[回復]回復ヒール・聖

 固有スキル:家事全般15/忍耐15/剣術25/盾術20/遠視10/索敵5

 固有神具:自在雲/導きの球/白き神衣/蒼海の天剣/水鏡盾/透過のマント/見通しの眼鏡】


「すてえたす、ってヤツ?」


「うん、ステータス。てか知ってんの?」


「あたしたちの能力を数値化したものでしょ? あるのは知ってるけど、見れるのは神サマか神サマの力がないと見れないって。ふ~ん、これがシンゴのすてえたすかあ……」


「後から好きなだけ見せてあげるから、とにかく移動しよう」


「何で?」


「そうだな、近くの魔獣や魔物に気付かれると厄介だ」


 ヤガリがブランの手綱を取って(ブランに手綱なんて必要ないけど表向き必要なのだ)、先頭になって焼け落ちた陣営を出た。


 アムリアをこっそり見ると、ひょろっと長い草をむさぼる人間の姿が見えた。


「万年草とはよく言ったものだ。万年生きそうな勢いで食っているぞ」


「シンゴにしてはいいネーミングじゃないか」


 ……レーヴェ、きついぞ。


「何、シンゴネーミングセンス悪いの?」


「灰色虎に小さい虎だからコトラと名付けたほどだからな」


「レーヴェ」


「この生き物はアシヌスと言うシンゴが創った神獣だが、種族名がつけられなくて結局おれに任せたんだ」


「ヤガリ~」


「時々ハマることもあるぞ。私の名をつけた。もっとも神子の中には似た名のシャーナと言う者がいるので、そこから影響を受けたかもしれないが」


「サーラ……」


「うん、分かった。シンゴには名前をつけさせないほうがいいんだね」


 ……一番きついぞミクン。


「アムリアには戻らないの?」


「アムリアの人たちは俺を見ている。俺が帰ってきたら何かあったと思われる。いや実際何かあったんだけど。とにかくそれを気付かれるのはあんまりよくない。と言うわけでこのまま移動する。次は何処に行こうか」


「フェザーマンのいる奈落断崖はどうだ?」


 レーヴェが提案してきた。


「ふぇざーまん?」


 思わず端末を取り出そうとしたら、サーラに止められた。


「はい、端末を使わない練習」


「神威は使わせてくれたのに」


「神威はまだ難しいと思ったからな。だけど、ヘルプくらいは自分の意思でできる

ようにならないと」


 俺はM端末を消すと、頭の中でヘルプページを開く感触を引っ張り出した。


 頭の中に言葉が浮かぶ。


【フェザーマン:翼人とも呼ばれる人間種族。ヒューマンによく似た外見を持っているが、背に翼を持ち、飛行することが可能。翼の色は髪の色に準ずる。古の時代には神の使いとも呼ばれていた信仰心の篤い一族で、大陸北東の果てにある奈落断崖に住んでいる】


「まるで天使みたいだな」


 俺の呟きをミクンは聞き逃さない。


「天使って何?」


「文字通り、天の使い。天から降りて来て、人間に神のお告げとかを伝える存在を天使って言うんだ。その天使が大体背中に羽を生やしていた。……黒い羽は逆だったけど」


「逆?」


「黒い羽は悪魔とか言われてたなあ。俺のいた世界じゃ白い生き物が神の使い、黒い生き物は悪魔の使いとか言われてて……黒猫なんかそれでひどい目に遭っていたね。カラスも賢い生物なのになんか嫌がられてたなあ」


「色だけで態度が変わるって、神サマの世界もあたしらの世界と変わらないみたいね」


「変わらないよ。俺がいた世界も。俺のいた世界は人間は種族一個しかなかったけど肌の色とかでよくケンカしてたよ」


「神サマの世界も大変だ」


「神様の世界ってわけでもないんだけど」


 きょとん、とした顔をするミクンに、俺は笑いかけた。


「ま、道々説明するよ。とにかく、奈落断崖に向かおう」


 俺たちは北東へ向かって歩き出した。

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